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鎌田正彦社長が見据えるのは究極の効率化

SBSロジコム、支持される求荷求車「iGOQ」の強みは

2021年11月8日 (月)

▲ 「マッチングであらゆる物流サービスを最適化していく」と将来像を語るSBSホールディングスの鎌田正彦社長

話題「11月2日所沢へ配送、前日江戸川で18時までに積込。ウイングで9時までに配送」。東京都江戸川区の運送会社。配車担当者の席のパソコンに一通のメールが届いた。配信マッチングサービスの画面に進むと、江戸川区から埼玉県所沢市までの配送依頼が掲載されている。ウイング車の配車計画を確認すると、ちょうど空いている。久々の大型貨物輸送で是非やりたい仕事だ。早速エントリーの操作をして、返事を待つ。マッチングサービスの運営会社から連絡が来た。「『養生を持ってきてください』とありますが、具体的には毛布が20枚くらい必要らしいです」。ちょうど養生用の毛布が余っていたので持参することができた。「普段は毛布を養生に使うことはあまりなかったので想定していなかった。何ともありがたい」

この運送会社は、以前は別の求荷求車サービスを使って配送業務を探していた。スマートフォンでやりとりできる便利さが気に入って登録していたのだが、ドライ荷物と思って通常のトラックを回したら冷蔵車が必要だったり、サイズが事前の話と全く異なっていたりと、情報の行き違いが多く悩んでいた。そこで、ある仕事仲間から勧められたのが、現在導入する配車マッチングサービス「iGOQ」(イゴーク)だった。(LOGISTICS TODAY編集部)

物流業者による、物流業者のためのプラットフォーム「iGOQ」

モノを運んでほしい荷主と、空車を活用して売上を拡大したい運送会社。両者の希望条件を自動ですり合わせることでビジネスを成立させる配車マッチングサービスは、インターネットの普及とともに広く認知されるようになった。それぞれのサービスには強みの部分があり、それが差別化の要素となっているのだ。

(出所:SBSロジコム)

それでは、iGOQの強みは何だろう。「物流業者による、物流業者のためのプラットフォームであるところです」と強調するのは、SBSロジコム(東京都墨田区)輸送営業開発部課長の栗生浩延さんだ。iGOQは、総合物流企業のSBSグループで運送事業を担うSBSロジコムが開発したサービスなのだ。

こうしたマッチングサービスは、運送会社やIT企業などさまざまな業種の企業が参入し、独自の切り口で顧客に導入メリットを訴求する。iGOQは、総合物流企業グループの提供する配車マッチングサービス、つまりプロ中のプロによる「かゆいところまで手が届くサービス」(栗生さん)というわけだ。

総合物流企業の提供するiGOQの2つの強みとは

とはいえ、モノを運ぶプロが作ったシステムならば、運送会社には都合のよいものであっても、荷主にとっては敷居が高く使いづらい代物なのではないか。そんな心配をしてしまいそうだが、SBSホールディングス情報システム部の岡部泰廣さんは、iGOQの強みを2つのキーワードで紹介してくれるという。

▲「使い勝手のよさ」が特徴のiGOQ

「一つ目は『使い勝手のよさ』です。運送会社だけでなく荷主企業にとっても使いやすい仕様としています」。運送会社にとっては「うちの会社でできそうだ」と思った案件を即座にエントリーできるスピーディな意思決定を促す。荷主企業からも、全国各地の依頼を受けているなかで、今までならできなかった運送会社にも手配できるようになったとの声が上がっているという。

契約成立までのプロセスで特筆すべきポイントが、契約金額の交渉プロセスだ。iGOQでは、最初に荷主が仕事を依頼する際に自動算出による料金表の参考運賃が提示される。相場感覚をつかんだうえで、依頼主の予算に応じた希望金額で発注する。その際に、「運送会社からの金額提案を許可する」の項目にチェックを入れれば、運送会社からの提案金額を基準に選択して承諾の可否を決めることができる。希望金額で発注すれば、運送会社は依頼主側からの希望金額ベースで申し込むことになる。もちろん、荷主側から金額を提示することもできる。「こうした契約プロセスのルートを作ることにより、適正金額でない契約をなくすことができます。それも使い勝手のよさと言えます」(岡部さん)

求荷求車サービスでトラブルになるケースとして、相場を大きく逸脱した金額での契約成立がある。両社間の約束、つまり「言い値」で決まってしまうこともあり、それがこうしたマッチングサービスへの不信感を払拭できない理由の一つとなっている。iGOQのこうした取り組みは、マッチングサービスの信頼確保にも一役買いそうだ。

▲iGOQの管理画面(クリックで拡大)

総合物流企業ならではの強みである「信頼感」

それでは、もう一つの強みは何か。「まさに、その『信頼感』です」。栗生さんは、総合物流会社の提供するマッチングサービスであることを強調していた。しかし、総合物流会社が提供するサービスであることが、なぜ強みになるのだろうか。ここには、荷主と運送会社との契約交渉をめぐるiGOQならではのルールがあった。

多くのマッチングサービスは、荷主と運送会社の間で直接やりとりすることで、交渉成立を速やかに行うことをウリにしている。いわゆる「伝言ゲーム」による無駄を回避できるからだ。しかし、直接やりとりできる便利さが、逆にトラブルの温床となることも少なくないという。先ほどの価格交渉が好例であるうえ、特に荷主が初めてマッチングサービスを利用する場合は。両社間での思い違いも発生しやすいという。

「こうしたトラブルをなくすために、iGOQは荷主と運送会社がやりとりする際は、必ず運営側であるSBSロジコムの担当者が入ることにしています。SBSロジコムは運送会社ですから、荷主はもちろん受注する運送会社にとっても、荷主のニーズをより的確に把握して契約業務のスムーズな遂行につなげることができるからです」

栗生さんが挙げる2つ目の強みは、こうした「信頼感」を双方に提供できることだった。いわば、荷主と運送会社の間に入ることで、適切な助言や意思疎通などのアシストを行いながら、より最適なマッチングを最適な価格で実現する。先進的なITシステムと、総合物流企業のノウハウによる支援。まさにデジタルとアナログの併用による、かゆい所に手が届くサービスが誕生したというわけだ。

SBSグループがiGOQに映し出す将来像とは

総合物流企業であるSBSグループが提供する配車マッチングサービスのiGOQ。SBSグループがこのタイミングで配車マッチングサービスに注力し始めた狙いは何なのか。SBSグループの鎌田正彦社長に、iGOQにかけた意思について直撃した。

「重要なポイントは、iGOQがマッチング機能を持つプラットフォームであるという点です」。鎌田社長は、プラットフォームを作ることに強いこだわりを抱いている。そこには、物流業界そのものを変革する壮大な構想があるからだ。

2015年、米国シリコンバレー。鎌田社長は、配車アプリケーションのUber(ウーバー)を使ってタクシーを探した時の衝撃を忘れない。シェアリングエコノミーの本質を体感した鎌田社長は、帰国するや否やこう言い放った。「トラック版Uberを作ろう」

トラック版Uberは、稼働率が3割程度にとどまっている日本のトラック業界の効率的な運営につながる秘策だった。タクシーのように街中を空のトラックが荷主を探して走り回る姿は、現実的には想定しにくい。しかし、荷主とトラックをマッチングさせることはできるのではないか。そこで発案したのが、トラックのマッチングサービスだった。iGOQは、トラックのプラットフォームの実現に向けた第一歩なのだ。

「目指す姿は、物流事業者が自由に参加して、車だけでなく燃料や倉庫など、ありとあらゆる物流ニーズをAI(人工知能)でマッチングさせることで、あらゆる物流サービスを最適化していくプラットフォームが稼働する社会だ」。鎌田社長は、SBSグループがそのプラットフォームを創造し、業界全体の究極の効率化を図るイメージを描いている。それにより、トラックや倉庫などあらゆる物流リソースの運用効率の向上はもちろん、世界的な命題となっている脱炭素化の実現にも大きく貢献できるという。

iGOQが物流業界に訴求する、物流会社のプラットフォームだからできるベストマッチング。将来の物流業界に革命を起こす可能性を秘めた、究極のプラットフォームの誕生に向けた序章の幕開けなのだろうか。SBSグループがiGOQの先に見る壮大な夢の実現に向けた物語は、まだ始まったばかりだ。

iGOQ問い合わせページ

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