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3辺計測ソリューションとバーコード読み取り技術で究極の物流DX化を提案

コグネックス、「3辺計測」こそが最適物流のヒント

2022年2月16日 (水)

話題関東地方の、とあるEC系物流センター。荷物が次々とコンベヤーの上を流れていく。四角い段ボールに混じって、ビニールに入っている洋服やタイヤなど様々な形状の荷物が、列を作りながら順番にゲートをくぐると、赤い光が瞬く。その瞬間、パソコン画面には荷物に貼られたバーコードの読み取り結果とともに、3つの数字が表示された。荷物の「長さ」「幅」「高さ」だ。かなりのスピードで動いている荷物のサイズが、瞬時にミリ単位の精度で計測された――。

▲バーコードと同時に荷物の「長さ(L)」「幅(W)」「高さ(H)」を測定

驚くべきレベルのサイズ計測技術。物流現場では、配送先など荷物の情報を示すバーコードの読み取りだけでなく、寸法までも瞬時に計測できる技術の開発が進んでいるのだ。しかも、人間がメジャーで測るよりも高い精度で。この「3辺計測」技術を開発したのは、グローバルで事業を展開する、コンピューターによる画像計測処理装置メーカーだ。

▲コグネックスの代名詞ともいえるバーコードリーダー

コグネックスコーポレーション。米国マサチューセッツ州で1981年に誕生した、工業用画像処理ソリューションのグローバルリーダーである。日本においても30年以上の歴史を持ち、2020年には日本法人に物流事業部が発足した。従来の製造ライン向けのソリューションに加え、運送会社や物流センターなどの顧客に、圧倒的に作業効率を高める画像処理ソリューションの提供をスタートした。

3辺計測の3つの着眼点、まずは梱包箱・商品の自動3辺計測

そもそも、コグネックスが物流ビジネスの2番目の柱として、3辺計測に着目したのはなぜなのか。その答えには、3つの着眼点があるという。

まずは、商品梱包の最適化だ。それは、日本の物流業界ならではの「慣習」に由来する。

日本の宅配サービスは一般的に、荷物の3辺の長さの合計サイズで料金が設定されている。荷物を発送する荷主企業は配送コストを下げるために、できるだけ商品の梱包を小型化して送料を安くしようとする。ESG経営の観点から、梱包材や緩衝材を節約しようとする傾向が強まっていることも、こうした動きを促している。

「手作業・自動梱包機などで梱包した様々な大きさの対象物を、コンベヤー搬送中に正確に3辺計測することで、物流会社のシステムと連携し自動的に運賃と結び付けたり、梱包の大きさごとに仕分けすることが可能になります」

コグネックス日本法人物流事業部の武田智彦事業部長は、ビニールに入っている洋服やタイヤなどの異形物についても、立方体の3辺値を計測・出力することが可能だと話す。さらに、測定を行うカメラは手に乗るサイズと非常に小型で、経験がなくても15分で計測開始ができるほど簡単という。

▲日本法人物流事業部の武田智彦事業部長

トラック積載率向上に不可欠なサイズ把握

続いて2番目の着眼点は、積載率の改善・最適化だ。

物流業界では、トラックの積載効率を高めることがトレンドとなっている。日本の運送業界の解決課題の一つに、積載計算を自動化することが挙げられる。

荷台に効率よく荷物を積み込むコツは、運送の世界では経験と勘頼みの「職人芸」とされてきた。それを3辺計測技術を活用することで、最大積載数を自動的に算出することが可能となる。

コグネックスは、こうしたニーズに対応するための取り組みとして、3辺計測技術の提案を進めている。「トラックの荷台の容積は決まっており、荷物の3辺の寸法が正確に把握できれば、無駄なく積載できます」(武田氏)

▲3辺計測技術による正確な寸法計測で積載率向上に寄与する

その結果、輸送トラック台数を減らすことができれば、ドライバーや燃料費、高速道路の通行料など輸送コストの削減効果を創出できる。まさに物流現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)化による業務効率の最適化だ。

在庫スペースの有効活用にも貢献

最後に、主にEC(電子商取引)事業者を想定した商品在庫スペースの最適化だ。

インターネットの普及とともに2010年代に普及し始めたECなどの宅配サービスは、新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり需要」の高まりで一気に定着した。その結果、物流倉庫で取り扱う荷物量は増加の一途。人手不足が急速に顕在化するとともに、荷物の在庫スペースの確保にも四苦八苦しているのが実情だ。

ECビジネスにとって、商品を顧客に届けるために不可欠なのが倉庫での商品在庫だ。いかに在庫を充実させるか。そのためには、倉庫内で商品を保管するスペースを極限まで無駄なく的確に確保しなければならない。それには何が必要か。コグネックスは、こうしたニーズにも着目している。

「一般的には商品そのもののサイズデータはメーカーより提供されるが、その製品の外箱のサイズデータはないケースが多く、最適な在庫スペースを割り当てるためには、この外箱のサイズを把握する必要があります」。 武田氏は、毎日多くの新規採用製品が入荷するEC系の物流センターでは、この採寸作業を手作業で行っているケースが多く、これを自動化させるニーズが高いと指摘する。

「静」に対応できるコグネックス3辺測定技術の強み

ここまで、コグネックスが3辺計測をバーコード読み取りに続く第2のソリューションと位置付ける背景についてみてきた。ところで、最後に触れた最適な在庫スペースを割り当てるための3辺計測の提案が、これまでコグネックスの展開してきたソリューションとは異質であることに気付いただろうか。それは、読み取り・計測の対象が「コンベヤー搬送中」であるか「静止状態」であるかの違いにある。

高速でコンベヤー上を流れる荷物のバーコード読み取りや梱包サイズの3辺計測、また積載の最適化は、コンベヤー搬送中の動く荷物を対象とした画像処理技術であり、まさにコグネックスの「真骨頂」というべき圧倒的な差別化を図れるソリューションだ。

▲静止した荷物の計測にも対応

一方で、在庫スペース最適化のソリューションは、作業台の上に置いた荷物の寸法を計測するのだ。「広視野を撮像可能な三次元カメラにより、移動する荷物だけでなく、静止している荷物の3辺計測にも対応できるのが、コグネックスの3辺計測ソリューションの特徴です」(武田氏)

一般的にはレーザー式が主流であるが、静止物の測定が困難であるほか、動体計測にも堅牢な設置架台が必要で、専門の技術者による設定も求められる。コグネックスの3次元カメラは、動体と静止物の両方に使用できるのがメリットだ。

この両方の用途に使用でき、誰でも簡単に設定できるという意味で、コグネックスの画像処理3辺計測は画期的なソリューションと言えるのだ。

バーコードリーダーと組み合わせた究極のセンシング技術

3辺計測技術を提案することで、日本の物流業界で、コグネックスは新たな市場創造を行っている。 実際どのように使用されているのか、また今後、どのようなアプローチでソリューション展開を進めていくのか。実例を紹介しよう。

物流倉庫で荷物の仕分けなどを行うコンベヤー搬送ライン。ここに2台の機器を装着する。バーコードリーダーと3辺計測用の三次元カメラだ。

コンベヤー上を荷物が流れてきた。ゲートで待ち構える2台の機器のうち、まずはバーコードリーダーが作動。赤い光を発しながら、荷物に貼られたバーコードを読み取る。それと同時に、三次元カメラが3辺のサイズを計測する。1秒にも満たない、まさに「一瞬」の出来事だ。

■ロジスティクスソリューション紹介動画(出所:コグネックス)

ここで終わりではない。測定したデータは、前述したそれぞれの目的に合わせ、ユーザーのシステムに連携され、まさに物流無人化実現への一助となっている。

コグネックス、物流DXの「旗手」になるか

日本での物流向けソリューションビジネスをスタートして丸2年を迎えるコグネックス。バーコード読み取り技術で知名度と実績を急速に高めているが、さらなるソリューションの充実を図るための武器となるのが、3辺計測技術だ。

コグネックスは、これらのソリューションを物流現場の生産性向上に寄与すべく、展開を進めている。 そこで重視しているのが、バーコード読み取り機器や寸法計測システムというデバイスを提供するだけではなく、導入時の投資対効果や回収計画の策定から機器の設置、アフターメンテナンスに至るまでオールインワンで提供出来ることだ。

コグネックスは技術認定エンジニアリングパートナー企業と連携しながら、トータルサポートによる「安心感」も提供することで、繁忙な物流現場の業務改善につなげる活動を行っている。

コグネックスは日本の物流業界のさらなる高効率化に貢献していく。ますます目が離せない。

コグネックスソリューション紹介ページ
寸法測定システム
https://www.cognex.com/ja-jp/solutions/3d-a1000-dimensioning-system
物流向けバーコード読み取りシステムとトンネル
https://www.cognex.com/ja-jp/solutions/logistics-systems-tunnels

■物流センシング特集