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滋賀県湖南市のマルチテナント型、新名神も意識した絶妙な「中継拠点」に

きめ細かな地元ニーズで成長を期す「GLP栗東湖南」

2022年2月25日 (金)

話題滋賀県の南西部に位置する草津市から栗東市にかけての一帯は、全国でも有数の交通の要衝として知られる。東海道を踏襲した国道1号と、北陸路を形成する国道8号が合流するほか、名神高速道路と新名神高速道路がジャンクション(JCT)でつながり、広域輸送トラックをはじめとする道路交通の要として発展を続けている。主に関西圏に本拠地を置く各種メーカーがこのエリアに工場や物流拠点を置いているのも、こうした交通アクセス性の高さが背景にある。

栗東市の東に隣接する湖南市にも、こうした活気が広がり、のどかな田園地帯が広がる一角に工業団地が完成するなど、産業都市としての色彩を帯び始めている。2016年には名神高速道路の「栗東湖南インターチェンジ(IC)」も誕生した。

▲マルチテナント型物流施設「GLP栗東湖南」の外観イメージ

そんな湖南市で、マルチテナント型物流施設の開発プロジェクトを進めているのが、日本GLP(東京都港区)だ。交通の要衝とはいえ、大都市圏から離れた湖南市に先進的な物流施設を計画する狙いは何か。そこには、新名神高速道路の全通も見据えた、物流施設としての新しい可能性を試す取り組みがあった。

すでに3分の1が契約済みの「GLP栗東湖南」

栗東湖南ICから4キロ、造成中の産業団地の一角に開発地はある。ことし2月9日には、この場所で「GLP栗東湖南」の起工式が執り行われた。滋賀県では3か所目となる日本GLPの開発案件は、23年3月に建築工事を完了する予定だ。

「すでに賃貸面積ベースで34%が契約済みの状況です。滋賀県に本社を構える地元企業ですね。その他企業からも、お引き合いを多数いただいています」。日本GLP営業開発部マネージャーの米田直人氏は、順調な成約状況についてこう語る。

▲営業開発部マネージャーの米田直人氏

GLP栗東湖南がこれほどの「人気」物件である所以。それは、滋賀県の物流マーケットが抱える特性にあった。

空前の「倉庫ブーム」にある滋賀県

中京圏と関西圏の中間に位置する滋賀県は、トラックドライバーにとって馴染みのある地名だ。しかし、その多くは「通過地点」として認識しているようだ。交通の要衝とは、言い換えれば「乗り継ぎ地点」を意味することからも分かるように、その場所自体が目的地ではないわけだ。

それゆえに、滋賀県の高速道路ICや国道沿いにある物流拠点は、その大半がメーカー所有の自社倉庫だ。つまり、GLP栗東湖南のような賃貸用マルチテナント型物流施設は、非常に少ない。一方で、メーカーの製造拠点が進出している関係から、その裾野を形成する工場は数多く存在する。こうした企業にとって、倉庫を探すのは一苦労なのである。

▲GLP野洲の外観イメージ

日本GLPはこうした滋賀県の倉庫事情に接する機会があった。21年3月に完工した「GLP 野洲」(滋賀県野洲市)の開発だ。米田氏が当時を振り返る。「GLP 野洲の建築工事中に、地元企業の担当者からは『ぜひ、ほかにも倉庫を建ててほしい』との要望をいただきました。非常に高い倉庫ニーズがあることを実感しました」。滋賀県は空前の「倉庫ブーム」が続いているのだ。

地元の倉庫ニーズに対応したGLP栗東湖南

日本GLPの物流施設開発をめぐる戦略には、大きく二つのアプローチがある。まずは、立地特性を分析したうえで物流施設を開発し、入居企業を集めるパターンだ。大規模多機能型物流施設「GLP ALFALINK(アルファリンク)」が代表例であり、物流施設デベロッパーとしては定石と言える手法だ。日本GLPが開発地を選定するに明確な意図があるのは言うまでもない。

もう一つが、その地域におけるニーズを把握したうえで、それに対応する形で開発するパターンだ。もちろん、日本GLP側にも進出するに足るだけの必然性や将来性を考慮して決定した案件ではあるものの、いわば「請願」を受けての施設開発という格好になるのは、鉄道駅や商業施設ならまだしも物流施設開発の分野では珍しい事例と言えるだろう。

▲「GLP岡山総社」外観

ところが、日本GLPはそこにビジネスチャンスを見出しているのだ。「GLP栗東湖南の開発に至った動機となったのは、地元ニーズの高さだったのです」(米田氏)。日本GLPにおける同様の事例は、13年2月に完成した「GLP 岡山総社」(岡山県総社市)がその先駆けだ。

物流施設がニーズを生むのか、それともニーズがあるから物流施設を開発するのか。物流ニーズの高度化・多様化が加速するなかで、こうした地域特性から生まれたニーズを確実にビジネスに変える柔軟さと俊敏さ。それが日本GLPの強みなのだ。

GLP栗東湖南の強みを最大化する「三つのキーワード」

とはいえ日本GLPも、GLP栗東湖南の最適な活用方法の青写真はもちろん描いている。ここでのキーワードが、「ドライバーの労務管理」と「BCP」「新名神」の三つだ。

先述の通り、滋賀県は中京圏と関西圏の中間に位置する。倉庫ビジネスの根付かなかった要因だったわけだが、逆にこうした立地を有効に活用できないか。ここで生まれたのが、名阪間の輸送中継拠点とする発想だ。

働き方改革関連法によってドライバーの労働時間に上限が設定されることで生じる「物流の2024年問題」は、運送業界のドライバー確保が難しいなかでまさに死活問題になっている。特に、長距離ドライバーの確保は、就業希望者の発掘や賃料確保の観点からも、極めてハードルが高い問題と位置付けられており、社会インフラである物流の維持を図るうえで最大の課題の一つだ。

「名阪間さらには首都圏と西日本の中継点としてのポテンシャルを見出すことはできないか。ここにGLP栗東湖南の潜在能力を見出そうとしています」(米田氏)。中継地点でトラック乗務を交代させることで、ドライバーの拘束時間は半分になる。日本GLPは、こうした中継機能を実現できるメリットを訴求することで、GLP栗東湖南の強みを見出そうとしている。

▲GLP栗東湖南を起点とした、車両で4時間以内で到達できる範囲

新名神のもたらす恩恵を引き受けるGLP栗東湖南

日本GLPがGLP栗東湖南のポテンシャル要素に掲げるのが、災害への対応力だ。滋賀県は海に面しておらず、大地震などの際に津波の被害に遭う可能性はゼロだ。こうしたBCP(事業継続計画)の観点で優位性を訴求することにより、中継拠点の機能をさらに説得力のあるものとする狙いもあるのだ。

最後に、ポテンシャルを発揮できる見逃せないポイントがある。それが新名神高速道路だ。

新名神高速道路は、滋賀県における産業立地の可能性を大きく広げている。既存の名神高速道路とは異なる三重県側からのアプローチが加わったことで、産業の空白地帯だったエリアが「ビジネス適地」への昇格を果たしたのだ。その効果は大きく、高規格の新名神高速道路が将来の国土軸を形成するにあたって、滋賀県は産業振興を一段と加速する千載一遇の好機と位置付けている。

その恩恵は、この湖南市にも波及することは間違いない。GLP栗東湖南は、新名神高速道路の「甲賀土山IC」からもアクセスできることから、関東圏・中京圏からのアクセス水準が飛躍的に向上。さらに関西圏の未開業区間が全通すれば、西日本からのアプローチも飛躍的に改善する。

西日本高速道路が新名神高速道路の全通時期について、トンネル工事をめぐる用地取得の遅れなどから目標より4年遅れて2027年度になる見通しを明らかにするなど曲折もあるものの、将来の物流メインストリートを見据えたGLP栗東湖南の取り組みは、今後さらに加速するだろう。

「大規模」と「地域密着」、硬軟を使い分けたしたたかな戦略

こうした立地面は、入居企業向けサービスにもプラスの影響を与える。物流関連企業の課題解決を支援する新たなサービス「GLPコンシェルジュ」を通して、入居企業は、輸配送網の整備や人材確保などの課題を無料で相談することができる。日本GLPの物件に入居することで、独自のソフトサービスの恩恵を受けられるメリットもあるのだ。

関西圏における業務の繁閑に応じたスペースの融通など、近隣拠点とのネットワークを生かした取り組みも期待できる。特に、滋賀県北部は冬季の積雪に悩まされることから、ほとんど雪の降らない栗東湖南エリアにおける県内の倉庫ニーズ獲得にもつながりそうだ。

GLP栗東湖南の開発プロセスから見えてきたもの。それは、大規模開発で市場を席巻する巨大プロジェクトとは一味違う、きめ細かな地域戦略にも精通した日本GLPの硬軟を使い分けたしたたかな戦略だ。地域における倉庫市況や荷主ニーズの精緻な分析に、日本GLPが独自に判断した成長性や拡張性を重ね合わせることで、開発地域の物流最適化を図れるスキームを完遂する。こうした取り組みこそが、日本GLPの地域と一体化した全国ネットワークを実現できる所以であると言えるだろう。

GLP栗東湖南の広域周辺図(クリックで拡大)

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問い合わせ:0120-08-7777
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