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日本GLP、関西圏初の大規模多機能型物流施設開発プロジェクト

関西の中心で物流勢力地図変える、ALFALINK茨木

2022年2月25日 (金)

話題大阪府北部の茨木市は、関西圏の中心都市・大阪市のベッドタウンとして発展してきた。その南端に位置する南目垣・東野々宮地区の広大な敷地。住宅や田畑に囲まれたこの場所が2年後の2024年、関西最大級の物流施設に生まれ変わるとは、にわかには信じがたい。

「GLP ALFALINK(アルファリンク)茨木」。日本GLP(東京都港区)が手がける大規模多機能型物流施設開発プロジェクト。「GLP ALFALINK相模原」(神奈川県相模原市)、「GLP ALFALINK流山」(千葉県流山市)、「GLP ALFALINK昭島」(東京都昭島市)と、首都圏での開発が進む中、「ALFALINK」シリーズ初の関西圏での開発案件だ。

「創造連鎖する物流プラットフォーム」をコンセプトとするALFALINKの関西デビュー。関西を中心とする荷主企業の注目が集まるこのプロジェクトにかける日本GLPの思いに迫る。

関西圏初のALFALINK、課題は「立地」と「広さ」

▲シリーズのコンセプトを象徴するGLP ALFALINK相模原の共用棟「リング」

物流施設の「概念」を変える――。日本GLPのALFALINKシリーズは、こうした理念からスタートした。ALFALINKには、多様化・高度化が加速する物流ニーズに対応できる量的・質的な機能を確保できる「大規模多機能型物流施設」という側面とともに、地域との共生を前提とした「街づくりの創出」というテーマも備えた、まさに新たな概念を打ち出すプロジェクトだ。

物流は社会に不可欠なインフラであることは、もはや論をまたない。とはいえ、物流現場では人手不足が顕在化。大型トラックが集まる巨大施設は、地域の生活空間に大きな影響を及ぼす。日本GLPはこうした物流施設のイメージを一新し、地域に受け入れてもらえるための仕掛けを施して街づくりを率先して進めることで、物流という仕事への価値観をも変えようという、壮大な夢を掲げる。その精神を具現化したのがALFALINKなのだ。

日本GLPは、首都圏の東西に位置する流山と相模原にALFALINKを配置することで、国内最大の消費地である首都圏の物流ハブ(中枢結節点)機能を確保。首都圏における荷物の入出荷や仕分け、保管、流通加工といった輸配送・ロジスティクス需要を一気に取り込む戦略だ。

▲(左)GLP ALFALINK相模原(右)GLP ALFALINK流山の全棟完成イメージ

その戦略を実現する「装置」であるALFALINK。それが存立するための必須要件は「立地」と「広さ」だ。関西圏におけるALFALINKの場所が茨木に決定するまでには、さまざまな曲折があった。

「ALFALINK最適地」探しに奔走

首都圏と同様に物流ニーズが急速に高まる関西圏。そもそも物件の供給面積が首都圏と比べて少ない関西圏では、空室率の低下が物流業界における課題になっている。日本GLPは、関西圏におけるALFALINKの整備を推進する方針を掲げ、首都圏と同時並行で検討を進めていた。そこで壁になったのが、まとまった土地の確保だった。

「ALFALINKの開発に必要な面積の確保、それが最大の課題でした」。日本GLP営業開発部ヴァイスプレジデントの松本正虎氏は、関西圏におけるALFALINKの開発用地の確保に奔走した経緯を語り始めた。「関西圏には、まとまった開発用地物件が非常に少ないのです」。

▲日本GLP営業開発部ヴァイスプレジデント・松本正虎氏

なぜか。その理由は二つある。まず、平野部が少ないという地理的要因だ。首都圏の広範囲を占める関東平野と比べて、大阪平野は関西の一部を成しているに過ぎない。さらに、明治時代以降の早い段階で産業集積が進んだこともあり、まとまった規模の余剰用地がほとんどなく大規模施設の建設には不向きなのだ。

もう一つの理由が、大阪湾岸部の土地の多くが大阪府・市の所有地であることだ。舞洲など人工島がその好例で、行政は広大な敷地を一回で入札にかけることをしないのが通例だ。「広大な土地があるにもかかわらず、民間には細かく分割した形で払い下げられるため、結果として広い土地の入手が難しい」(松本氏)というのだ。

なかなか開発用地の選定が進まない日本GLP。ALFALINKの関西デビューはもはや困難かとさえ思われたある日、ある企業から有力な情報がもたらされた。「茨木でまとまった土地が市場に出るらしい」。

茨木に候補を絞った「4つの条件」

早速、現地に向かった松本氏らALFALINKプロジェクトのメンバーは、この田畑や荒地が広がる土地を目にして考えた。「通常の発想であれば、開発には不向きなエリアだ。しかし、ALFALINKなら可能性はあるのではないか」。日本GLPは関西圏における候補地を絞り込んだ結果、茨木でのALFALINK開発を決定することになる。

松本氏は、紹介されたこの茨木市南目垣・東野々宮地区をALFALINKの開発地に決めた背景には、四つの理由があったと明かす。「従業員確保」「広域アクセス」「大阪市中心部へのアクセス」「関西圏三大都市の中心にある立地」だ。

茨木の開発地は、JR線と阪急線の駅からバスなどでアクセスが可能であり、近隣は大阪や京都のベッドタウンとして住宅地が広がることから、従業員の確保における優位性は高い。さらに、名神高速道路「茨木インターチェンジ(IC)」や近畿自動車道「摂津北IC」「摂津南IC」、さらには新名神高速道路や第二京阪道路を活用した近畿各地や北陸・東海・中国四国・九州への広域アクセス拠点を構築できるメリットがある。「特に新名神や第二京阪といった新しい高速道路は、渋滞回避やさらなる広域のネットワーク構築を求める荷主企業への強力な訴求ポイントになる」(松本氏)。

▲GLP ALFALINK茨木の広域周辺図(クリックで拡大)

さらに見逃せない利点なのが、大阪市中心部への移動のしやすさだ。淀川以北の大阪府北部地域を指す「北摂」地域は、京阪神を貫くJR東海道線や新幹線、阪急電鉄や主要国道といった交通機関が高度に発達する人口集積地域だ。大阪市内のみならず北摂地域は消費が活発なことから、こうした大消費地の後背地としてALFALINKが機能すると見込んだのだ。

関東で実現されたALFALINKの精神をしっかり受け継ぐ「茨木」

面積や立地条件に適合した開発地を確保することで、ついに始動することになったGLP ALFALINK茨木。3棟で構成し、隣接地には商業施設が整備される。23年1月から順次建築工事に入り、24年8月に1棟目と2棟目が、25年8月に3棟目が完成する予定だ。

敷地面積約13万5000平方メートル、延床面積約32万平方メートル。完成すると関西最大級の威容を誇る物流プロジェクトだ。首都圏の2施設に続く3か所目の物流ハブ機能が関西で完成することにより、国内の二大消費地をカバーする巨大な物流ネットワークが誕生することになる。

GLP ALFALINK茨木の具体的な施設構成や機能については、まさにプランを検討中だ。もちろん、ALFALINKを構成する「Open Hub」(オープンハブ、物流をもっとオープンに)▽「Integrated Chain」(インテグレイティッドチェーン、サプライチェーンをつなぐ)▽「Shared Solution」(シェアードソリューション、ビジネスの進化をサポート)−−の三つをキーワードに設定した創造連鎖する物流プラットフォームというコンセプトを踏襲するのは言うまでもない。

とはいえ、立地産業の性格も強いのが物流施設だ。「茨木では、冷凍冷蔵設備を最初に基本機能として導入することも検討しています」(松本氏)。北摂地域には食品メーカーの拠点が多いことに加えて、GLP ALFALINK茨木の西側には北大阪トラックターミナルや大阪府中央卸売市場があるなど、食品関係の荷物の取扱ニーズが高いとみているためだ。

広大な床面積を誇るALFALINK。その活用方法を柔軟に発想できるのも、巨大施設ならではの強みだろう。日本GLPは、輸配送網の整備や人材確保、スペースの有効活用など多様な物流課題にかかる相談を専用デスクで受け付けるサービス「GLPコンシェルジュ」を展開しているが、もちろんGLP ALFALINK茨木への入居企業もそのサービスを利用できる。

関西圏の物流施設の勢力地図を一変させる予感

ALFALINKを語るうえで欠かせないのが、地域共生の取り組みだ。GLP ALFALINK茨木には、首都圏のALFALINKと同様にコンビニエンスストアやカフェ、温浴施設や多目的運動施設など(計画の詳細は変更の可能性あり)を盛り込んだ共用スペースを設置する。隣接する商業施設と共有する回廊も整備することで、敷地内に住民が足を踏み入れやすい仕掛けを考案中だ。

▲カフェテリアのイメージ

「GLP ALFALINK茨木の共有スペースにある店舗で隣接店舗の商品やサービスを提供するなど、コラボレーション企画のアイデアを集めています。こうした相互連携も、ALFALINKのコンセプトである地域共生を具現化する取り組みになると考えています」(松本氏)。

2年後の着工に備えて、デザインの策定を本格化させる日本GLP。関西圏で新たな「地域に開かれた物流施設」の花が咲くのはもうすぐだ。関西圏の物流施設開発の動きにも大きな一石を投じるのは間違いない。空前の低空室率が続く関西圏の物流施設だが、量から質への発想の転換が一気に加速しそうだ。こうした潮目を生み出した要因の一つが、新名神高速道路の開通だ。特に手狭な経年施設が目立つ北摂地区での物流施設の戦力地図を一変させる、そんな予感を抱かせるGLP ALFALINK茨木プロジェクトがいよいよ胎動の時を迎えようとしている。

施設詳細・問い合わせ
GLP ALFALINK茨木の詳細はこちら
問い合わせ:0120-08-7777

■物流施設特集 ‐関西編‐