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グリッド、社会インフラ特化型のSaaS開発に着手

2022年12月6日 (火)

サービス・商品グリッド(東京都港区)は6日、サプライチェーンなど社会インフラ特化型のSaaS(必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるソフトウエア)「ReNom Apps For industry(リノーム・アップス・フォー・インダストリー)SaaS」の開発を始めたと発表した。

SaaSの開発形態は、業界を問わない業界横断型から特定業界への特化型に移行してきている。グリッドは、社会インフラ分野における豊富なAI(人工知能)開発実績を反映。社会インフラ分野に特化したSaaSの開発に着手する。

▲ReNom Apps For industry SaaSの画面イメージ(出所:グリッド)

社会インフラ分野の現場で策定される計画業務は、刻々と変化する状況に応じて熟練の担当者が無数の組み合わせの中から多大な時間と労力をかけて最良と思われる計画を立案しているのが実情だ。こうした観点から、現場業務の属人化や効率化が懸念すべき問題として認識されるようになってきた。

こうした問題を解決するべく、グリッドは、サプライチェーンや海運、電力、交通など社会インフラを支える企業を対象としたAI・デジタルツインに係る技術を活用して、計画業務の自動化・最適化システムの開発・導入によるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきた。

ReNom Apps for Industry SaaSは、サプライチェーンと海運、電力の3分野に特化。原材料調達や生産計画など、サプライチェーン全域に対応した計画をはじめ、多様な製品の輸送に対応した配船計画、さらに発電所の発電機起動・停止計画の効率的で最適な策定を支援する。

▲サプライチェーン(ReNom GX)、電力(-POWER)海運(-Vessel)、の3分野に特化した

このソフトウエアの開発により、これまで年単位でかかっていた個別の最適化システムの開発が数か月単位に短縮される効果を見込めるほか、複雑な問題に対する高度な解決策を短期で提供することも可能になるという。

グリッドは既に3分野の標準機能の開発を完了。各分野の専門機能を実装するとともに利便性を高めていく。曽我部完社長は「ReNom Apps for Industry SaaSの開発により、物流現場の業務を少しでも軽減するとともに業界の発展に貢献していきたい」と意気込む。

汎用型から特化型へ、問題解決システムの潮流をつかむグリッド

サプライチェーンをはじめとする現場が抱える諸問題。その解決を促すシステムの開発が急速に進むなかで、ある潮流が生まれている。「汎用型」から「特化型」への遷移だ。

今回グリッドが開発に着手するReNom Apps for Industry SaaSも、こうした文脈を如実に反映した取り組みと言ってよい。異常な細胞だけでなく正常な細胞にも攻撃的に作用してしまう従来の薬に対する、病気の原因に関わる特定の分子だけを選んで攻撃する分子標的薬の特徴に似ている。

ところで、現場の問題を解決するためにはどちらのアプローチがより有効に機能するのか。答えは明白であろう。現場における問題について、どこまで正確に認識しているか。その起因から今後想定される問題の動向、さらにその解決が図られた後のイメージ――。現場さらには経営者がこうした要素をきちんと分析できているならば、特化型は強力な問題解決の手法になるだろう。

(イメージ)

裏を返せば、こうした検証が十分にできていないならば、汎用的なアプローチで問題の解決を図るのが得策だろう。まずは問題の全体像を浮かび上がらせた上で、それぞれのテーマに応じた解決法を探り個別に対応していく。そういう観点で見つめてみれば、特化型アプローチが先鋭化してきた背景には、業界における現場の問題を抽出する動きが進んできた実情もありそうだ。

社会に不可欠なインフラとして認識されるようになった物流機能。近年は、さらに広い概念としてサプライチェーンの最適化を推進するDXの取り組みが注目されるようになってきた。

強みのAIやデジタルツインの活用によるインフラにおける問題解決に独自のビジネス機会を見い出すグリッドは、こうした潮流のなかで最適な手法を提示していく特化型アプローチを象徴する存在になる予感がある。(編集部・清水直樹)

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