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船舶部品の安定供給確保へ支援法人を公募、国交省

2022年12月28日 (水)

(イメージ)

公募・入札国土交通省は28日、主機エンジンやプロペラ、ソナーといった船舶の部品に関するサプライチェーンを強靭化するため、「安定供給確保を図るための取組方針」を策定したと発表した。また、特定重要物資となった船舶部品の安定供給確保を行う者の取り組みを支援する「安定供給確保支援法人」の公募を開始した。

国交省によると、12月23日に経済安全保障推進法に基づく11の特定重要物資の1つとして船舶の部品が指定された。それを踏まえ、同省は船舶部品の安定供給確保を図るための取り組み方針を策定。安定供給確保のための取り組みの基本的な方向や施策、取り組みを行うべき期間・期限などを定めている。

安定供給確保支援法人は、法の規定に基づき大臣が指定することとされている。その公募期間は12月28日から2023年1月30日17時まで。

エネルギーや食料などの輸送の99.5%を海上輸送に依存している日本では、船舶の部品の安定的な生産と船舶の安定供給が欠かせない。同省はこうした経済安全保障推進法に基づく取り組みを通じて、27年までに国内需要を満たすための十分な生産能力を獲得する方針だ。製造設備の整備を支援し、サプライチェーンを強靱化していくとしている。

■公募要領
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001581306.pdf

政府による船舶部品の安定供給確保策、海上輸送の機能強化を促す効果に期待

政府が船舶部品の安定供給を推進するのは、海上輸送における安全性を確保するとともに、環境性能を高めることで海運領域におけるカーボンニュートラル(CN)の実現に貢献する狙いがある。輸送モードの最適化の観点から船舶の機能を再定義する機運も高まるなかで、政府の施策の行方に注目したい。

海上輸送は、大量の貨物を一度に運べる利点がある。貿易量の大半を海上輸送に依存する現状で、政府が気をもむのが、CO2の排出削減だ。船舶の航行に欠かせない燃料については、重油からよりCO2の排出が少ないガス燃料への切り替えが思うように進んでいないのが実情だ。

その大きな理由が、ガス燃料に対応した船舶用機関の生産に欠かせない部品の安定的な調達への不安だ。船舶用機関を構成する部品の製造にあたっては高度な技術が求められることから、メーカーの数が限られているほか、新規参入には高い障壁があるとされる。

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政府は目標に掲げる2050年のCN実現に向けて、海上輸送におけるCO2排出量の削減を求めている。船舶の運航における持続的な安全性の確保を前提とした環境対応は、もはや対処すべき喫緊の課題になっている。とはいえ、海運や港湾事業者による自助努力でこれらに対応するのは、あまりにも現実味に乏しいと言わざるを得ない。

今回の政府による船舶用部品の安定供給を図る施策は、海上輸送の機能強化を促すためにも、将来にわたって重要な意義を持つ取り組みになりそうだ。具体的なアクションプランの構築と着実な履行を期待したい。(編集部・清水直樹)

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