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男性社員の育休取得推進を強化、キリンGロジ

2023年1月18日 (水)

▲イクボスセミナーの様子(出所:キリングループロジスティクス)

ロジスティクスキリングループロジスティクスは、男性社員の育児休暇の取得推進を強化している。2022年10〜12月には育休取得への理解を促すためリーダー層向けに「イクボス」セミナーや、全従業員を対象にした「仕事と育児の両立」に関するアンケートを実施。制度導入にとどまらず、組織全体に効果的に働き掛けることで、誰もが「必要な時」「必要なだけ」育休を取得できる職場の風土醸成を進めている。

同社が18日に発表した内容によると、2022年の男性育休関連の法改正を踏まえ、一昨年よりも男性の育休取得の推進に積極的に取り組んでいる。昨年11、12月に中野本社(東京都中野区)と西日本支社(兵庫県尼崎市)で開催したイクボスセミナーでは、安藤弘之社長が「男性の育休取得推進への取り組みは福利厚生ではなく経営戦略だ」と従業員に呼び掛けた。参加者同士による活発な意見交換や外部講師による講義やグループワークを通じて、働きやすい職場づくりには「リーダーの理解と職場での推進が必須」との意識付けを行った。

このほか全従業員向けには、男性の育児参加や育休取得について考えるきっかけを提供する短編動画を視聴してもらったり、社内の関連制度に関する理解度をチェックしたりする取り組みも行った。

キリングループの物流業務を担う同社のグループ従業員は1873人(22年1月現在)。

厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、育児休業取得率は女性が85.1%であるのに対し、男性が13.97%(2021年度)。政府は25年に男性の取得率30%まで引き上げる目標を掲げているが、現状では男女で大きな差がみられる。育休取得期間も女性の90%以上が6か月以上だが、男性は半数が2週間未満となっており「依然として短期間の取得が中心」という。

現場の就業環境改善に欠かせない、作業効率化と一体化した「全体最適」の視点

誰もが「必要な時」に「必要なだけ」育児休暇を取得でき、仕事と育児を両立できる職場風土――。少し前であればまるで夢物語のような就業環境の整備に向けた動きが、物流業界にも広がろうとしている。就業しやすい職場づくりを推進するキリングループロジスティクスが、より実効的な男性の育休取得策を講じることで、業界全体に同様の取り組みが広がることを期待する。

(イメージ)

物流現場はこれまで、あらゆる産業のなかでも従業員に占める男性比率が高く、しかも拘束時間が長い職場としての認識が定着してきた。肉体を酷使する典型的な職場であることに加えて、業務の性格から昼夜を問わない稼働が求められることも背景にある。所定の休日を確保するのがやっとで、ましてや育休取得などとんでもない――。それが大半の現場における実態だろう。

ところが、物流が社会に不可欠なインフラであることへの理解が広がり、業界に対する魅力を発信して将来を担う人材を確保する発想が広がり始めたことで、こうした実態にも少しずつ変化が生まれてきた。

物流現場における構造的な人手不足もさることながら、若い世代を呼び込むには業界のイメージの刷新が欠かせないと気付いたというべきか。育休をはじめとするワークライフバランスの発想は、もはや職業や企業を選択する重要な基準になっている時代にあっては、欠かせない視点なのだ。

もちろん現場で育休取得を促す環境を根付かせるためには、経営者をはじめとする管理側の理解が必要なのは言うまでもない。当然ながら、相対的な業務量や勤務シフト策定における負担が一定程度発生するからだ。業務の絶対量が変わらないならば、効率を高めて作業負担を軽減する取り組みが求められる。そこで検討すべきなのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとする現場業務の効率化・最適化に向けた方策だ。

そう思案すると、就業環境を改善するためにも現場業務の効率化・最適化は避けて通れないプロセスなのだということが分かる。現場における業務の見直しは、就業スタイルから作業負荷の軽減まで一連の取り組みとして考えることが必要なのだろう。つまりは「全体最適」だ。(編集部・清水直樹)

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