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ジェトロ調べ、アジア進出で「黒字」企業が減少

2012年12月19日 (水)

国際日本貿易振興機構(ジェトロ)18日、北東アジア5か国・地域、ASEAN9か国、南西アジア4か国、オセアニア2か国の合わせて20か国・地域に進出する日系企業に対し、現地での活動実態に関するアンケート調査を実施し、結果を公表した。

2012年の営業利益見込みを黒字とした企業の割合は63.9%で、前年調査から3.9ポイント減少。一方、赤字とした企業の割合は19.8%で、前年から5.6ポイント増加した。

景況感を示すDI値は11.3ポイントとなり、前年の12.8ポイントからわずかに悪化した。同値は、2010年に41.8ポイントを記録した後、2年連続で悪化している。

2013年の見通しは、改善するとした企業の割合が46.8%に達する一方、悪化は12年見込みから半減し、14.7%となった。DI値は32.1ポイントとなり、12年比で20.8ポイント上昇。改善の理由は「現地市場での売上増加」が最大。とりわけバングラデシュ、カンボジア、インド、ラオスなどの新興国ではDI値が50ポイントを上回り、力強い改善が見込まれている。

今後1-2年の事業展開の方向性を「拡大」と回答した企業の割合は57.8%と、前年の63.6%から5.8ポイント減少。中国では、拡大の割合が前年比14.5ポイント減の52.3%と、国・地域別で最大の減少幅となった。

タイ、マレーシア、シンガポールなどのASEAN主要国でも、同割合は前年から減少した。他方、インド、インドネシアに加え、ラオス、バングラデシュ、カンボジア、ミャンマーなどの新興国で事業拡大志向が強く示された。

今後の販路開拓では、インドや韓国、インドネシア、中国などを中心に、現地市場を輸出市場よりも優先する傾向が強い。現地市場でのターゲットは、進出日系企業から地場企業、外資系企業へシフト。直ちに取り組むべき課題は「品質・付加価値面での差別化」と「人材の確保・育成」。

経営上の最大の問題は「従業員の賃金上昇」。賃金上昇を問題点として挙げる企業は、中国、インドネシア、ベトナム、ミャンマーで8割以上となった。

その他の問題点では、「競合相手の台頭(コスト面で競合)」「現地人材の能力・意識」「調達コストの上昇」「従業員の質」などが上位に挙がっており、進出企業にとっての経営課題は、コスト面と人材面に集約される。

ここ数年、10%を超えるペースでの賃金上昇が続くベトナム、中国、インドに加え、インドネシアやタイなど10か国・地域で、2012年度の賃金ベースアップ率(前年度比、平均)が2ケタを記録。

13年度も、インドネシアやベトナムの製造業で20%前後の上昇が見込まれるなど、各国・地域の最低賃金引き上げなどを背景とする賃金上昇圧力は当面弱まる気配がみられなかった。

製造コストに占める材料費の比率は平均63.3%、人件費の比率は平均17.2%と、材料費はコストの大半を占める。コスト削減を目的とする部材の現地調達化は中国や台湾、タイなどを中心に進展。

今後、「現地調達率を引き上げる」との方針を示した企業の割合は全体で75%を超えた。また、現地調達率を引き上げる上では、調達先として進出日系企業よりも地場企業が重視されている。

■詳細は下記URLを参照。
http://www.jetro.go.jp/news/releases/20121218029-news/report.pdf