ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

Skypod、パレット自動倉庫、超低温自動倉庫など幅広い自動化で物流革新

自動化カテゴリー網羅、IHI物流産業システムの底力

2024年4月23日 (火)

▲3次元ピッキングソリューション「Skypod」

話題これまでも先進的な物流ソリューションを開発、提供し、実績を積み上げてきたIHI物流産業システム(東京都江東区)が、日本国内で高まる自動倉庫需要に対応する形で、Exotec(R)(エグゾテック、フランス)の3次元ピッキングソリューション「Skypod(R)」(スカイポッド)の普及に取り組んでいる。

スカイポッドは、3次元立体走行型の自動搬送ロボットが、ラックを昇降し、対象アイテムが入ったビンをピックアップして、ピッキング作業者の手元まで搬送するシステム。倉庫の上部空間まで有効に活用できる保管効率の高さと、アイテムの搬送作業をロボットが実行するGTP(Goods to Person)方式の高い作業性能を両立する。

同社の取締役で営業部長を務める関雅美氏は、「ロボットが自律走行し、ラックを昇降し、ピックして作業者の手元まで持ってくる機能は、私たちが得意とするパレット式自動倉庫にはない小口需要への対応を補完するもの。日本国でのパートナーとして、その機能の先進性をしっかりと訴えていきたいと考えています」と語る。

3次元立体走行の機動力、保管力に優れるスカイポッド

関氏がスカイポッドを評価するのは、まず何よりそのスループットの高さ。1ピッキングステーション当たり最大で毎時400行数の出庫能力を発揮する。ロボットの3D走行機能が高い作業生産性を実現し、ロボット台数や、ピッキングステーション数の増減によって、柔軟な機能拡張にも素早く対応することができる。「事業成長に応じた機能拡張を行うことができるので、ハードルが高いと思われがちな自動化システム導入においても、まずはスモールスタートから実現することも可能です」(関氏)

▲取締役・営業部長の関雅美氏

また、大手デベロッパーの提供する汎用型の物流施設において、その天井高を活用した保管効率の向上を目指せることもスカイポッドの強みである。棚搬送型GTPでは、上部空間を有効に活用できないという弱点を補い、限られた空間を効率的な保管スペースとしてフル活用することが可能だ。

「パレット式自動倉庫や、シャトル型自動倉庫など私たちで展開する領域ではカバーしきれない分野にスカイポッドを提供することで、物流の全域で自動化ソリューションによる効率化、具体的な革新が進められ、2024年問題の解決の1つの手法になると考えています」(関氏)

同社がスカイポッドのターゲットに据えるのは、3PL企業や卸売業、EC(電子商取引)事業者、さらに小売企業である。EC需要の増加においては、物流現場の自動化、省人化が急務であり、まさにスカイポッドの機動力やアイテムの取り扱い能力が活用できる領域となる。「ECや小売事業のピースピッキング領域において、もっとも合理的なシステムがスカイポッドではないでしょうか。エグゾテックが、24時間365日リアルタイムで稼働状況を遠隔監視、現場トラブルにも即座にサポートできる体制を整えていることも、ユーザーに自信を持ってお勧めできるところです」(関氏)

スカイポッドは、先進的な小売事業者や、急成長のEC事業者へも続々と導入が進められ、その運用実績が評価されている。特に米国や欧州では導入の伸び率も高いが、日本ではまだまだ自動倉庫自体が普及の途上にあることは否めない。日本では自動倉庫の導入理由として、「作業効率化」「人手不足対応」ばかりが注目されがちだが、欧米では労務費高騰への対応が大きな理由を占めていると関氏は語る。

庫内作業者の賃金も、すでに日本とは「桁違い」となった欧米では、人による作業から自動化に転換することが事業計画においての重要な対策となり、日本では高額と感じられる自動化の設備投資も、欧米の倉庫作業者の賃金水準で比較すれば、驚くほど短期間で投資費用を回収することも可能となるなど、極めて合理的な選択肢となって、自動化ソリューションの導入を加速させている。日本の倉庫自動化を促進させるきっかけとなるのも、あるいは倉庫内作業者の賃金の上昇こそが大きな要素となるのかも知れない。

自動倉庫をより身近に、自動化倉庫の知見で導く現場ごとの最適解

日本ではまだまだハードルが高く、導入することが「冒険」となる自動化倉庫だけに、まずはシェアリングなど、使いやすい環境を用意することで、運用のきっかけ作りを促す取り組みにも着手した。

現在建設が進められている野村不動産の物流施設「Landport横浜杉田」(横浜市金沢区)では、3-4階の一部に設けた空間に、同社の立体型自動倉庫システムを設置し、複数の入居テナントや幅広いユーザーが共同利用できるシェアリングサービスを促進する計画だ。利用者は導入費用や設置期間を考慮する必要がなく、波動に応じて柔軟に利用することもできる。初期費用や固定費用なしで、自動倉庫の生産性を事業活用できるようにするほか、同社のAIデパレタイズロボットシステムや、ピースピッキングロボットなどの自動化機器をレンタルするサービスラインアップも実現する。

▲「Landport横浜杉田」の模型

この施設に設置するパレット自動倉庫などは、スカイポッドとは別領域の物流需要に対応し、総合物流機器メーカーとして50年以上、物流センターの自動化に取り組み、大規模な自動倉庫施設やデパレタイズ/パレタイズロボット、ピースピッキングシステムなどを投入してきた同社の基幹技術の1つである。なかでも、「超低温」での自動倉庫技術は同社の得意とするカテゴリー。作業者にとっても過酷な現場となる冷凍倉庫の自動化は、労働環境の改善による人材確保を目指す物流事業者においても重要な取り組みとなり、関心も高まる。

▲マイナス25度の「超低温帯」で稼働する自動倉庫システム

「デベロッパーからの引き合いも急増しており、物流施設としてはパレット自動倉庫だけでなく、お客様の既設冷凍冷蔵施設に対応できる自動化機器の問い合わせが殺到している状況。老朽化した冷凍倉庫の建て替えにおいて、保管物の移動や、建設コストを抑える対応としてデベロッパーの用意する冷凍冷蔵施設の賃貸利用に切り替える傾向もあるようです」(関氏)

同社は、パレット式自動倉庫などで自動化技術を培い、現場に応じてはスカイポッドを投入するなど、現場ごとのソリューションを提供する。標準化を基盤にしながらも、そこからはみ出すニーズにも対応できる技術力で、冷凍冷蔵自動倉庫など付加価値のあるソリューションを手掛け、物流の全領域に対応できるからこそ最適解に導ける。スカイポッドや、そのほかのマテハン機器は、同社の「IHI横浜ロジラボ」(横浜市磯子区)で体験することもできるので、まずはそのオールマイティーな対応力を頼りに相談することだけでも、立派な物流効率化の大事な一歩となるはずだ。

▲「IHI横浜ロジラボ」内部

IHI物流産業システムの「自動化ソリューション」

<3次元ピッキングシステム紹介動画>

<自動化ソリューション導入事例>
ホクガンウーケ中部興産三井不動産森本倉庫