調査・データ神奈川県トラック協会は25日、「物流の2024年問題」について、運送関係者と一般消費者を対象に行った意識調査の結果を公表した。運送関係者からは解決策として「適正な運賃や送料の値上げに理解を示す」「ドライバーの待遇を改善する」といった回答が多く、再配達の有料化を求める声も多かったのに対し、一般消費者の3割が再配達の有料化に否定的な回答をするなど、意識に差が見られた。
「物流の2024年問題」への理解や意識を探ろうと神奈川県トラック協会が、県内の運送関係者と、20歳から69歳の一般消費者を対象に、4月から5月にかけてインターネットを通じてアンケートを実施。運送関係者1035人、一般消費者3000人から回答があった。
運送関係者に、「2024年問題」やドライバー不足を解決するために必要だと思うことを複数回答で尋ねたところ、「荷物を運ぶ適正な運賃や送料の値上げに理解を示す」が71.2%で最も多く、次いで「トラックドライバーの待遇を改善する」が(71.1%)だった。意見として、「賃金面での待遇と待機時間の問題を改善しないと、これから先さらに人手不足になっていく」「輸送会社だけでは解決できないので、荷主も待機時間の削減や運賃値上げに積極的に協力してほしい」など、トラックドライバーの人手不足を懸念する声や荷主に改善を求める声があった。

(出所:神奈川県トラック協会)
ドライバーの負担を重くしている要因とされる「運ぶ以外の付帯業務」については、フォークリフトでの積み下ろしをしていると答えたドライバーが63.3%で、手作業での積み下ろしをしているとの回答も52.5%あった。また、指定された時間から積み下ろしを始めるまでの「荷待ち時間」については、「1日平均2時間以上」と回答したドライバーが15%以上にのぼり、中には5時間以上という回答もあった。
また、時間外労働の規制が厳しくなったのを受け、「予定外の待機や商品の持ち帰りなど荷主の都合による拘束時間が増えている」「1日に走行できる時間も限られるようになったため、高速道路の利用は必須。高速料金の負担は発注者の負担にしてほしい」といった声もあった。
一方、「物流の2024年問題」への理解や認識を尋ねたところ、一般消費者の35.6%が「名称も内容も理解している」としたものの、「名称も知らない・内容も分からない」との回答も29.2%にのぼった。特に20代では「知らない・分からない」が49.7%を占め、若い人ほど理解が低いという結果になった。
ドライバーの負担軽減のため、再配達の有料化が議論されることもあるが、一般消費者の32.4%が「追加で支払うことはできない・考えられない」と回答。適正な額として最も多かったのは「100円から300円未満」の28.7%だった。運送関係者からは「再配達の希望者には2回分の運賃として1000円以上負担してほしい」、「置き配の施設の充実や、不在の場合は受け取る側が自ら引き取りに来る制度を導入してほしい」といった声が上がっており、ドライバーと一般消費者の間には認識に大きな隔たりがあることがうかがわれた。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com