調査・データ事業用総合不動産サービスのCBREは31日、2024年第2四半期(Q2、4〜6月)の大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室状況や平均賃料を公表した。近畿・中部・福岡圏では前期(Q1、1月~3月)に比べて空室率が低下し、賃料は中部圏と福岡圏で上昇傾向が見られた。
同社のまとめによると、近畿圏LMTの空室率は対前期比1.6ポイント下がり、3.7%だった。今期の新規供給は滋賀県南部の1棟で、満床での稼働開始となった。既存物件では主に周辺部の複数の物件で空室の消化が進み、周辺部の空室面積は2.7万坪と前期に比べほぼ半減した。今期は物流企業を中心に電子商取引(EC)、食品、日用品など消費財を扱う企業をはじめ、多くの業種で活発な動きが見られ、大規模な面積の契約が目立った。
24年に完成予定の物件は残り6棟あるが、内定率は70%を超えている。このため、25年の新規供給が予定されている物件にも具体的な引き合いが増えており、既に満床となった物件も複数みられる。特にランプウェイのある物件はエリアを問わず引き合いが強かった。
実質賃料は1坪当たり4160円で、前期と変わらず横ばいだった。賃料水準の低い地域での新規供給が平均を押し下げたが、既存物件の中でもスペックが高くテナントの使い勝手が良い物件や、駅から徒歩圏の物件では賃料が上昇傾向にある。
中部圏のLMTの空室率は対前期比1.9ポイント下がり14.6%だった。今期の新規供給は内陸部の1棟で、完成時には複数テナントで満床となった。前期に完成した1棟も満床となり、既存の複数物件で空室が消化されるなど、需要は旺盛だった。
今期は物流企業を中心に食品や日用雑貨といった消費財のニーズが見られ、製造業関連の需要も高かった。25年に完成予定の物件でもテナントの内定が進んでいる物件が複数ある。一方で、既存物件では新築物件への移転によって空室が発生したケースがみられた。24年の完成物件は残り1棟と少ないが、25年Q2には5棟の新規供給が集中するため、空室率が上昇する可能性がある。
実質賃料は1坪当たり3640円で、対前期比0.3%の上昇だった。製造業が集積する東部地域で空室が枯渇しており、賃料が上昇傾向にある。また、市街地に近い地域でも賃料は上昇基調となっている。
福岡圏LMTの空室率は対前期比1.7ポイント下がり3.2%だった。新規供給1棟が完成時にほぼ埋まったほか、複数の既存物件でも空室の消化が見られるなど需要は堅調だった。今期は食品、日用雑貨などの消費財から半導体関連まで多様な業種からの需要があり、今後もまとまった面積を検討する企業が複数ある。24年の完成予定物件は残り1棟で、空室率は今後も低く推移するとみられる。
実質賃料は1坪当たり3490円。対前期比0.6%増と6四半期連続の上昇となった。鳥栖方面の物流立地としての評価が高まっており、賃料の上昇基調が続いている。
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