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霞ヶ関キャピタル、冷凍自動倉庫の地方展開を示唆

2024年9月27日 (金)

拠点・施設霞ヶ関キャピタル(東京都千代田区)は27日、完成した冷凍冷蔵倉庫「LOGI FLAG TECH(ロジフラッグテック)所沢Ⅰ」のメディア向け内覧会を行った。

▲霞ヶ関キャピタルの杉本亮副社長

同施設の特徴は全自動の冷凍冷蔵倉庫であること。自動化と冷凍冷蔵倉庫の組み合わせの利点について、施設を開発した霞ヶ関キャピタルの杉本亮氏(取締役副社長ロジスティクス事業本部長・不動産開発事業本部管掌)は「作業者の負担軽減」と、「収容効率の高さ」を挙げた。天井いっぱいまでラックを設置し、人の手を介さずに荷物の出し入れが出来るのは自動倉庫ならではのメリット。同施設は自動倉庫であるため、人やフォークリフトの通路を確保する必要がない。そのため幅50メートル、奥行き30メートル、高さ20メートルの庫内スペースを最大限有効活用することができる。具体的には縦横1.1メートルのパレットに、高さ1.5メートルまでの荷物を積むことができ、庫内全体では同サイズのパレットを4200収容可能だ。

▲「LOGI FLAG TECH 所沢Ⅰ」内の自動倉庫

また、季節によっては外気温との温度差が50度を超える冷凍倉庫での作業は過酷であり、作業者の求人が難しい側面もある。労働者人口が減少する環境下では、自動化することは合理的といえる。杉本氏は「人手不足が叫ばれるなか、労働環境が過酷な冷凍倉庫には人が集まりにくい」とし、作業員の負荷を軽減した運用が可能な倉庫運用の利点を強調した。

▲垂直搬送機で下層から上層(冷凍自動倉庫)にパレットが送られる様子

庫内は2層構造。下層部分は室温5度に設定された入出荷エリア、上層部分はマイナス25度の冷凍倉庫になっており、作業者は主に下層で作業を行う。トラックが到着するとバースからパレットごと荷物を下ろし、施設内への収容専用のパレットに積み替える。あとは垂直搬送機にパレットを流せば、荷物が上層の冷凍倉庫に自動で収容される仕組みだ。基本的に冷凍倉庫に人が立ち入ることはないため、従業員にかかる負担は少なくなる。

同社はこの施設を皮切りにCOLD X NETWOR(コールドクロスネットワーク)というパレット単位で冷凍貨物を保管するサービス提供を開始。同サービスは短期の小口利用に特化したもので、1日1パレットから荷物を預けることができるというもの。アイスクリームやクリスマスケーキなど、冷凍倉庫を利用する商品は季節波動が大きいものも多く、繁忙期に合わせて倉庫を借りてもスペースを余らせてしまいがちだ。コールドクロスネットワークは一時的に増大する冷凍貨物の受け皿として機能する。

同施設では、4200あるパレットのうち、当面1000程度は上記サービスのために空けておくという運用を行う。またすでに全体の半数にあたる2000パレットは低温物流事業者のSBSゼンツウ(東京都新宿区)が確保している。SBSゼンツウは庫内の荷役作業も受け持つ予定。杉本氏は「当社は荷役作業を任せることができ、ゼンツウは自社のオペレーションを行いながら荷役料を得られる」とし、両社がWin-Winの関係であることを強調した。

すでに庫内の半分以上は使途が決まっている状態だが、杉本氏は当面の目標として稼働率95%を目指すとした。その上で「すでに問い合わせが多数あり、すべてを引き受けられないかもしれない」(杉本氏)とし、目標達成の目算は高そうだ。

杉本氏は冷凍食品の品質向上、食品ロス防止のための需要増などを理由に冷凍倉庫のニーズはますます高まるとの見通しを示した。新たな開発については「冷凍倉庫が扱う荷物の99%は食品。そのため消費地だけではなく、生産地にも需要がある」とし、今後は大消費地のみならず、地方にも目を向ける可能性があることを言明した。

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LOGISTICS TODAY編集部
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