調査・データ帝国データバンクは26日、今年1年間の食品の値上動向と、来年の見通しを公表した。今年1年間で値上されたのは累計1万2520品目で、昨年に比べ6割減少した。来年は再び、増加する見込みで、原材料高や物流コストの上昇などが要因となっている。
今年の値上げを月別にみると、年間で最初に1000品目を超えたのは2月の1626品目で、パスタソースなどパウチ食品のほか、トマトジュースなどトマト加工品が一斉に値上げされた。4月は2897品目と、23年10月以来6か月ぶりに2000品目を超え、ハム・ソーセージなど加工食品の一斉値上げがあった。3月以降は月1000品目を下回る水準が続いたが、10月には酒類・飲料を中心に年内最多の2924品目が値上げされ、11月は11か月ぶりに単月で前年同月を上回った。
円安による原材料コストや電気・ガス代などのエネルギーコストの高騰は一服感がみられたが、トマトやオリーブオイル、カカオ豆、海苔、オレンジなどが天候不順で不作となり、チョコレートなど菓子製品やオレンジジュースなどの値上げ要因となった。
来年1月から4月までに値上げが決定している飲食料品は、ビールなどの酒類・飲料、パン、冷凍食品など6121品目にのぼる。昨年同時期に判明していた今年4月までの値上げ予定品目数は3891品目だったことから、来年は春にかけて今年を上回る値上げラッシュとなる見通しとなった。
来年1月から4月で最も値上げ品目多い食品分野は「加工食品」の2121品目で、全体の約3割を占める。弁当向け冷凍食品類のほか、チルド麺、缶詰製品など幅広く、今年と同じペースで推移している。次いで多いのが「酒類・飲料」の1834品目で、缶ビールや缶チューハイ、輸入ワイン・ウイスキーなど洋酒、レギュラーコーヒー製品などが中心となる。「パン」も1227品目で23年7月以来1年6カ月ぶりの値上げラッシュとなる。
来年の値上げ要因で最も多いのは「原材料高」の93.2%で、3年連続で値上げ品目全体の9割を超えた。輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げも78.4%と8割近くを占める。最低賃金の引き上げや賃上げによる影響を含む「人件費」由来の値上げは43.9%だった。
同社では来年の見通しについて「企業努力による製品価格引き下げや据え置きによる販売量の維持は収益面で限界に達しつつあり、値上げマインドは再び高まっている。特に、値上げタイミングが集中しやすい2月から4月にかけて月当たり2000品目を超える値上げが見込まれ、今後の展開次第では月3000品目の大規模な値上げラッシュの発生も有りうる」などとしている。
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