行政・団体下請け業者に製造を委託した金属製品を不当に返品したとして、公正取引委員会は21日、鉄鋼商社の佐藤商事に対し、下請法違反(返品の禁止)で再発防止の勧告を行った。また、業者への支払い遅延もあったとして、同法違反で指導も行った。
公取委によると、同社は2023年2月以降、取引先に納入する金属製品の製造を委託していた下請け業者19社に対し、受け取り時に品質検査をしていないのに、製品に不具合があるなどの理由で不当に返品していた。また、81社に対して、法律で製品受領後から60日以内と定められた期日内に代金を支払っていなかった。
同社では納品の締め切りから最長で5か月後に下請け代金を支払う制度を取っていた。
不当な返品による損害分は総額1435万円で、支払の遅延による利息は3277万に上った。同社は指摘に従い、今年1月、返品相当額と遅延利息を下請け業者に支払っている。
公取委は、不当な返品を行わないことを取締役会で決議し、下請法の順守体制を整備するよう求めるとともに、支払いが遅延しないよう指導した。
佐藤商事は同日、ホームページで勧告と指導を受けたことを公表した。返品については「下請け業者との契約の中で、受入検査を委託していると誤った認識をしていた」とし、製品に不具合があれば、双方で状況を確認したうえで返品していたと説明。支払いの遅延については、支払いに関する認識が不足していたとした。
今後の対応については「下請法に関する知識・認識不足、モニタリングの不備などに起因するものと重く受け止め、役員をはじめ全従業員への周知徹底と啓蒙、継続的な研修の実施、社内のチェック体制の強化、モニタリングの実施などで再発防止に努め、法令順守を徹底する」としている。
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