調査・データアイルランドの調査会社、リサーチ・アンド・マーケッツは23日、「スマート倉庫市場の展望と予測レポート 2025-2030」を公開した。スマート倉庫市場は24年に280億米ドルと評価されており、年平均成長率(CAGR)8.44%で成長し、30年までに455億3000万米ドルに達すると予測されている。
近年、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、RFIDといった高度な在庫管理技術の導入により、スマート倉庫の需要が急増している。スマート倉庫のイノベーションにより、在庫をリアルタイムで最適化できるようになり、エラーの削減、タイムリーな補充が可能となっている。さらにAIを活用した予測分析により需要をより正確に予測し、在庫切れや過剰在庫を削減。IoT対応デバイスは倉庫システム間の通信を改善し、特にEC(電子商取引)、小売、製造業といった需要の高い分野で、スムーズな運用と連携の強化を実現している。
また倉庫の効率性向上のため、ロボット工学、無人搬送車(AGV)、自動倉庫システム(AS/RS)といった技術の導入が進んでいる。これらのソリューションは手作業への依存度を軽減し、運用コストを削減するとともに、ピッキング、梱包、仕分けといったプロセスをスピードアップすることができる。顧客が迅速な配送への期待を高めるなか、物流やECなどの業界では、シームレスな受注処理への関心が高まっており、自動化されたスマート倉庫ソリューションの需要がますます高まっている。
一方で、市場の成長を妨げる要因として初期コストが高いことが挙げられる。自動化システムの導入には、高度な機器、ソフトウェア、ソリューションへの多額の設備投資が必要であり、課題となる場合がある。特に小規模企業はこれらのコストを負担することが難しく、導入が遅れる傾向にある。さらに変化への抵抗や従来型の方法への依存が要因となる場合もある。
地域別に見ると、24年には北米が世界のスマート倉庫市場において35%の圧倒的なシェアを占めた。アマゾン、ウォルマート、フェデックスといった大手企業の存在に加え、自動化と技術革新を支援する政府の政策も市場の成長を後押ししている。欧州各国政府とEU(欧州連合)は、資金提供などを通じてサプライチェーンのデジタル変革を積極的に推進し、スマート倉庫の導入を奨励している。さらにアジア太平洋地域は、予測期間中にスマート倉庫市場で9.63%という最も高い成長率を達成すると予想されている。中国、インド、日本などの国々におけるIoT、AI、ロボット技術の急速な導入と、効率的な物流ソリューションへの需要の高まりが市場拡大を後押ししている。ラテンアメリカでは、インターネット普及率とモバイル利用の増加によりEC市場が拡大している。また、UAEやサウジアラビアといった国々における港湾や自由貿易地域といった物流インフラへの多額の投資は、国際貿易の効率化を図る高度な倉庫ソリューションを推進している。
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