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常石グループ、造船堅調で経常利益が88%増

2025年4月28日 (月)

財務・人事常石造船、神原汽船などを傘下に持つ常石ホールディングスは25日、グループ42社全体の2024年12月期連結決算を公表した。売上高が前期比16%増の3656億円、経常利益は88%増の458億円となった。

海運事業はドライバルク市況が底堅く推移したものの新造船の転売船が減少したことから、売上高が前年度比69億円(10%)減の592億円となった。一方、造船事業の売上高は、好調な海運市況を背景とした船価上昇や円安ドル高の影響で同386億円(16%)増の2748億円だった。

同グループの連結対象は国内22社、海外20社となっている。

売上高の69%を占める主力の造船事業は、旺盛な造船市況の需要を確実に取り込み、環境に配慮した船舶の需要が高まるなか、メタノール二元燃料船6隻を含む43隻の新造船受注を獲得した。前年実績より19隻の減だったが、十分な手持ち工事量を確保している。

新造船分野では、新燃料船の標準シリーズとして、「メタノール燃料ウルトラマックス」と「LNG燃料カムサマックス」を世界で初めて進水した。修繕分野では国内7拠点の修繕ネットワークを強化し、タグボートからLNG船まで多種多様な船型・船種の修繕が可能となった。一般商船分野において国内トップシェアを占めている。建造隻数は42隻で前年実績より1隻の減だった。

売り上げの15%を占める海運事業は、紅海での紛争を避け、スエズ運河ルートを避けるようになったことからトンマイル(輸送重量距離)が伸びたものの、新造船の転売船が減少して売上高は減収となった。傭船・貨物輸送部門では、下半期に中国経済の減速や欧州の脱炭素化によって市況が低迷したが、上半期に傭船料を固定化していたことから影響を回避できた。定期コンテナ船部門は、上半期は円安と消費低迷で輸入量が減少したが、下半期は在庫調整の解消や競合他社から同社への切り替えが進み、回復した。

神原汽船が主力事業としている中国の主要港と日本の地方港を直航で結ぶコンテナサービス(日中定期コンテナサービス)は昨年5月、スマートフォンアプリによる貨物ブッキングサービスを開始し、顧客利便性を向上させた。また、今年初夏に予定しているメタノール二元燃料ばら積み船の完成に向け、定期傭船契約を締結するなど、次世代燃料船への投資を進めている。

今後の展望については、造船事業では26年にEEDI Phase4をクリアした第7世代のKAMSARMAX、30年には省人運航船を実現した第8世代のKAMSARMAXを開発する予定となっている。また、常石工場では客船建造の実現に向け、生産ラインの自動化などを計画している。昨年、設計事務所を設立した東ティモールでは、28年の初番船引渡しを目指し、新たな工場を建設する。

海運事業では省エネ技術やバイオ燃料の活用を通じて脱炭素化を推進。定期コンテナ船では、航路の見直しによって定時性の向上を図り、顧客の利便性を高めていくとしている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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