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日新、純利益25%増の108億円 国際物流も回復

2025年5月12日 (月)

財務・人事日新は12日、2025年3月期の連結決算を発表した。売上高は前期比12.3%増の1908億600万円、営業利益は同19.4%増の96億3800万円、経常利益は同10.4%増の104億4600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同25.5%増の108億5400万円と、増収増益を達成した。同日、米投資ファンドのベインキャピタルによるMBO(経営陣が参加する買収)を受け入れ、株式を非公開化する方針も発表しており、今後は非公開体制下で中長期的な成長戦略を推進する。

物流事業堅調、海外も期後半に持ち直し

当期の業績を牽引したのは主力の物流事業。日本国内では、自動車関連貨物や食品、化学品などの取り扱いが堅調に推移。海上貨物は輸出入ともに安定し、航空貨物も自動車関連や機械・設備などが収益に寄与した。倉庫業務では、第2四半期から開始したEC関連貨物の取り扱いが貢献した。

海外の物流事業は、アジアでは自動車関連の荷動きが伸び悩むなど低調な動きもあったが、インドでの二輪完成車国内配送などが堅調だった。中国では、景気回復の遅れから売上・利益ともに計画を下回ったものの、連結子会社化した中外運日新の機械設備輸出や大阪・関西万博関連貨物が寄与。米州では、自動車関連貨物が第3四半期から回復。欧州では、ポーランドの倉庫業務が好調で、英国の収支改善やオーストリアでの輸出業務も貢献した。

この結果、物流事業全体の売上高は前期比11.8%増の1805億5400万円、セグメント利益(営業利益)は同14.3%増の76億5800万円となった。

旅行事業は、業務渡航が期を通して回復基調を維持し、企業の報奨旅行など海外団体旅行が収益を押し上げた。売上高は同22.6%増の88億4900万円、セグメント利益は同65.7%増の8億4400万円だった。不動産事業も、賃貸不動産事業が堅調に推移し、増収増益を確保した。

MBOによる非公開化で中長期成長目指す

日新は同日、ベインキャピタル傘下のBCJ-98によるTOB(株式公開買付け)に賛同し、MBOにより株式を非公開化する方針を発表。今後の業績予想および配当予想は、このTOB成立とそれに続く上場廃止を前提としているため、26年3月期については開示していない。

非公開化の理由として同社は、物流業界の競争激化、海上・航空スペースの調達力強化、海外事業拡大、デジタルフォワーディングサービス高度化、人材確保といった経営課題に対し、中長期的な視点で抜本的な施策を実行する必要性を挙げている。上場を維持した場合、短期的な業績への影響から大胆な投資や改革が難しいと判断。ベインキャピタルの支援のもと、非公開体制で企業価値向上を目指すとしている。

日新、MBOで非公開化へ ベインキャピタルと組む

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