産業・一般セイノーラストワンマイル、明光キャリアパートナーズ(東京都千代田区)、グローバルトラストネットワークス(豊島区、GTN)は10日、外国人女性の新たなキャリア創出と物流業界の人財不足解消を目的としたドライバー育成プログラム「HanaLogi」(ハナロジ)を、インドネシアで開始したと発表した。
2024年に外国人労働者を受け入れる特定技能制度に「自動車運送業」が追加されたが、海外では日本独自の物流文化やラストワンマイルに必要な体系的教育の機会が限られており、安全面やホスピタリティーを含めた実践的教育も不足している。東南アジアをはじめ、いまだ多くの国ではドライバー職が男性中心で、女性の活躍機会が少ないのが現状だ。これらの課題に対応するため、3社は連携してHanaLogiを立ち上げ、業界全体で共有できる教育・採用・定着モデルの構築を目指している。
3社はプログラム第1弾として、インドネシア・ブカシ州でプログラムを開始。受講生に対し、日本型ラストワンマイル配送に必要な運転技術、安全基準、ホスピタリティーを体系的に教育する。プログラムは対象者の経験や日本語力に応じて6か月から1年間実施し、修了者はセイノーラストワンマイルグループ各社が同社の運送スタッフであるハーティストとして採用する予定だ。今後はベトナム、カンボジア、ネパール、インドへも展開を予定している。

▲研修生は日本語を学んだ後、日本基準の安全意識を身に付けたドライバーに向けて教育、訓練を受ける(出所:セイノーラストワンマイル)
プログラムには5つの特徴がある。第1に東南アジア各国における女性のキャリア発展を支援し、特にインドネシアやベトナムなど、女性の就労機会が限られる地域に「ホスピタリティドライバー」という新たな職域を提示し、現地行政と協力して情報発信を強化する。
第2に育成した人材を業界全体で活用できるオープンプラットフォームを整備する。これにより、外国人採用のノウハウが少ない中小企業でも活用しやすく、業界全体の人材循環と定着率向上につながる。
第3に日本型ラストワンマイル配送に関する包括的な教育プログラムを実施する。運転技術、安全配慮、荷物取り扱い、接客対応などを体系化し、セイノーグループの現場知見を生かした実務的な教育を展開する。
第4に明光キャリアパートナーズが提携機関や短期大学と連携し、JLPT N3(日常生活でよく使われる日本語をある程度理解できるレベル)相当の日本語力を持つ人材育成を目指す。
第5にGTNの協力のもと、住居、通信、金融サービス、24時間365日の多言語サポート、医療通訳機能付き専用アプリなど、日本での安定した生活基盤の整備を支援する。また、自治体と連携し、外国人が安心して暮らせる環境を整える。
セイノーラストワンマイルは外国人女性の採用・教育、入社支援、物流人材育成モデルの構築、他社連携によるプログラム拡張を担る。明光キャリアパートナーズは、送り出し機関や教育機関の選定、人材のスクリーニングとマッチング、現地での実施体制構築、日本語・ホスピタリティ教育の設計、日本国内での多文化受け入れ体制構築を支援する。GTNは、日本での生活インフラ整備や定着支援、多言語相談サービスや医療通訳機能付きアプリの提供を担う。
これらの役割を基に、3社は今後、「物流人材コンソーシアム」構想を進める。このコンソーシアムは、業界横断型の外国人材育成・受け入れ支援を包括的にカバーする。参画を希望する企業、自治体、教育機関と連携し、勉強会や採用イベント、オープン型人材採用モデルの展開を計画している。同社は、物流業界の人手不足解決と東南アジア女性の新たなキャリア創出という二つの課題に取り組み、全てのプログラム内容とノウハウを業界全体で共有する方針だ。
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