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上半期の道路貨物運送業倒産数が5年ぶり減、TSR

2025年10月14日 (火)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は10日、2025年度上半期(4-9月)の道路貨物運送業の倒産件数は163件(前年同期比15.1%)で、5年ぶりに前年同期を下回ったとするレポートを公表した。道路貨物運送業の年度上半期の倒産件数は20年の83件から、毎年増加し、昨年度上半期は192件となっていた。今期は165件だった23年度上半期の水準にまで件数が減少した。

今年度上半期の負債総額は193億2300万円(同6.9%減)で、3年連続で前年同期を下回った。負債額別でみると、負債1億円以上5億円未満が50件(前年同期70件)、1000万円以上5000万円未満が73件(同84件)と減少しており、負債総額を押し下げた。

「人手不足」関連の倒産は36件(36件)で、「人件費高騰」と「求人難」がそれぞれ12件、「従業員退職」が7件、「後継者難」が5件だった。燃料費の高騰などによる「物価高」関連の倒産は、44件(59件)発生した。

物価高倒産の上半期倒産全体に占める構成比は26.9%と、前年同期の30.7%を下回ったことから、同社は「燃料価格の高止まりや車両費等が高騰するなか、価格転嫁が徐々に浸透した結果、道路貨物運送業の倒産は小康状態となった」としている。しかし、重層的な下請け構造で、荷主等との価格交渉が容易ではない商慣習もあって、各種コストの上昇に価格転嫁が追いついていない。さらに、深刻な人手不足が、受注機会の逸失も招き、業績が停滞している事業者に追い打ちをかけている。

こうした状況を改善するため、国は25年4月に「改正物流効率化法」を施行し、26年1月には適正な価格転嫁を図る「改正下請法」の施行が予定されているが、効果は見通せていない。

同社は「生産性の向上と同時に労働環境や賃金の見直しを通してドライバーを増やすこと以外、抜本的な解決策は見いだせず、経営が疲弊し、時間的な余裕がない中小・零細企業を中心に、今後も倒産件数は一進一退で推移するとみられる」としている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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