行政・団体経済産業省が公表したCLO事例集では、物流効率化法の全面施行を見据え、特定荷主がいかに全社横断で物流課題に向き合うかが問われている。そのなかで、油脂メーカーのJ-オイルミルズの取り組みは、「対話」を軸に社内外を巻き込みながら構造課題へ踏み込むモデルとして位置付けられる。
同社は食用油や油粕などを製造・販売し、売上高は2307億円(2024年度連結)、従業員数は1248人(25年3月末)。業務用油脂が売上の48%を占める主力分野だ。物流面では大型・小型ローリー、各種トラック、トレーラー、冷蔵車、ダンプカーに加え、外航・内航タンカーやフェリー、RORO船など多様な輸送モードを活用する。工程別に組織が分かれる体制のもと、調達物流、生産物流、販売物流がそれぞれ発生する構造を持つ。
こうした複雑な構造のなかで、従来は需給管理と販売物流を中心に対応してきたが、物流課題が社会問題化するなか、発荷主・着荷主としての責任を含めた全社横断の対応が求められるようになった。サステナビリティ委員会のもとに21年に外装標準化分科会、23年に物流分科会を設置。25年12月には執行役員SCM統括部長をCLO(物流統括管理者)に正式任命し、部門横断で議論・意思決定する枠組みを整えた。
取り組みの出発点は、自社物流の実態把握だった。時間軸と工程ごとに物流ネットワークを整理した「物流ハンドブック」を作成し、部内教育と他部門への説明ツールとして活用。これにより営業や工場などとの議論が具体化し、300件に及ぶサプライヤーからの改善要望にも、関係部署を巻き込んで対応を進めた。改善要望への対応状況をKPIとして管理し、2年でおおむね対応を完了している。
具体策の一つが外装表示の標準化だ。伝票と外装表示の不一致による誤納品が発生していたことから、「物流事業者に探させない・迷わせない」運用へ転換。味の素の外装ガイドラインに同調し、一括表示化を推進した。ロジスティクス部門単独ではなく、全社横断組織で方針決定と実行を担った点が特徴だ。
また、飼料原料など時間指定の概念が薄い領域にトラック予約システムと時間指定制を導入し、待機時間削減にも挑む。複数回の説明会を重ねることで運用を定着させた。
さらに、専門性が高く担い手不足が深刻なローリー物流については、個社では解決できない構造課題と位置付け、業界団体や行政と継続協議を進める。競合企業と協業するYBM会議を立ち上げるなど、業界全体での解決策模索にも踏み込む。
同社の事例は、CLOの役割を社内統括にとどめず、教育と対話を通じて共通認識を醸成し、業界横断で課題解決を図る点に特徴がある。物流効率化法への対応を契機に、個社最適を超えた持続可能な物流の在り方を模索している。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。


















