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ホワイト500に物流企業ゼロ、大手HD不在目立つ

2026年3月10日 (火)

(出所:経済産業省)

認証・表彰経済産業省が9日に発表した「健康経営優良法人2026」の認定法人一覧を本誌が分析した。大規模法人部門3765法人のうち、物流に関わる業種(陸運業63、倉庫・運輸関連業42、海運業4)は計109法人。中小規模法人部門では「運輸業」で1651法人が認定された。ドライバーの健康管理が経営課題となるなか、中小の運送事業者が着実に裾野を広げる一方で、業界の「顔」となる大手持株会社の多くが認定法人一覧に名前がない。(編集長・赤澤裕介)

持株会社と現場のねじれ

認定法人一覧をたどると、ある構図が浮かび上がる。NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)も事業会社の日本通運も名前がなく、子会社が個別に認定されている。ヤマトHD、ヤマト運輸本体もなく、SGHDも本体は不在。日本郵政はサービス業として認定を受けたが、日本郵便の名前はない。

▲健康経営優良法人2026における物流大手グループの認定状況(クリックで拡大)

この「持株会社は出さないが子会社は出す」パターンには、制度上の背景がある。持株会社には直接雇用の従業員が少なく、健康経営度調査で問われる健診受診率や保健指導実施率などの指標を出しにくい。ただし日本通運やヤマト運輸は数万人規模の事業会社であり、この説明は当てはまらない。グループの中核事業会社が認定を取っていないのは、制度の構造とは別の経営判断だ。ただし同じ構造でも対応は分かれる。セイノーHDは西濃運輸と共同認定、SBSHDは本体で認定と、グループとして健康経営を「見せる」意思があるかどうかが差に表れている。

もう一つ見逃せない事実がある。大規模法人部門の上位500法人に与えられる「ホワイト500」に、物流企業が1社も入っていない。陸運業で認定された6法人は東京メトロ、東急、JR東海、JR西日本、阪急電鉄、阪神電鉄と全て鉄道。海運、倉庫・運輸関連業もゼロだった。認定は取れても上位には届かない。物流の現場が抱える長時間労働、夜勤、生活習慣病リスクといった構造的な健康課題が、評価項目上のハンデになっている可能性がある。

大規模法人部門で認定を受けた主な物流企業は以下のとおり。福山通運やトナミHDなど、大手で一覧に名前がない企業も目立つ。

▲健康経営優良法人2026(大規模法人部門)に認定された主な物流企業(クリックで拡大)

中小規模法人部門の運輸業1651法人は、全認定法人2万3085の7.2%にあたる。建設業(5559)、製造業(5244)に次ぐ規模で、業種としての存在感は大きい。地域別では愛知県が突出し、自動車産業の部品輸送を担う中京圏の運送会社が厚い層を形成している。

▲健康経営優良法人2026(中小規模法人部門・運輸業)の主な地域分布

ブライト500(上位500法人)に入った運輸業は37法人で、全体の7.4%。認定全体に占める運輸業の割合とほぼ同じで、中小運送会社のなかにも質の高い取り組みを進める企業がいることを示している。

象徴的なのが愛知県瀬戸市の大橋運輸だ。従業員100人強の中小運送会社ながらブライト500の常連で、管理栄養士を正社員として雇用し、全社員への個別の食事指導を実施している。SAS(睡眠時無呼吸症候群)検査や脳MRI検査も導入し、「健康あっての安全」を掲げる。厚労省の健康寿命アワードも受賞した。特筆すべきは、健康経営のノウハウを地域に還元している点だ。瀬戸市・社会福祉協議会と3者で連携協定を結び、地域住民向けの無料運動教室や栄養相談を開催している。

ブライト500にはこのほか、宮城県南三陸町の山藤運輸、群馬県太田市のフレンズ運送、東京都江東区の丸橋運送店など有限会社も6社が入った。中小運送会社にとって健康経営は、コストをかけなくても知恵と仕組みで取り組める領域であることを、これらの企業が証明している。

物流業界はいま、24年問題を経てドライバーの働き方が変わる転換期にある。26年4月のCLO(物流統括管理者)設置義務化で、荷主企業にも物流現場の労務管理への関与が求められる。健康経営優良法人の認定は採用面でのアピールや金融機関の融資優遇にもつながるため、人手不足が深刻な運送業界にとって実利がある。大手のグループ単位での取り組み強化と、ホワイト500への物流企業の参入が来年以降の焦点となる。

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