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赤澤裕介のグローバルサプライチェーンブリーフィング

比で軽油300円台へ、各国の陸上輸送に危機波及

2026年3月27日 (金)

国際ホルムズ海峡封鎖を受けた燃料高が、陸上物流の料金表を書き換え始めた。内陸燃料サーチャージの一斉導入、郵便料金の上乗せ、全国規模の運輸ストライキ。過去24時間で表面化した動きを物流視点で整理する。(編集長・赤澤裕介)

陸の料金表が書き換わった

CMA CGMは27日積み荷分から緊急燃料サーチャージ(EFS)を改定し、長距離ヘッドホール貨物でドライコンテナ1TEUあたり265ドル(4万2000円)、リーファー320ドル(5万1000円)に引き上げた。16日の初導入時はドライ150ドル(2万4000円)、リーファー180ドルだったため、わずか11日で8割近い増額となる。APモラー・マースク、ハパックロイド、ONE(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス)もトラック・インターモーダル輸送向けの内陸燃料サーチャージを新設した。港からの横持ち・倉庫間輸送に別建ての追加コストが発生する仕組みが、主要船社4社で一斉に始まっている。

海上運賃の高騰は荷主にとってすでに織り込み済みだが、内陸サーチャージは契約時に想定されていない費目だ。既存契約では見込んでいなかった陸上区間の追加費用が、国や輸送モードをまたいで表面化している。

米国では郵便公社(USPS)が創設以来初の燃料サーチャージ導入を発表した。対象はプライオリティメール、USPSグラウンドアドバンテージ、パーセルセレクトなどの小包サービスで、4月26日から27年1月17日まで一律8%を上乗せする。軽油の全米平均価格は1ガロン5.37ドル(リットル換算で225円)と1か月前の3.75ドル(同157円)から43%上昇しており、競合のフェデックスとUPSも燃料サーチャージを25-28%まで引き上げたとされる。USPSは「競合が燃料だけで課している額の3分の1以下」としているが、eコマースのラストマイルを担う同社の値上げはオンライン小売全体の配送コストを押し上げる。

▲燃料高騰に伴う陸上物流の料金改定動向(クリックで拡大)

フィリピンでは燃料高への抗議で全国規模の運輸ストライキが26日から2日間にわたり実施されている。ジプニー、バス、UVエクスプレス、TNVS(配車アプリ)のドライバーが一斉に運行を停止し、首都圏を含む主要都市で公共交通と物流が混乱した。50万人のドライバーが参加したとされ、運輸団体によればマニラ首都圏で60以上の主要路線がまひした。フィリピン政府はドライバーへの5000ペソ(1万3000円)の燃料補助金支給や無料乗車サービスの提供で対応したが、運輸団体は石油規制緩和法の撤廃や物品税・付加価値税の免除を求めており、抗議行動は来週以降も拡大する見通しだ。フィリピンの軽油価格は1リットル120ペソ(320円)に達したとドライバー団体は訴えており、ドライバー1人あたりの1日の収入減は1500ペソ(4000円)に上る。

南アフリカでも4月に燃料値上げが見込まれており、業界筋はガソリン1リットル4ランド(37円)、軽油6‐7ランド(56-65円)の上昇を予想する。柑橘類の輸出シーズンを控えた農産物トラック輸送への打撃が懸念される。港湾側の処理は持ちこたえており、ダーバン港とケープタウン港の取扱量は前週比で増加したとされる。

荷主の負担増は海上運賃にとどまらない。内陸区間のサーチャージは海上運賃と別建てで追加される。港から倉庫への横持ち、倉庫間の転送、定温輸送のトラック区間、ラストマイルの宅配。これらすべてに燃料サーチャージがかかり始めたことで、荷主が見積もっていた着地コストが契約後に膨らむ事態が広がっている。

インド政府は対抗策として輸出支援策「RELIEF」(Resilience & Logistics Intervention for Export Facilitation)を発動した。予算規模は497クローレ(66億円相当)で、ECGC(輸出信用保証公社)を実施機関とする。3月16日から6月15日までの新規出荷に最大95%のリスクカバーを提供し、中小輸出企業には追加運賃・保険料の50%を上限50万ルピー(95万円)まで補填する。UAE、サウジアラビアなど湾岸10か国向けの貨物が対象だ。

CMA CGMのEFSは「市場動向に応じて随時改定する」としており、追加の引き上げを排除していない。USPSの8%サーチャージは27年1月までの時限措置だが、恒久的な燃料転嫁の仕組みへの移行を明言している。フィリピンの運輸団体は来週以降のさらなる抗議行動を予告した。内陸の燃料サーチャージは始まったばかりだ。

(円換算は3月26日時点のレート。1ドル=159円、1ペソ=2.65円、1ランド=9.3円で算出)

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