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政府がナフサ確保策を指示、備蓄26日放出へ

2026年3月25日 (水)

行政・団体政府は24日、首相官邸で中東情勢に関する関係閣僚会議の初会合を開いた。高市早苗首相は「石油製品の供給に支障が生じないよう、26日から国家備蓄の放出を開始する」と表明し、ナフサ(石油化学の基礎原料)を含む石油関連製品の安定確保に向けた対応方針の取りまとめを関係閣僚に指示した。同日の閣議では2025年度予備費から8007億円の支出を決定し、ガソリン補助金の財源も積み増した。ホルムズ危機の開戦(2月28日)から4週目に入り、政府の対応は原油の確保に加え、川下の素材供給も視野に入れ始めた。(編集長・赤澤裕介)

ナフサは備蓄薄く、物流資材に波及

閣僚会議には木原稔官房長官、茂木敏充外相、赤澤亮正経済産業相、小泉進次郎防衛相らが出席した。首相は「国民の命と暮らしを守る観点から、国内在庫を踏まえた対応方針を取りまとめてほしい」と述べ、ナフサを明示的に対策対象に挙げた。

ナフサが焦点に浮上した背景には、原油備蓄との備蓄量の差に加え、精製段階で燃料生産が優先される点がある。原油は国家備蓄や民間在庫をあわせて長期の供給余力が確保されている一方、ナフサは在庫水準が相対的に薄い。シティグループ証券のアナリストはナフサの備蓄日数を20日分と推計しており、備蓄原油が放出されてもガソリンなどの燃料生産が優先されるため、石油化学向け原料への即時効果は限定的との見方を示している。

川下では影響が出始めている。日本はナフサの6割を海外に依存し、その多くを中東から調達している。日本石油化学工業協会によると、国内のエチレン生産能力は年616万トン規模だが、原料制約が続けば減産はさらに広がる可能性がある。主な石化各社の動きは以下の通り。

▲ナフサ制約下での主要石化企業の対応(クリックで拡大)

ナフサ不足は物流現場にも直結する。エチレン由来のポリエチレンは包装フィルムや段ボール原紙に、PVCはパレットや設備資材に使われる。これらの供給が滞れば、輸送能力が残っていても出荷そのものが止まる。

一方、原油を巡る国際情勢は短期的に緊張がやや緩和した。ドナルド・トランプ米大統領は23日、イラン電力施設への攻撃期限を5日間延期すると発表した。ブレント原油先物は一時100ドルを割り込んだが、24日には再び100ドル台に戻している。イラン側は直接交渉を否定しつつ、仲介者経由で米国のメッセージを検討中と認めた。28日前後が次の節目になる。

政府の財政対応も本格化した。予備費8007億円のうち7948億円はガソリン補助金基金に充当され、本誌既報で指摘した基金残高2800億円の枯渇リスクは大幅に後退した。補助金の継続余力は1兆円規模に拡大している。現在の補助額は1リットルあたり30円20銭で、店頭価格を170円程度に抑える方針だ。16日時点の全国平均は190円80銭で過去最高を更新しており、補助がなければ軽油も含めて200円を大幅に超える水準にある。

ただし補助金は価格の急騰を抑える措置であり、供給量を増やすものではない。備蓄原油が精製されて軽油やガソリンとして流通するまでには時間差があり、ナフサへの配分は製油所の装置構成と収益性に左右される。物流事業者にとっての分かれ目は以下の3つの日付に集約される。

▲備蓄放出と物流影響の時間軸(クリックで拡大)

包装資材やパレットの値上がりと供給制約は、燃料費と異なり補助金の対象外だ。輸送能力ではなく「出荷そのもの」が制約になる局面に入り始めている。

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