ロジスティクス本誌編集部の記者たちが、4月前半で注目した物流ニュースを取り上げ、その背景や今後の影響について座談会形式で語り合いました。記事本文だけでは伝えきれない現場の空気感や取材の視点を、読者と共有するのが狙いです。
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関西物流展で連日生配信、有識者と物流課題を議論
記者A「関西物流展を回って感じたのだけれど、トラック運送事業者、特に中小企業の危機感が強くなっているね。2024年問題による労働時間短縮で収益が伸び悩むなか、ホルムズ情勢などの影響で事業計画の変更やBCPの検討に迫られている企業が多いようだ」
記者B「本当にそうだね。梱包資材そのものは作れても、それを入れるビニール袋が入ってこないという声を聞いた。アドブルーに関しても、液体自体はあるのにポリタンクなどの容器が品切れになり、出荷のボトルネックになっているケースがある」
記者C「行政や業界団体は『目詰まり』といった言葉を使って、情報を鎮めようとしている印象があるね。政府機関は国民を安心させる情報発信を優先しているのか、現場の危機感に対して少しのんびりしているようにも見える。ただ、実際にアドブルーの価格が2倍近くに跳ね上がっている事例もあり、需要と供給のバランスが崩れれば、かつての米騒動のような買いだめによる混乱が起きかねない」
記者A「使い捨てせざるを得ない包装資材がある一方で、液体容器のように再利用可能なものもある。代替策やリサイクルの仕組みを本格的に検討していかないと、今後の物資不足には対応しきれないだろうね」
記者B「使い捨てコンタクトレンズの容器回収などの事例を見ると、良質なプラスチックの循環は可能だ。農業分野でも浄水場の汚泥からリン酸を回収して肥料を国産化する動きがあるように、国内での資源循環システムを物流業界としても後押ししていく必要があると思う」
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生態系の謎を追え、日本郵船が挑む社会貢献の新領域
記者C「日本郵船が航海中の船でトンボの生態調査を行っているというニュースは面白かった。物流会社が環境問題や社会課題に直面する中で、現場の資産を生かした文化的な社会貢献を行うのは非常に独自性がある」
記者B「環境への負荷を下げるだけでなく、社会貢献を通じて自社のプレゼンスを高めるのは採用活動の観点でも有効だね。最近は学生の認知度を上げるために広報に力を入れる物流企業も増えている。中小企業であっても、少しの工夫でこうした取り組みを発信すれば、人手不足時代におけるブランド向上につながるはずだ」
記者A「他社でも、インドネシアでのサンゴやマングローブの保全活動、高尾山での植林活動などが行われている。寄付だけでなく、本業のリソースや社員の自発性を活かした地に足のついた活動が、今後のCSRの主流になっていくのかもしれないね」
記者C「環境保全も大切だけれど、日々大量のトラックが走っている物流業界ならではの社会貢献として、ドライブレコーダーの映像活用はもっと進んでいいと思う。道路の破損状況や自転車レーンの設計など、安全なインフラ作りに還元できるデータは膨大にあるはずだ」
記者B「三井住友海上やリコー、国土交通省などが実証実験を行っている事例はすでにあるね。ただ、ずっと実証の段階にとどまっている印象もある」
記者A「中小の運送会社にもインセンティブを設計して、特定のルートの画像提供に助成金を出すようなスキームがあれば広がりやすいだろう。自治体がインフラの老朽化をすべて監視するのは限界があるから、日々道路を走っているドライバーの生きたデータは非常に価値が高い」
記者C「そこにはもちろんプライバシーの問題があるけれど、本音を言えば、一般車両のドラレコ映像を使って、過積載や悪質な運転を行政指導するような仕組みがあってもいいと思うんだ」
記者A「それは少し過激な意見かもしれないけれど(笑)、社会受容性を高めるためにも、法制度や運用面でのクリアなルール作りがこれからの課題になりそうだね」
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冷凍食品消費が初の300万トン超、内需底堅く
冷蔵倉庫、在庫高止まりと構造課題が鮮明
記者A「冷凍食品の消費が初めて300万トンを超え、需要が底堅い一方で、冷蔵倉庫は在庫が高止まりして滞留しているという対照的な状況が起きている。新規参入が増えそうな市場だけれど、インフラ側の老朽化が深刻だ」
記者C「技術は進化していて品質は保たれているけれど、その分エネルギー消費も膨大になっているはずだ。倉庫での電力需要が高まるなかで、利便性と環境負荷というトレードオフをどう解消していくかが問われている」
記者B「例えばヤマト運輸でさえ、全国に400ほどの法人向け拠点があるなかで、冷凍冷蔵倉庫に本格対応している施設は1割にも満たないと聞く。高齢化社会を背景にした介護施設向けの調理済み食品や、人手不足から調理不要な飲食店向けメニューなど需要は確実に増えているから、今後各社がどうインフラ投資を進めるか注視したい」
記者C「日本郵便のような巨大ネットワークを持つ企業であっても、なかなか低温物流の領域に本格参入してこないのは、やはり全国規模での初期投資の負担が大きすぎるからだろうね。市場が拡大しているのに供給インフラが追いついていないこのギャップを、業界全体でどう埋めていくかがこれからの焦点になるね」
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