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編集部が見た最新物流ニュース雑感(3/27-4/5)

2026年4月6日 (月)
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ロジスティクス本誌編集部の記者たちが、4月上旬に注目した物流ニュースを取り上げ、その背景や今後の影響について座談会形式で語り合いました。記事本文だけでは伝えきれない現場の空気感や取材の視点を、読者と共有するのが狙いです。

霞ヶ関キャピタル、既存倉庫再生へファンド組成

霞ヶ関キャピタルは、既存の物流施設を再生しドライ倉庫として供給する新たなファンドを組成した。背景には資材費高騰により新築物件の供給が難化している現状があり、2027年頃には需要超過に転じるとの見通しを示している。これまで冷凍・自動倉庫など高機能施設の開発を牽引してきた同社が既存ドライ倉庫の再生に舵を切ったことは、不動産デベロッパー全体における戦略転換の象徴的な動きとして注目される。

記者A「霞ヶ関キャピタルが既存倉庫再生ファンドを組成したね。先日プロロジスの内覧会でも、資材費高騰で新築ドライ倉庫の供給が難しいという話が出ていたけれど、いよいよデベロッパーのトレンドが再生モデルへシフトしてきた印象だ。CBREが昨年、2027年頃に需要超過に転じるというレポートを出していて、デベロッパーの立場から市場を煽っているようにも見えたけど、結果的に現実味を帯びてきた形だね」

記者B「高機能倉庫を得意としてきたプレイヤーまでドライ倉庫再生に舵を切ったのは、それだけ需要ニーズが切実だということ。今後の市場バランスを注意深く見守る必要がありそうだ」

記者C「EC(電子商取引)など、都市部での倉庫の需要も依然として高い。東京・江戸川区の大型倉庫にはEC大手が入居したけれど、インフレを見越して、今の相場より高い賃料で長期契約を結んだそうだよ」

記者B「地政学リスクで建築コストや燃料費が上がっている今、早めに土地を押さえて建設を始めたプレイヤーが、賃料競争でも優位に立つ局面にきている。ただ、冷凍冷蔵倉庫の供給不足は依然として解消されていない。コスト高で供給がさらに細ると、冷凍食品の保管場所がなくなるという事態も懸念されるね」

ソニー・ホンダモビリティ、AFEELA開発中止

ソニーとホンダの合弁会社ソニー・ホンダモビリティ(SHM)は、事業方針の見直しに伴い、EVブランド「AFEELA」の第1弾および第2弾モデルの開発・発売を中止すると発表した。EV市場の環境変化によるホンダの電動化戦略見直しが主な要因。EVは多層的な調達構造を持つため、今回の開発中止は関連する部品調達や試作・量産物流の需要縮小など、物流業界のサプライチェーンにも大きな影響を及ぼす可能性がある。

記者B「ソニーとホンダの共同開発中止は、サプライチェーンに与えるインパクトが大きい。開発自体は相当進んでいたはずだから、物流現場の部品調達や量産計画にも大きな狂いが生じているはずだ」

記者A「三菱ふそうと日野自動車が設立した『ARCHION』(アーチオン)と比較すると、ソニーとホンダは資産や市場戦略の重なりが薄かったのかもしれない。アーチオンは大型の欧州と中小型のアジアという補完関係が明確だったけれど、AFEELAはエンタメ重視という特殊なロールモデルだったからね」

記者C「世界的にEV開発がトーンダウンしているなかで、物流業界でもグリーン経営のあり方が問われている。EVトラックの導入目標だけを掲げて、実運用のデータが表に出てこないケースも散見される。発電に化石燃料を使っている地域ではEVの効果も限定的だし、水素や合成燃料といった選択肢の併走が欠かせないよ」

記者B「個人的には発売されたら買いたいと思うほど期待していた『日本連合』の先進的なプロジェクトだっただけに、頓挫したのは正直ショックだよ。ただ、世界的なEV市場の減速や、国内の物価高・物流制限といった厳しい現実を直視すれば、自動車メーカー各社は夢のある開発以上に、生き残りをかけた泥臭い取り組みが急務になっている。他企業との協業においては、ホンダ、日産、三菱などが模索しているように、今後は共同輸送や拠点の一元化といった、より実利的な物流面での連携がどこまで加速するかが、大きな焦点になってくるだろうね」

物流大綱を閣議決定、2030年へ「集中改革期間」始動

政府は3月31日、2026年度から30年度までの物流政策の指針となる「総合物流施策大綱」を閣議決定した。深刻化する供給制約を背景に、30年度までを「集中改革期間」と位置付け、物流を社会インフラ・成長基盤と再定義している。「物流効率化」「行動変容」「人材確保」「標準化とDX・GX」「サプライチェーン強靱化」の5本柱を掲げ、単なる危機対応にとどまらない官民一体の抜本的な構造改革を求める内容となっている。

記者C「物流施策大綱で掲げられた『置き配率50%』は、インフラ整備が伴わなければ絵に描いた餅になりかねない。集合住宅での宅配ボックス義務化や、戸建て住宅への標準装備といった具体的な制度設計を建築許可レベルで進めていくべきだろうね」

記者A「4月1日から施行されたマンションの荷捌き場所設置義務化もそうだけれど、制度が現場のニーズに追いついていない面がある。タワーマンションの入館・配送動線の負荷などは、荷捌き場所があるだけでは解決しない深刻な問題だよ」

記者B「日本にもできはじめているけれど、中国の都市部のように、スマホ連動ロッカーや荷物受け取りのステーションが当たり前になるような環境作りが必要だね。コンビニや駅のスペース制約がある日本では、また別の形でのインフラ整備を国がリードすべきかもしれない」

記者C「それから、3月末に通達が出た自家用車による有償配送の緩和についても、市場では疑義が出ているね。大手EC企業が猛烈なロビー活動をしたことで、宅配分野での自家用車による配送が事実上進められることになったのではないかという指摘だ」

記者A「本来、全日本トラック協会などは『白ナンバー撲滅』を掲げて厳しく取り締まりを求めているよね。それなのに、国交省のこの緩和の動きに対して強く反対しなかったのはなぜだろうか」

記者C「物流全体の総量で見ると、ECなどの宅配便は実は10%程度に過ぎないんだ。全ト協の会員の多くは残りの90%の領域を担う業者が多いから、自分たちに直接影響の少ないラストワンマイルの宅配分野の緩和については、あえて強く反対しなかったのではないかな。ただ、全体として白ナンバーの取り締まりを強化する一方で、特定の分野では緩和を行うのは、公平性・公共性の観点から疑問が残る。このあたりの背景は今後の記事でも明確に伝えていきたいね」

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