調査・データ日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が30日公表した「2025年度物流コスト調査報告書(概要版)」によると、売上高に占める物流コスト比率は5.32%(全業種平均)となり、前年度から0.12ポイント低下した。ただし過去20年では4番目に高い水準で、物流コストは引き続き高止まりしている。
調査は205社の有効回答をもとにしたミクロデータで、主に24年度実績を反映している。単年度では低下したものの、長期的には上昇傾向が続いており、物流事業者からの運賃・料金の値上げ要請や、労働力不足に伴う人件費上昇の影響が浮かぶ。実際、値上げ要請を受けた企業の割合は92.8%に達し、4年連続で上昇。要請を受けた企業の97.2%が応じており、価格転嫁は事実上不可避な局面に入っている。
企業単位で見ると、物流コストの負担感はさらに明確になる。2年連続で回答した135社では、売上高物流コスト比率の平均値は5.71%で横ばいだったが、個別では51.1%の企業が上昇しており、低下した企業を上回った。売上高の増減にかかわらず、物流コストの上昇圧力が広範に及んでいる。
動向指数でも同様の傾向が確認される。24年度は売上高と物流コストがともに増加し、特に物流コストの伸びが上回った。25年度見通しでは、物流コスト指数が+57と大幅上昇が見込まれる一方、売上高は+26にとどまり、収益圧迫の懸念が強まっている。物流単価の上昇が販売単価の伸びを上回る構造は継続しており、売上高物流コスト比率の押し上げ要因となる。
マクロで見ても同様の構図だ。日本の物流コスト総額は23年度に55.4兆円と過去最高を更新し、24年度も56.6兆円前後まで拡大する見通しとなっている。対GDP比は9.3%とやや低下したものの、依然として高水準にあり、経済全体におけるコスト負担は重い。
コスト構造では輸送費の比率が最も大きく、値上げ要請も輸送費と荷役費に集中している。燃料費や人件費の上昇が直撃する領域であり、物流コスト上昇の主因となっている。一方で、企業側の対応は限定的だ。物流コスト上昇分の価格転嫁について「対応できた」とする企業は43.6%にとどまり、「未対応」や「一部対応」が過半を占める。納品条件の見直しや顧客との交渉も進んでおらず、商慣習の硬直性がボトルネックとなっている。
こうしたなか、企業の施策は効率化と構造転換の両面で進む。24年度に効果が大きかった施策は、積載率向上や混載化などの輸配送改善が首位となり、在庫削減や配送ルート見直しが続いた。一方、25年度の重点施策では、AI(人工知能)やRPA導入などの物流デジタル化が最上位に挙がり、共同物流や自動化投資も上位に位置づけられている。短期的な効率化から中長期の構造改革へと重心が移りつつある。
物流コストは単年度では一服感を見せたものの、構造的な上昇圧力は依然として強い。需要回復や価格転嫁の進展が追いつかないなかで、企業は効率化と投資の両立を迫られている。物流はコストセンターから経営課題へと位置づけが変わりつつあり、サプライチェーン全体での最適化と負担分担の再設計が求められている。
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