国際米運輸省海事局(MARAD)は7日、商船向け小型モジュール炉(SMR)の導入に向けた検討を開始したと発表した。米国内造船の再強化や輸送コスト削減、エネルギー安全保障の確保を目的に、商業船舶への原子力推進導入を視野に入れた制度設計や産業基盤整備を進める。
MARADは同日、商用海運向けSMR導入に関する情報提供要請(RFI)を公表。単なる技術実証ではなく、「商業的に反復可能な輸送システム」として成立させることを重視しており、造船、港湾、保険、物流ネットワーク、規制制度まで含めた包括的な検討を進める。意見募集期限は8月5日。
検討対象には、長距離航行を可能にする高出力電源としての有効性に加え、燃料コスト削減、保守負担軽減、港湾受け入れ体制、保険・賠償責任制度、船員資格制度などが含まれる。特にMARADは、原子力船を「インフラ」として定着させるためには、規制や市場環境の整備が不可欠との認識を示した。
ショーン・ダフィー運輸長官は声明で、「米国は海洋国家としての地位を取り戻す必要がある」と述べ、SMR導入をトランプ政権のエネルギー政策と海事産業再建戦略の一環と位置付けた。
中国やロシアなどが原子力推進船や関連インフラの開発を進めるなか、MARADは、米国が海事分野で戦略的に後れを取ることへの危機感を示している。港湾、造船所、保険市場、物流網を含めたエコシステム全体で競争力強化が必要と指摘した。
また、計画では米沿岸警備隊、原子力規制委員会(NRC)、エネルギー省などが連携。国際海事機関(IMO)やSOLAS条約との整合も視野に入れる。原子力推進船の港湾受け入れや国際運航には各国規制との調整が不可欠で、商業化には技術面以上に制度面のハードルが大きいとみられる。
MARADは、港湾での実証や政府船での運用検証を経て、民間商船への展開につなげる段階的導入案も提示している。海運業界では脱炭素対応としてアンモニア、メタノール、LNG(液化天然ガス)など多様な次世代燃料開発が進むが、SMR構想は「燃料転換」ではなく、物流システム全体を含めた海運インフラ再設計として打ち出された形だ。
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