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飯野海運新中計、次世代燃料船投資を加速

2026年5月8日 (金)

調査・データ飯野海運は8日、2026年度から30年度までを対象とする新中期経営計画「Transformation for a Sustainable Future」を策定したと発表した。5年間で2000億円を成長分野や主力事業へ投資し、海運と不動産を軸とした事業ポートフォリオの再構築を進める。外航海運市況の変動や中東情勢の緊迫化など不確実性が高まるなか、資本効率向上と成長投資の両立を掲げ、脱炭素対応や新燃料輸送分野への展開を加速する。

同社は、前中計「The Adventure to Our Sustainable Future」(23-25年度)で、ポートフォリオ経営とカーボンニュートラル対応を推進。期間中の経常利益は累計561億円と当初目標を大きく上回り、自己資本は1106億円から1582億円へ拡大した。これにより財務基盤が強化された一方、地政学リスクや船価・金利上昇、環境規制強化など事業環境は一段と不透明感を増していると分析する。

新中計では、2050年長期ビジョン「ネットゼロ社会の基盤を支えるクリーンエネルギーインフラのバリューチェーンを担う企業」を見据え、その第1段階として位置付ける。テーマには「資本効率と成長投資を両立する変革」を掲げ、海運・不動産双方で事業構造転換を進める。

投資配分では、成長・新規事業に650億円、主力事業に500億円、安定・成熟事業に450億円、戦略投資に400億円を投じる計画。特に成長分野として大型LPG(液化石油ガス)船やエタン船など外航ガス船事業を据え、アンモニアや液化CO2など次世代燃料・貨物輸送への参入を進める。中長期契約を軸とした安定収益を確保しながら、脱炭素関連需要を取り込む考えだ。

ケミカル船事業では、環境対応型ステンレス船隊の整備を進め、新規航路開拓やグローバル配船体制強化を図る。ドライバルク船は中長期契約や専用船運航を軸に市況変動耐性を高める。一方、油槽船や内航・近海ガス船は安定収益事業とし、安全運航や適正運賃確保を重視する。

不動産事業では、都心高グレードオフィスを軸に収益基盤を維持しつつ、資産入れ替えや再開発によるキャピタルゲイン創出を進める。私募ファンドなどへの投資を通じ、外部パートナーとの連携による不動産投資・開発機能の強化も図る。保有不動産価値を踏まえた財務レバレッジ活用により、海運・不動産双方の成長投資原資を確保する方針だ。

財務戦略では、2030年度にROE(自己資本利益率)10%、ROIC(投下資本利益率)5%超を目標に設定。政策保有株式は30年度までに純資産比率10%未満へ縮減する方針を示した。

脱炭素化では、2050年ネットゼロ達成に向け、LPG・LNG(液化天然ガス)二元燃料船やアンモニア燃料対応船への投資を推進。AI(人工知能)を活用した運航効率改善やバイオ燃料導入も進める。不動産分野では再エネ導入や環境認証取得を拡大する。

なお、計画の前提として、ホルムズ海峡の往来が26年6月中に再開し、その後2か月程度で中東向け海上輸送が概ね正常化することを想定している。

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