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APAC物流施設、テナント優位も供給制約で分岐

2026年6月1日 (月)

調査・データクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W、米国)が5月29日に公表した物流施設市場レポート「Waypoint 2026」によると、アジア太平洋地域(APAC)全体ではテナントに有利な市場環境が広がる一方、豪州、日本、シンガポールなど供給制約の強い市場ではスペースを巡る競争が強まり、需給環境の分岐が鮮明になっている。

同レポートによると、アジア太平洋地域は世界で最もテナントに有利な地域で、市場の47%がテナント優位となった。25年の33%から拡大した。ただし、市場ごとの供給量や空室率の動きには差があり、一様に借り手優位が続くわけではない。APAC市場の43%では今後3年間で空室率の低下が見込まれ、市場環境は徐々に引き締まる方向にある。

日本、豪州、シンガポールでは、開発パイプラインが限られるなかで空室率の低下が予想され、物流施設の確保を巡る競争が強まる見通しだ。一方、中国本土やインドの一部地域では新規供給が多く、テナントにとって柔軟な選択肢が残る。地域全体では、市場の3分の1で空室率の上昇も見込まれており、国・都市ごとの個別判断がより重要になる。

需要面では、EC(電子商取引)、製造業、ハイテク、自動車関連が物流施設需要を支えている。サプライチェーンの多様化が進むなか、東南アジアは成長拠点として存在感を高めている。ベトナム、インドネシア、タイでは、生産拠点の移転や地域化戦略を背景にテナント活動が活発化している。北アジアでは、ハイテクや自動車セクターが引き続き主要な需要源となる。

こうした変化は、物流施設に求められる条件も変えている。立地や床面積だけでなく、電力需要、自動化対応、環境性能などが、テナントの拠点選定や投資家の資産評価に影響しやすくなっている。オーナー側には、成長分野の運用要件に合った施設仕様への対応が求められる。

世界全体では、テナント優位の市場環境が26年の52%から29年には33%に低下し、オーナー優位の市場は26%から39%に上昇すると予測した。空室率の低下と供給制約が進むなか、物流不動産の市場バランスは借り手優位から貸し手優位へ徐々に移る可能性がある。世界の物流賃料は20年比で36%上昇しており、今後3年間で世界市場の54%、APAC市場の60%で賃料上昇が見込まれる。

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