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EU、東南部アフリカ4か国とEPA拡充

2026年6月11日 (木)

国際欧州連合(EU)は10日、コモロ、マダガスカル、モーリシャス、セーシェルの東部・南部アフリカ4か国(ESA4)との経済連携協定(EPA)を拡充する交渉を終えたと発表した。モーリシャスで開かれた交渉妥結式に、EUのマロシュ・シェフチョビッチ通商・経済安全保障担当委員がオンラインで参加した。サハラ以南アフリカ諸国との間で、EUが締結する初の近代的で包括的な自由貿易協定となる。

今回のEPAは、従来の物品貿易と開発協力を中心とした暫定協定を拡張し、サービス、投資、デジタル貿易、公共調達、知的財産、持続可能な開発などを対象に加える。EUは、明確で予見可能なルールを整えることで、双方の経済機会の拡大や投資環境の改善、ESA4各国の地域・大陸経済統合を後押しするとしている。協定はほかのESA諸国にも参加の道を残しており、ジンバブエとは残る論点について交渉が続いている。

物流・サプライチェーン面では、貿易円滑化や通関、衛生植物検疫措置、原産地規則の近代化などが含まれる。EU側の説明によると、協定は規制上の障壁を減らし、標準の相互運用性を高め、物品だけでなくサービス、資本、データ、人材の域内移動を促しやすくする。ESA4が世界市場と結び付く持続可能で効率的な地域バリューチェーンを形成するうえで、制度面の基盤を整える狙いがある。

農業分野では、持続可能な農産食品バリューチェーンを支えるため、農業パートナーシップを設ける。ESA4からEUへの輸出では、2025年時点で農産品が27%、水産品が31%を占め、両分野で全体の半分を超える。検疫や衛生基準への対応を支援し、EU市場へのアクセス拡大を図る一方、ESA側には食料安全保障上必要な措置や、急激な輸入増に対するセーフガードの余地も残す。

デジタル貿易では、電子的送信への関税を課さず、データローカライゼーション要件を禁じることで、越境取引のコスト低減を図る。オンライン消費者保護や電子的手段による取引環境の整備も盛り込む。EC(電子商取引)やデジタルサービスの利用が広がるなか、物流、決済、通関情報連携など周辺実務のデジタル化にも波及しそうだ。

公共調達では、高額契約の入札情報を電子ポータルで公開するなど、透明性を高める仕組みを導入する。これにより、EU企業がESA4各国の公共調達案件を把握しやすくなり、港湾、輸送、エネルギー、産業インフラ関連の案件参加にもつながる可能性がある。投資分野では、相互により予見可能で差別の少ない枠組みを整え、企業の進出や現地事業展開を後押しする。

EUとESA4の24年の物品・サービス貿易総額は97億ユーロで、EUからの輸入が52億ユーロ、EUへの輸出が45億ユーロだった。EUはESA4にとって最大の貿易相手で、物品貿易全体の24%を占める。EUの対ESA4直接投資残高は24年に200億ユーロとなり、20年比で21%増加した。EUは、鉱業、製造業、再生可能エネルギー分野での投資余地も重視している。

今後は、EU側で交渉文書を公表したうえで内部手続きを進め、欧州委員会が理事会に署名・締結を提案する。署名後は欧州議会の同意と理事会の決定、ESA4各国の批准を経て発効する。暫定適用の可能性もある。

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