行政・団体公正取引委員会は25日、2025年度の荷主と物流事業者との取引に関する調査結果を公表した。独占禁止法上の問題につながるおそれのある行為を行った荷主779者に対し、具体的な懸念事項を示した注意喚起文書を送付した。調査は、現行の物流特殊指定に基づき、運送や保管を委託する発荷主と物流事業者との取引を対象に実施した。
注意喚起文書の送付先を業種別にみると、上位は建築材料、鉱物・金属材料等卸売業、食料品製造業、飲食料品卸売業、農産物や水産物の販売事業などを営む協同組合だった。大分類では製造業が422者で54.2%を占め、卸売業・小売業が225者で28.9%、その他が132者で16.9%だった。
行為類型別では、「不当な給付内容の変更及びやり直し」が406件で最多となった。このうち荷待ちに関するものは279件に上った。次いで「代金の支払遅延」が240件、「買いたたき」が160件、「不当な経済上の利益の提供要請」が104件、「代金の減額」が71件だった。複数類型で注意喚起を受けた荷主があるため、件数の合計は1051件となった。
主な事例では、荷主側の製造工程の遅れや倉庫の繁忙、事務手続きの遅れにより、取り決めた時刻までに出荷準備が整わず、物流事業者に荷待ちをさせながら、人件費などの追加費用を支払っていなかったケースが示された。荷待ち費用の算定方法をあらかじめ定めていないことや、物流事業者から請求がなかったことを理由に、費用負担が行われていない事例もあった。
買いたたきでは、労務費などのコスト上昇局面にあることを認識しながら、物流事業者から運賃引き上げ要請がなかったとして、協議の場を設けず運賃を据え置いた事例が示された。公取委は、物流事業者側からの申し出を待つだけではなく、荷主側から価格協議を呼び掛けることも重要な対応として示している。
一方、荷主側の改善事例も公表した。出荷が大幅に遅れる場合に事前連絡して集荷時間を指定し直し、追加費用を支払う事例や、前日に配車表を提示して物流事業者と確認し、荷待ち発生を抑えている事例があった。少なくとも年1回の運賃交渉を行い、運賃引き上げを求めない物流事業者にも荷主側から確認する取り組みも示された。
公取委は今後、関係省庁や団体を通じて調査結果を周知し、違反行為の未然防止を進める。優越的地位濫用事件タスクフォースでは、物流事業者から寄せられた情報も活用し、独占禁止法上の優越的地位の濫用に当たり得る事案に厳正に対処する。2026年1月に施行された中小受託取引適正化法(取適法)では「特定運送委託」が新たに対象となっており、公取委、中小企業庁、国土交通省は執行情報を共有する連絡会議を定期的に開く。
さらに、27年4月1日からは改正後の物流特殊指定が施行され、着荷主が物流事業者を通じて発荷主に契約外の荷待ちなどを行わせる行為も規制対象となる。荷待ち、附帯作業、運賃協議を巡る取引慣行は、発荷主だけでなく着荷主を含めたサプライチェーン全体で見直す必要がある。
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