調査・データ中小企業庁は26日、2026年3月の「価格交渉促進月間」に関するフォローアップ調査結果を公表した。価格転嫁率は全体で54.2%となり、前回25年9月調査から0.7ポイント上昇した。価格交渉が行われた割合も90.7%と前回から1.3ポイント増え、交渉の場は広がりつつある。一方、トラック運送業の価格転嫁率は発注企業の業種別集計で34.5%、受注企業の業種別集計でも36.9%にとどまり、業種別では最下位水準が続いた。
調査は、受注側中小企業30万社を対象に4月20日から6月3日まで実施。回答企業数は6万9625社で、回答から抽出される発注側企業数は延べ9万1233社だった。25年10月から26年3月末までの価格交渉、価格転嫁、支払い条件などを尋ねた。
コスト要素別の転嫁率は、原材料費が55.7%、労務費が50.0%、エネルギーコストが48.9%だった。原材料費は前回から上昇したが、労務費とエネルギーコストは横ばいだった。中小企業庁は、価格転嫁は全体として改善傾向にあるものの、転嫁できる企業とできない企業の二極化が続いているとみている。
物流分野で重いのは、燃料費や人件費の上昇が続くなかでも、運賃への反映が十分に進んでいない点だ。発注企業の業種別にみた価格転嫁率では、化学が65.9%、電機・情報通信機器が63.6%、造船が62.4%と上位に並んだ一方、トラック運送は34.5%で32業種中最下位となった。前回の34.7%からもわずかに低下した。交渉の実施状況でも、トラック運送は平均点6.27で最下位だった。
受注企業の業種別集計でも、トラック運送の転嫁率は36.9%にとどまった。前回の36.5%からわずかに上昇したが、全体平均の54.2%とは17.3ポイントの差がある。調査では、トラック運送事業者から「多重取引構造で中間マージンが差し引かれ、元荷主と直接交渉できず価格転嫁が進まない」「値上げ交渉すると他社切替えを示唆され、コスト増を自社負担せざるを得ない」といった声も寄せられた。標準的運賃や物流効率化法による取引適正化が進むなかでも、実際の商流では元荷主まで価格交渉が届きにくい構造が残っている。
中東情勢の変化による価格交渉・価格転嫁への影響については、全体の22.0%が「影響あり」と回答。業種別では、石油製品・石炭製品製造が45.8%で最も高く、紙・紙加工が31.3%、トラック運送が31.2%で続いた。燃料価格や資材価格への波及が、物流関連業種の交渉環境に影響したとみられる。
サプライチェーンの取引階層別では、1次請けの価格転嫁率が55.2%だったのに対し、4次請け以上は45.5%にとどまった。前回より差は縮小したが、取引階層が深くなるほど転嫁率が低くなる傾向は続く。
官公需の価格転嫁率は48.4%で、前回から3.7ポイント低下した。価格交渉が行われた割合は90.2%と高いものの、全額転嫁できた割合は21.2%にとどまり、全く転嫁できなかった割合は20.6%に増えた。組織別では、国が57.8%だったのに対し、都道府県は50.6%、市区町村は45.7%と低かった。公共工事や自治体発注の役務で、年度途中の人件費上昇や資材高を契約価格へ反映しにくい実態も示された。
一方、支払い条件では改善もみられた。取引代金の支払手段を「現金のみ」とした割合は87.5%となり、前回の82.2%から上昇。手形の利用がある割合は3.0%まで低下した。支払手数料を受注側が負担している割合も18.9%に下がり、前回の29.9%から改善した。ただし、支払い期日が60日を超える取引は全体の6.6%残っており、長期サイトの是正はなお課題となる。
中小企業庁は、8月上中旬をめどに発注者ごとの価格交渉、価格転嫁、支払い条件の評価を記載した「発注者リスト」を公表する予定だ。物流分野では、燃料費、労務費、車両維持費に加え、荷待ち・荷役など付帯作業の費用負担も論点となる。交渉の場を設けるだけでなく、発注側が必要な説明や情報提供を行い、運賃・料金へ反映する実効性が求められる。
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