ロジスティクス日本物流団体連合会(物流連)は29日、「第1回 日本物流大賞」の表彰式を開催した。また、同日に開催された定例総会後には記者会見が行われ、続投が決まった船主協会会長・日本郵船会長の長澤仁志会長と、河田守弘理事長らが登壇した。

▲物流団体連合会会長の長澤仁志氏
式典の冒頭、物流連の長澤会長が登壇し、挨拶を述べた。
長澤会長は、地政学リスクの緊迫化や燃料高騰、人手不足などでサプライチェーンの不確実性が高まる中、社会インフラである物流の「強靭性」と「持続可能性」の重要性を強調。さらに、昨今の中東情勢を踏まえ、「共同輸送やモーダルシフトは2024年問題や脱炭素への対応に留まらず、有事において物流を止めない経済安全保障の観点からも極めて重要だ」と訴えた。
また、選考委員長を務めた東京女子大学現代教養学部教授の竹内賢三氏による選考講評が代読された。

▲大賞は北海道ロジサービス、コープさっぽろ、エース、札幌軽量急送の「DX×匠の現場力による物流構造改革への挑戦 〜AI需要予測による1日2便配送の最適化と新シェアリングモデルの構築〜」が受賞した
講評では特に初代「大賞」に選ばれた、『DX×匠の現場力による物流構造改革への挑戦 〜AI需要予測による1日2便配送の最適化と新シェアリングモデルの構築〜』について、「人手不足や非効率運行という課題に対し、高精度なAI需要予測と現場で培われた長年の経験(現場力)を組み合わせ、1日2便の配送を利便性を損なわずに1便へと最適化した成果は極めて大きい」と評価。さらに、「広大な北海道という厳しい環境下において、地域の複数事業者が参画する共同最適化モデルを構築した点は、他企業、他地域にも広く展開し得る普遍性と先進性を備えており、物流の未来を支える確かな指針である」とした。
受賞者を代表して登壇した北海道ロジサービスの川上敏也氏は、2013年の設立当初から積載率向上と減車を徹底してきた歴史を振り返り、関係各所の強い覚悟によって実現した1便化と共同配送プラットフォームについて語った。川上氏は、「耐える物流には限界がある。私たちが本当に守るべきは、無理をして運ぶことではなく、未来へと運び続けられる仕組みを作ることだった」と物流の使命転換を強く訴えた。今後は受注から納品までのリードタイム延長や待機時間削減といった商慣習の見直しに挑戦し続けると宣言した。

▲北海道ロジサービスの川上敏也氏
総会後の記者会見には、再任された長澤仁志会長、河田守弘理事長らが登壇。4月の各種法制度改正(CLO制度)への手応えや、緊迫化する中東情勢が燃料価格に及ぼす影響に対して、四半期ベースを目安に運行実態や調達状況の対外発信を強化していく方針など、業界の足元の課題解決に向けた取り組みについて語った。
質疑応答が佳境に入り、メディアからの「深刻化する人手不足への対応についてはどう考えているか」という問いに対しては、河田理事長が、内定時期の早期化により合同説明会への参加者数が頭打ちになっている課題を指摘。今後は開催時期の前倒しに加え、新たな切り口として「体育会系(運動部)の学生」に着目する。合宿などのスケジュールにより一般的な就活スケジュールに乗り切れない彼らの動きを分析し、アプローチの最適化や専用のルート設定の試行を進めていく方針と回答した。
今回の担い手確保・次世代育成施策の中で、最も具体的かつ野心的な「攻めの一手」として詳しく語られたのが、子供世代の関心喚起を狙ったデジタル教育アプローチである。

▲物流連理事長の河田守弘氏
会見では、事務局より、小学校低〜中学年を主対象とした「物流ウェブゲーム」を独自に開発中であり、7月中旬頃には早くも受領および公開・運用を開始する予定であることが発表された。このゲームは、子供たちがデジタル上で楽しみながら遊ぶ過程を通じて、社会インフラとしての物流の役割や重要性、そして物流網が機能する仕組みを直感的に学べる設計を目指す。
さらに大きな展望として、次年度は、小学校の先生方が授業などで活用できる自主教材や副教材(教師用・生徒用パッケージ)として開発をステップアップさせ、学校現場へ教材として正式に導入・展開することを目指している。
長澤会長は、SNSで成果を上げた「海運ラップ」などの成功事例に学びつつ、陸・海・空・倉庫が混在する「物流全体の全体像」を見せることの難しさを吐露。しかしながら、「物流はなくてはならない社会インフラ。一つのストーリーとして、業界横断の一体感あるメッセージを社会に発信し、全体のプレゼンス底上げを図りたい」と今後のビジョンを締めくくった。
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