環境・CSR古野電気は7日、5月28日に東京海洋大学越中島キャンパスで開かれた「令和8年 日本船舶海洋工学会春季講演会」で、自動運航船開発のためのシミュレーション基盤に関する研究成果を発表したと明らかにした。
世界的な船員不足の解消や海上輸送の安全性向上を背景に、自動運航船の実現への期待が高まる一方、船舶の設計・建造は複雑化しており、開発プロセスの効率化と品質確保の両立が課題となっている。
東京大学の社会連携講座「海事デジタルエンジニアリング(MODE)」では、海事業界の企業・団体が連携し、次世代の海上物流を支えるシミュレーション共通基盤の構築と、モデルベース開発(MBD)、モデルベース・システムズエンジニアリング(MBSE)の研究を進めている。古野電気も同プロジェクトに参画し、自動運航船のシステム開発を支援するシミュレーション基盤の設計と実装に取り組んでいる。

▲自動運航船の設計・検証を支援するシミュレーション基盤の開発手法と有効性について紹介してる様子(出所:古野電気)
今回発表した研究では、センサー、コントローラー、船体運動など、自動運航船の航行に必要な要素をモデルとして統合したシミュレーション基盤を構築した。外部のソフトウエアやハードウエアと連携することで、システム全体の性能評価を可能にする。
同基盤の開発では、シミュレーション基盤自体も多数の要素が連携する複雑なシステムであることから、MBSE手法を適用した。システムの対象範囲を明確にしたうえで、海事業界のステークホルダーへの調査をもとにニーズを整理し、システム要件として定義。さらに、システムモデリング言語「SysML」を用いてシステムの構造や振る舞いをモデル化し、設計とニーズの対応関係を可視化して実装につなげた。
研究では、他船を避ける「避航時」のリスク評価と、岸壁を離れる「離岸時」の制御性能評価という2種類のシミュレーションを通じて、基盤の有効性を検証した。その結果、航路や衝突リスク指標などの評価結果を定量的・視覚的に出力できることを確認し、自動運航船の設計から検証まで幅広い用途に対応可能であることを示した。
今後は、設計段階にとどまっている機能の実装を進めるとともに、シミュレーション基盤を関係者間で共有・活用し、ニーズの発掘と設計への反映を進める。MODEプロジェクトの終了予定である2027年9月に向け、関係各社と連携しながら、より実用性の高いシミュレーション基盤の構築を目指す。
発表タイトルは「自動運航船開発のためのシミュレーション基盤に関する研究」。
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