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道北物流の細る支線、集約配送で補完へ

2026年7月9日 (木)

ロジスティクス北海道は6月16日、「地域物流の確保に向けた検討会」の2026年度第1回会合を開いた。人口減少やドライバー不足、時間外労働の上限規制を背景に、道央圏から遠い道北地域で物流サービスの維持が難しくなるとの危機感から、産学官でラストマイル配送の新たな仕組みを検討する。中川町と音威子府村を対象に、10月から12月にかけて荷物の受け取り・集荷の実証を行う方向だ。

会合には、北見工業大学の高橋清教授を座長に、音威子府村、中川町、ヤマト運輸、西尾運送が構成員として参加し、名寄市、上川総合振興局もオブザーバーとして加わった。道は「北海道交通政策総合指針重点戦略【2026-2030】」に基づき、地域への人とモノの流れを支える交通施策の一環として、幹線と支線を結ぶ新たな物流拠点の設置や、宅配ロッカー、ドローン、自動配送ロボットの活用を検討する考えを示した。

24年4月施行の改善基準告示により、連続運転時間が4時間以内、1日の運転時間が原則9時間以内とされたことを踏まえ、札幌など道央圏から日帰り輸送が難しい地域を「輸送困難地域」として整理した。道北については、宗谷方面など道央圏からの日帰り輸送が難しい地域に加え、幹線道路から枝分かれする支線や集落部で、小口配送を含む輸送の維持に懸念があるとした。

道が26年1月から2月にかけて道北地域の運送事業者138者を対象に実施した実態調査では、103者が回答し、回答率は74.6%。ドライバー1202人のうち、50歳台以上が70.6%、60歳台以上が35.1%を占めた。人手不足感については、「慢性的に不足」が40%、「不足する時期がある」が39%で、8割の事業者が不足を感じている。輸送形態では、長距離輸送を断っている事業者も5者あり、運べないリスクが一部で表面化している。

▲北海道内での輸送・配達が困難な地域(クリックで拡大、出所:北海道)

将来の貨物輸送への影響については64.1%が「あり」と回答した。想定される影響は、人材不足などによる廃業、営業収入の減少、離職の増加、長距離輸送の困難化などが多かった。行政に期待することでは、燃料や整備費高騰への対策が83件、人材確保支援が58件、トラックの休憩場所確保が22件となり、輸送力の維持には人材、コスト、休憩インフラの複合的な対応が必要な状況が示された。

意見交換では、地域側から生活インフラとしての物流の重要性が強調された。音威子府村は、生活用品を扱う商店が2軒に限られる現状を挙げ、物流が止まれば地域に住み続けることが難しくなると指摘した。実証案については、まず道の駅や遊休施設などを拠点に荷物を集約し、地域事業者や住民が受け渡しに関わる「地域配送」から始めるのが現実的との見方を示した。

中川町からは、町内の郵便物が一度旭川を経由して戻る例や、日曜日に新聞が配達されない地域が出ている例が示された。学校給食の導入を検討する中でも、近隣自治体との連携には毎日の輸送費負担が課題になったという。物流拠点については、今後の高規格道路整備や人口減少を踏まえ、10年単位で配置の妥当性が変わる可能性があるとして、短期の実証と長期の拠点戦略を分けて考える必要性を示した。

物流事業者側からは、競争よりも地域全体の輸送資源をどう効率的に使うかが論点として挙がった。ヤマト運輸は、地域住民が何を求めているかを起点に、宅配事業者同士が荷物や人を取り合うのではなく、地域にとって最も効率の良い形を議論する必要があるとした。西尾運送は、労働時間規制の強化により苫小牧方面への連日運行が難しくなっている現状や、季節波動による片荷運行、積載効率の低下を説明した。注文から翌日配達を前提とする消費者側の意識を見直し、急ぐ荷物とそうでない荷物で運賃やリードタイムを分ける考え方も示した。

名寄市は、道北物流の中継拠点としての役割を打ち出した。稚内と札幌・道央圏の中間に位置する地理的条件を踏まえ、ヤマト運輸や西尾運送と「北・北海道物流拠点検討協議会」を立ち上げ、物流量分析や事業者ヒアリングを進めている。中川町や音威子府村への配送を考える上でも、まず名寄まで荷物を運ぶ幹線側の仕組みが必要になるとして、広域的な拠点形成との連動を求めた。

道は今後、7月下旬をめどに第2回検討会を開き、実証案のたたき台を示す。9月に第3回会合を行い、地域や事業者のニーズを踏まえて実証内容を具体化する。実証は中川町と音威子府村で10月から12月に実施し、27年1月に効果検証、2月に結果報告、3月に次年度以降の取り組みを検討する予定だ。道は単年度で終わらせず、複数年で実証を重ねる考えを示している。

拠点集約、共同配送、住民の受け取り行動の変化、郵便や旅客事業との連携、幹線道路整備との整合など、課題は広い。まずは小規模な実証を通じて、住民が受け入れられるサービス水準と、事業者が維持できる配送体制の折り合いを探る段階に入る。

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