イベント9月8日に開幕した「国際物流総合展2026」。シリウスジャパン(東京都中央区)が今回、会場に持ち込んだ新たな一手が、製造現場を主なターゲットとするAMR(自律走行搬送ロボット)「FlexPilot LIFT」(フレックスパイロット・リフト)だ。
国内の展示会では今回が初披露となる。

▲FlexPilot LIFT
シリウスジャパンはこれまでも物流展への出展を重ね、「物流AMRといえばシリウス」としてピッキングアシストAMRを中心に認知を広げてきた。今回も、単に「新製品を見てほしい」というだけではない。「他のAMRと見比べてほしい」と語る。
AMRそのものが珍しかった時代から、物流・製造現場が複数メーカー、複数方式を比較し、自社に合う機器を選ぶ時代へ。そのなかでFlexPilot LIFTがどのような違いを示せるのか。開催中の国際物流総合展は、その実力を実機で確かめる場となる。
製造現場のニーズに対応、工程間搬送に入り込む新AMR
FlexPilot LIFTの可搬重量は300キロ。シリウスジャパンが展開する1トン可搬の「FlexPorter DO」と比べて小型で、1メートル程度の通路幅でも走行できるコンパクトさを特徴とする。
IP45の防水・防じん性能も備え、一般的な工場だけでなく、水を使用するような現場への展開も想定している。
主な用途として想定するのは、工場内の工程間搬送だ。
「工場によっては、完成品であったり、仕掛品を別のラインに持っていく。そういった工程別の搬送が基本メインになってくる」
工場の中では、部品、仕掛品、半製品、完成品など、さまざまなものが工程から工程へ移動する。
FlexPilot LIFTは特定の商品だけを運ぶ専用機ではなく、上部の荷台などを搬送物に合わせて変更することで、用途を広げることができる。
例えば、作業者が台車を押して同じ工程間を一日に何度も往復している。完成した仕掛品を次工程まで運び、空になった台車を戻している。重量のある部品を長い距離、人が繰り返し搬送している。
こうした「単純だが、なくすことのできない搬送」をロボットへ任せることが、活用の入り口になる。
製造現場で特徴的なのが、同じルートを繰り返す定点搬送だ。
「何百回も正確な作業を繰り返すこと。確実に動くこと」
A工程からB工程へ、B工程からC工程へ。決められた経路を繰り返し走り、必要なものを必要な場所へ運ぶ。
FlexPilot LIFTは都度目的地を指示して動かすこともできるが、本領を発揮するのは、こうした反復搬送を安定して担う運用だ。人や障害物があれば状況に応じて回避しながら走行を継続し、人とロボットが同じ空間で働く製造現場へ組み込む。
可搬重量だけでは決まらない製造現場のAMR選び

下から持ち上げるタイプのAMRは、各社の製品を外観だけで見れば似た形になりやすい。平たい車体が台車や架台の下へ潜り込み、持ち上げて搬送する。
そのなかで、可搬重量は違いを理解しやすい指標だ。
シリウスジャパンも、300キロ可搬のFlexPilot LIFTに対し、より重量物を想定した1トン可搬のFlexPorter DOをラインアップする。重いものならFlexPorter DO、狭い工程へ入り込むならFlexPilot LIFTという見方もできる。
ただ、実際のAMR選びはそれほど単純ではない。
重要なのは、「何キロ運べるか」だけでなく、そのAMRが既存の工程にどう入り込み、人や設備とどうつながるかだ。
どこから荷物を受け取るのか。次工程では人が降ろすのか、設備へ自動で受け渡すのか。どの程度の通路幅があるのか。1日に何回搬送するのか。既存の生産設備や上位システムとの連携は必要か。
同じ300キロの荷物を運ぶ場合でも、こうした条件が違えば適するAMRや運用は変わる。
シリウスジャパンも、製品ありきの選定ではなく、現場の課題から考えることを重視する。
「これ一個一個を単体で売っていくというより、ユーザーの課題をまずヒアリングして、その後、最適なロボットを活用したコンサルティング的な動きをする」
つまり見るべきなのは、本体だけではない。
「このロボットは何キロ運べるか」から、「このロボットを入れることで、自社の工程をどうつなげられるか」へ。そこまで考えて比較することが、AMR選定では重要になる。
各工程とのスムーズで確実な接続
その意味で、工場内搬送の自動化はAMRが自律走行できれば完成するわけではない。
むしろ重要なのは、その前後をどうつなぐかだ。
前工程で完成した仕掛品をどう受け取り、次工程でどう引き渡すか。作業者が介在して荷物を載せたり降ろしたりするのであれば比較的シンプルだが、受け渡しまで自動化しようとすれば、コンベヤーや昇降機、生産設備などとのシステム連携が必要になる。
FlexPilot LIFTでは、こうした周辺設備との連携も想定し、システムインテグレーターとしての役割を担う姿勢だ。
FlexPilot LIFTという1台の機器を納めるだけではなく、設備から搬送指示を受け、荷物を受け取り、別の設備へ届けるところまで含めた仕組みを設計できる。
また、スモールスタートによる導入から、少しずつその活用領域を広げていくような運用は、AMRの得意分野でもあり、シリウスジャパンが物流現場で実績を積み上げてきた領域だ。まず一つの区間、一つの搬送から始め、実際の効果を確認しながら対象を広げる。小さく始められることも、既存工場でAMRを活用するうえでは重要な条件となる。
製造設備との連携実績に関しては、これから本格的に積み上げていく段階となるが、多様な物流の形に対応してきた同社にとっては、また1つ新たな現場でユーザーの求める運用を構築していくに過ぎないとも言える。
既存工場にどう合わせるか
物流現場で鍛えられた知見が製造領域でも生かされることが期待される。ただし、物流現場と製造現場では違いがあることも間違いない。たとえば、製造現場では、AMR導入のために既存レイアウトを大きく変えることが容易ではない。
物流倉庫であれば棚や保管位置を変更して動線を組み直せる場合もあるが、工場では工作機械や生産ラインそのものを移設する必要がある。設備移設のために生産を止めれば、改善のための工事自体が大きな負担となり、「大幅なレイアウト変更は、製造現場にとって負荷が大きい」
だからこそ、工場をロボットに合わせて作り直すのではなく、今ある通路や工程へどうAMRを適合させるかが重要になる。
FlexPilot LIFTのコンパクトさも、単なる本体サイズの問題ではない。
自社の通路を走れるか。今使っている台車を運べるか。既存設備との受け渡しができるか。
スペックを現場の条件に置き換えて考えて初めて、本当の導入可能性が見えてくる。
展示会で比較し、その先はラボで相談
その最初の確認の場となるのが、現在開催中の国際物流総合展2026だ。
シリウスジャパンは野村不動産ブース内に、物流課題解決のための協業コンソーシアム「Techrum」の協力パートナー企業として出展する。FlexPilot LIFTに加え、物流向けで展開してきたピッキングアシストAMR「FlexSwift MAX」も持ち込み、実機を披露している。

▲主力機「FlexSwift MAX」が動き回るブースの様子
「これまで多くの展示会に参加し、来場者の声を取り入れてきた。展示会に足を運べばシリウスのAMRを見たことがある、という方も増えてきた。だからこそ、他のAMRと見比べていただきたい」
走行時のサイズ感はどうか。人の近くをどう走るのか。停止、回避、再発進はどのような挙動を示すのか。自社で使っている台車や搬送物と組み合わせられそうか。
カタログでは分からない部分を、複数メーカーのAMRが一堂に集まる展示会で比較する意味は大きい。
ただし、会場で実機を見るだけで、自社工場への適合性まで判断できるわけではない。
展示会はあくまで入り口だ。
展示会会期後もFlexPilot LIFTは、相談に応じて東京都江東区越中島にあるシリウスジャパンのデモセンターで見学できる。同社では担当者が同席し、実機を確認しながら搬送物や工程、通路幅、既存設備との連携など、より具体的な相談に応じる。
展示会で他社製品と見比べ、「このサイズなら入るかもしれない」「この工程を任せられそうだ」と感じたら、次は自社の工程条件を持ち込んで検証する。
国際物流総合展での国内初披露は、FlexPilot LIFTを見せること自体がゴールではない。
どのAMRが一番高性能なのかではなく、自社の工程にはどのAMRが最も適しているのか。
その比較と対話を始めることこそ、今回の展示会でシリウスジャパンが来場者に求めていることだ。
会期:
2026年9月8日(火)−9月11日(金)10時-17時
会場
:東京ビッグサイト(東京国際展示場) 東3ホール
ブース番号
:E3-C13(「野村不動産」ブース内)


































