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過去最大ブース数の「国際物流総合展2026」、課題対応超える「知恵と技術」集結

CLO元年に「物流のワクワク」を体感する4日間

2026年9月1日 (火)

話題物流・ロジスティクスの国内最大級の専門展示会「国際物流総合展2026」が9月8日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕する。

今回のテーマは「知恵と技術で、物流の未来を切り拓く。」

DX、AI、ロボットなど物流を変える技術が急速に進化する一方、それらをどう組み合わせ、どの課題に使うのかを決めるのは人だ。展示会を主催する日本ロジスティクスシステム協会(JILS)総合研究所第1部副部長の大西康晴氏は、「技術はあくまで手段」と話す。

「物流としてどう仕組みを設計し、課題解決に使っていくか。まだそこをすべてAIが担う段階ではまだない。人の知恵と技術を両輪で動かしていくことが重要」

同研究所第1部プログラムプランナーの平山祐希氏とともに、今回の展示会の見どころを聞いた。

▲(左から)大西康晴氏、平山祐希氏

2024年の前回展から2年。この間に物流を取り巻く環境は大きく変わった。

前回は「物流2024年問題」が目前に迫り、人手不足、省人化、輸配送効率化への危機感が展示会全体を覆っていた。だが2026年は改正物流効率化法が全面施行され、特定荷主では物流統括管理者(CLO)が本格的に動き始めた年でもある。

大西氏は、「物流をただのコストとしてではなく、経営に近いところでどう見て、どう変えていくのか。その視点を展示会としても強く発信したい」と話す。

現場の効率化策を探すだけではなく、自社の物流そのものをどう再設計するのか。ことしの国際物流総合展には、これまで以上に広い役割が求められている。

過去最大3400超ブース、「大きくなった」ことの意味

来場者は8万5000人を見込む。ブース数は3400を超え、過去最大となる予定だ。1社あたりの出展規模が大きくなっているのもことしの特色だという。

偶数年に開催する「国際物流総合展」は、奇数年の「国際物流総合展 INNOVATION EXPO」と交互に開催することで、毎年、物流を取り巻く最新の技術や変化を発信している。

昨年のINNOVATION EXPOが、その時々に生まれる新たな技術やソリューション、新規領域からの参入を機動的に捉えるのに対し、偶数年の本展では、物流業界のいわゆる老舗や主要事業者が2年に1度、「満を持して」新製品や最新技術を披露する場に位置づけられる。「ブースの大型化にも、出展者の気合が感じられる」(大西氏)

今回は進化著しいAIを組み込んだ最新ソリューションを含め、既存メーカーがこの2年間で何を進化させたのかを見ることも、大きな見どころだという。

2024年開催の様子

平山氏が注目するのは、近年存在感を高めている物流不動産だ。出展規模はさらに大きくなり、単に賃貸施設のパネルを並べるだけではなく、パートナー企業との共同出展によって、倉庫の中で商品や人、機器がどう動くのかまで見せようとするデベロッパーもある。

「各社が表現したい領域そのものが広がっている。それがブースの大きさにもつながっているのではないか」と平山氏は見る。

それは、単純に展示する製品が増えたという話ではなく、「自社とパートナーを組み合わせれば、物流フローのここからここまで解決できる」という提案へ変わり始めているということ。

実際、出展企業からは、連携する企業同士の配置を気にかけたり、スタンプラリーなどで関係ブースを巡回するような仕掛けを実施したいといった相談も多かったという。

大西氏は、「自社だけ、自社のソリューションだけでは解決できない物流課題がある。ユーザーの課題に対して、他社と連携しながらここまで一緒にやる準備を整えているということが、重要な付加価値になっている」と説明する。

ブースの大型化は、物流ソリューションが「点」から「つながり」へ、さらに全体最適へ向かう変化の表れともいえそうだ。

CLOに問われる、「物流費を下げる」だけではない判断

この変化は、CLOにとっても重要な意味を持つ。

JILS総合研究所所長の北條英氏は、「CLO」と「CLO制度」は分けて考える必要があると指摘している。

法制度への対応という入口だけを見れば、積載効率を高める、荷待ち時間や荷役時間を短縮するといったKPIが焦点になる。しかし、それだけではCLOの仕事を小さく捉えすぎるというのが北條氏の問題意識だ。 例えば物流コスト。

物流部門だけを見れば、輸送費や保管費を下げることが成果になる。だが企業経営の視点に立てば、物流コストを多少増やしてでも在庫を減らし、棚卸資産を圧縮した方がROIC(投下資本利益率)を高められる場合もある。

つまりCLOには、「物流費はいくら下がったか」だけではなく、「物流を変えることで会社全体の資本効率がどう変わるか」まで見る視点が求められる。

そのためには輸送だけ、倉庫だけ、自動化設備だけを見るわけにはいかない。輸送、保管、在庫、拠点、設備、データ、人をどう組み合わせれば、サプライチェーン全体として最も合理的になるのかを判断する必要がある。これまでは見ていなかった領域の数字を、判断材料に取り入れなくてはならない場面も出てくる。10月末提出が近づく中長期計画のためのヒントを探すCLOも少なくないだろう。

国際物流総合展で進む「単体製品から連携したソリューションへ」という変化は、まさにそこに重なる。

CLOに必要なのは「どの自動化マテハンを買うか」「どのシステムを入れるか」ではない。複数の選択肢を横断して見比べ、自社の物流戦略、投資判断としてどう組み合わせるかを考えることだ。

大西氏は、CLO本人だけでなく、CLOを支える物流部長クラスにも足を運んでほしいと話す。

「現場で何が起きているかを理解できる人が展示会を見て、CLOに進言していく。そういう方には、いろいろな気づきがあるはず」

さらに平山氏も、経営企画、生産管理、工場長など、これまで物流展示会とは距離があった職種の来場に期待する。

初代CLOにとっては、物流が実際にどう動き、どこに課題があり、どこまで技術で変えられるのか。それを知ること自体が、部門をまたぐ物流改革の入口になる。

自動運転から「宇宙物流」まで

ブース展示と並ぶ見どころが、主催者企画の「ロジスティクスフォーラム2026」だ。

CLO、リスクマネジメント・BCP、ロボットなど現在進行形のテーマや企業事例に加え、自動運転やJAXAによる宇宙ロジスティクスなど、少し先の未来を見据えたテーマを組み込んだ。

平山氏が特に注目してほしいというのが、この「未来」の部分だ。

「一歩先を見据えて、これからの物流にどんな影響が出てくるのかというテーマは、純粋に興味を持ってもらえるのでは」

自動運転が社会実装された先に輸配送はどう変わるのか。宇宙という新たな市場で物流はどのような役割を担うのか。

目の前の法対応と同時に、一歩、二歩先を考えて未来図を共有できることも、中長期の物流戦略を担うCLOに必要な仕事だ。

初のグローバルカンファレンス、海外の「生の物流」を聞く

ことしはさらに、「Global Logistics Conference」(グローバルロジスティクスカンファレンス)を初開催する。物流課題の検証を国内だけで閉じずに、国際物流そのものにフォーカスする試みだ。

台湾、韓国、タイなどの物流関連団体の担当者が登壇し、それぞれの国・地域の物流事情を直接語り、まさに“国際物流”総合展の面目躍如といった企画となる。

大西氏は「海外の現地の物流関係者から、よりリアルな情報を聞くことができる。なかなかない機会なので、ぜひ見てほしい」と話す。

マテハン、ソフトウエアでも中国をはじめとする海外勢は無視できない存在だ。国際物流やグローバルサプライチェーンを担当する荷主側の来場者も増えつつある。地政学リスクやサプライチェーンレジリエンスへの関心が高まるなか、国内物流とは別の専門展示会を見るような感覚ではなく、一つの物流戦略の中で国内と海外をつなげて考える場にしたいという狙いもある。

知恵と技術を集めて、ワクワクする物流へ

未来を担う人材づくりも続ける。

これまで継続してきた学生向け見学ツアーは、今回も150人を目標に実施する。今後3-5年後を見据え、さらに多くの学生が参加できる企画への発展を検討している。

「ここを入り口に物流を知ってもらい、何十年後かにCLOへ育っていただく。そんなストーリーになればいい」と大西氏。

すぐに成果が見える取り組みではない。それでも毎年続け、物流に触れる学生の延べ人数を増やしていけば、その中から将来の物流人材が生まれる可能性は広がる。

そして展示会を物流人材育成の場として使えるのは、学生だけではない。

物流分野の知見がないまま突然CLOに任命され、何から手を付ければいいのか戸惑っている人もいるだろう。

平山氏は、そうした時代だからこそ「物流をもっと前向きに捉えてもらいたい」と話す。

「物流の技術はこんなに進んでいるんだというワクワク感を持って見てほしい。それをどう組み合わせれば企業価値の向上につながるのか。与えられたミッションをポジティブに捉えるきっかけになれば」

今回、国際物流総合展として初めて東西の両展示棟をまたいで開催する。

大西氏は「課題を持って来てもらうのはもちろんだが、偶然の出会いも展示会の醍醐味。まず来て、体感してほしい」と呼びかける。

平山氏も「西にも東にもさまざまな分野の企業がある。全体を回ることで、自分たちの課題だけでなく、『こんな解決策もあるのか』という新しい視点を見つけてほしい」と話す。

CLO元年の物流展で探すべきものは、すぐに手に入れられる一つの「正解」ではないのかもしれない。

物流費、在庫、輸送、設備、人、データ、そして国内外のサプライチェーン。

それぞれを別々に見るのではなく、「知恵と技術」をどう組み合わせ、自社にとっての全体最適をどう描くのか。その問いを持ち帰ることこそ、2026年の国際物流総合展を歩く意味になりそうだ。

国際物流総合展2026

会期:2026年9月8日(火)-9月10日(金) 10時-17時
会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場、東京都江東区)東1−3、7、8ホール/西1−4ホール
https://www.logis-tech-tokyo.gr.jp/ltt/