イベント物流施設の開発と街づくりを一体的に捉え、地域の新たな成長の可能性を探る「TOKAI EXPERIENCE 2026〜東海の“いま”と“これから”を知る〜」が6日、愛知県東海市で開催された。プロロジスと本誌LOGISTICS TODAYが共催し、東海市、丸玉運送(愛知県東海市)、ロジクロス・コミュニケーション(東京都中央区)が協力。自治体、物流施設デベロッパー、地元運送事業者、物流コンサルタントがそれぞれの立場から、東海市の物流拠点としての可能性と、地域の発展につながる物流施設のあり方について意見を交わした。
東海市は、名古屋港や中部国際空港に近接し、伊勢湾岸自動車道をはじめとする広域道路網を利用できる交通結節点に位置する。鉄鋼、自動車など製造業の集積に加え、東西の幹線輸送や中京圏の地域配送を担う物流拠点として注目が高まっている。
一方、太田川駅周辺では「太田川駅西土地区画整理事業」として、商業、教育、住宅、産業・物流の各機能を集積させる大規模な街づくりが進む。プロロジスは、この開発地区の一角で大型物流施設「プロロジスパーク東海1」を建設しており、2027年5月の竣工を予定する。

▲「街づくり」と一体になった開発が進むプロロジスパーク東海1(出所:プロロジス)
セミナー冒頭、プロロジスのシニアバイスプレジデント浜野晃宏執行役員は、東海市の交通利便性と産業集積に加え、人と街がつながる新たな交流拠点としての可能性に期待を示した。物流施設を単なる保管施設ではなく、雇用や事業活動を通じて地域の発展を支える存在として位置付け、地元企業や地域社会との連携を深めていく考えを示した。
続く講演では、東海市都市建設部の都市計画課課長の山下一氏と市街地整備課課長の柳原伸裕氏が、太田川駅周辺で進む「100ヘクタールのまちづくり」を紹介。駅西地区では、産業・物流、商業・交流、学術・文化、住宅など多様な都市機能の集積を図っており、企業誘致と人口流入、地域のにぎわい創出を一体的に進める方針が示された。すでに大型商業施設が街の賑わいを作り出す中、今後日本福祉大学の開校やホテル、住宅地の開発が続き、エリア隣接地には西知多道路・大田インターチェンジ(IC)の開設も控える。
プロロジス営業部シニアマネージャーの加島健太郎氏は、開発中のプロロジスパーク東海1について説明した。各階への大型車両のアクセスを可能にするダブルランプや自動化に対応しやすい大規模フロア、空調を既設とした区画など、多様な物流需要に対応する施設計画を紹介。駅徒歩圏という立地や周辺の生活利便施設を生かし、人材確保や働きやすさの面でも新たな選択肢を提供する考えを示した。
ロジクロス・コミュニケーションの吉村武久社長は、物流の担い手不足を背景に、従来の長距離一貫輸送から中継輸送や共同物流へと転換する必要性を指摘。東海市を広域物流ハブとして活用することで、幹線輸送の効率化や在庫集約、ドライバーの労働環境改善につながる可能性を示す一方、拠点集中によるリスクや企業間連携の課題にも言及し、サプライチェーン再編に必要な知見を共有した。
地元東海市の物流企業、丸玉運送の玉山稔章社長は、東海市を起点に全国へ事業を拡大してきた歩みと、多様な輸送対応力とネットワークを紹介。製造業物流からEC(電子商取引)配送、M&Aなどを通じて専門性の高い輸送へと事業領域を広げるなか、地域の産業集積と広域交通網を生かした物流の可能性について、運送事業者の立場から展望を示した。
後半のパネルディスカッションでは、本誌編集局の鶴岡昇平副長が進行を務め、物流施設の集積が地域にもたらす効果や、広域物流の効率化、企業間の共同化、人材確保などについて議論した。特に、物流施設と住宅・商業施設が近接する街づくりと一体の施設開発において、大型車両と歩行者の動線を分離する都市設計の工夫など、物流と暮らしを両立させる具体的な開発思想にも話題が及んだ。
物流施設の競争力は、建物の規模や交通アクセスだけで決まるものではない。物流ネットワークの効率化、働く人の確保、地域社会との共生をいかに実現するか。今回のセミナーは、東海市で進む街づくりと一体の開発を題材に、物流施設が地域の産業と暮らしを支える新たな都市機能となる可能性を、多様な立場から考える機会となった。

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