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年頭あいさつ

川崎汽船・村上社長、「4本柱への経営資源集中」強調

2019年1月4日 (金)

▲村上英三社長

ロジスティクス川崎汽船の村上英三社長は4日、同社グループ社員に向けて行った年頭所感で「経営資源をドライバルク、自動車船、エネルギー資源、物流・関連事業の4本柱に徹底的に集中」するため、事業の選択と資産入れ替えの取り組みに注力していく考えを強調した。村上社長によるあいさつの要旨は次の通り。

■川崎汽船・村上英三社長の年頭あいさつ要旨
世界経済が堅調に推移するなかで海上輸送の需要が緩やかに拡大する一方、ドライバルクやコンテナ船では歴史的な市況低迷を経て船腹供給圧力は弱まっており、国際海運での需給環境は徐々に改善を見せている。
本年度上期の当社業績でも、ドライバルク部門では堅調に推移した市況を背景に、従来から取り組んで来た構造改革も相俟って黒字基調を確立することができた。またエネルギー資源部門では、中期経営計画で目指す方針に沿って、中長期契約による安定収益を積み上げることができた。一方で製品物流部門では、物流事業、内航・近海事業が安定的な収益を上げたが、コンテナ船事業統合会社「OCEAN NETWORK EXPRESS」(ONE)が、事業統合によるシナジー効果は着実に現出しているものの、営業開始当初のサービス混乱の影響で積高が想定を下回って損失を生じた。加えて自動車船事業で、欧州発航路の運航効率低下、資源国・新興国向け荷量の減少などのため損失を計上した。この結果、会社全体では通期でも赤字に転ずる予想となっている。

3か年の中期経営計画で重要課題として掲げている「ポートフォリオ戦略転換」「経営管理の高度化と機能別戦略の強化」「ESGの取組み」をひとつひとつ着実に取り進める方針に変更はない。
一方で今年度上期の厳しい経営状況を踏まえ、緊急的重要課題として「ONE社収益体制の立て直し」「自動車船事業の収益性改善」「選択と集中に向けた取組み」を下期に集中的に取り進めている。ONEは顧客からの信頼回復に真摯に取り組み、積高減など一時的悪化要因の克服と貨物ポートフォリオ見直しなどの構造改革を行うことで、確実に収益を上げられる体制に建て直しを図る。また、「選択と集中に向けた取組み」では、経営資源をドライバルク、自動車船、エネルギー資源、物流・関連事業の4本柱に徹底的に集中するため、コンテナ船事業スピンオフ後の当社グループの将来の姿を見据え、事業の選択と資産入替えの取り組みを進めている。
これらの緊急的重要課題にスピード感をもって取り組み、確実に成果を出すことで、来期以降の当社の収益力は着実に回復に向かうと考えている。

そしてその先、当社の競争力を高めて成長につなげるためには、当社の強みだ顧客との関係をさらに強固にしていかねばならない。このために、当社事業だドライバルク、自動車船、エネルギー資源、物流・関連事業は、規模の拡大を追うのはなく、社会の変化に対応したビジネスモデルの構築やAI/IoTなどデジタル技術への対応など、顧客の変化を先取りし、当社独自の新たな価値を創造する事業へと変革を進める方針だ。この課題に有機的に取り組むために今月から新しい組織を立ち上げ、デジタル技術の活用はAI・デジタライゼーション推進室が、またグループ横断的な戦略や顧客対応はマーケティング戦略室が、それぞれ連携を取りながらグループ・社内外の部署と協働し、顧客に新たな付加価値を提供していく体制とする。独自の付加価値の提供によって顧客との関係をより強固なものとすることで、中期経営計画で目指す安定収益の長期的な基盤を強化し、安定的な経営につなげていく。言うまでもなく、安全運航の遂行による高品質なサービスの提供は当社の礎であり、その徹底に努めて行きたい。