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コラム連載

「あなたは買えません-配達履歴という与信-」第4回

2020年7月16日 (木)

話題永田利紀氏のコラム連載「あなたは買えません-配達履歴という与信-」の第4回を掲載します。

第3回掲載(7月13日)▶https://www.logi-today.com/386134

第4章- それなりのあつかい

個人の配達履歴が購買与信としてネットワーク上で共有されたなら、買い物時にはどんな現象が起こるのだろうか。

■ ひとそれぞれ

(イメージ画像)

トラブルや損害を回避するためにWEBの特性を十二分に活かした販売手法と顧客対応が進化するだろう。経年利用により値引き率が上がる、無料サービスが増える、同額で中身がより充実する――などは、どのサービスや店舗でも珍しくない現象だ。

つまり、事業者側が顧客の履歴を分析して、与信ともいえる評価を付していることになる。社内規としてその基準があるのだろうし、必ずしもプラス条件だけではないだろう。今までは門外不出だった与信評価のいくつかが、今後は共有されるようになる。

もちろんそのネットワーク参加者にも一定の与信審査がある。ECをきっかけに実店舗にも影響は及ぶはずだ。「あなたは買えます」「あなたは買えません」が個々それぞれに提示される。今までは、利用履歴のある事業者のサービス窓口や特定店舗でしか起こらなかったことが、初めて利用する施設や店舗でも既視感を伴って繰り返される。

■ 配達履歴がカギ

ECショップ側から考えれば明白なのだが、最終配達にまつわるトラブルは回避したい項目の第一だろう。配達事業者を巻き込んでのやり取りの煩雑さと所要時間、結果として、高騰を続ける送料の想定外負担は死活問題ととらえるほど重大だ。競争のための送料自己負担に加えて、不本意ながらも対応せざるを得ない返品や交換に付帯する送料の予定外負担は、その取引を赤字化させるに十分すぎるという事例は数多い。

実はその購入者は他店でも似たようなクレームがいくつもあり、購買拒否されているショップも少なくない。「機微情報と詳細経緯は伏されていても、結論として要注意の警告や判定評価などが事前にわかっていれば…」は、全販売者の偽らざる要望に違いないだろう。

■ ニーズの顕在化

(イメージ画像)

各社の潜在的な欲求は、横のつながりによって顕在化する。

個人情報保護の厳密化とネットワーク参加者の資格基準、利用用途と利用制限の公表、購買者本人による与信情報の確認方法と事前告知、異議申し立て先の第三者機関の掲示――など、運用に際しての補足事項は多い。それでも利益確保と業務処理工数のムダ排除のためには、ネットワークへの参加希望に挙手する販売者が圧倒的多数だろう。

実はこの原稿を書いている今現在、すでに運用開始へのカウントダウンが始まっているのかもしれない、と勘繰ったりしている。大々的な告知など不要とする販売者が大多数だろうから、ある日からサイトの片隅に見慣れぬ掲示が出現するようになるのかもしれない。

第5回(7月20日公開予定)に続く

第1回:https://www.logi-today.com/384920
第2回:https://www.logi-today.com/385732
第3回:https://www.logi-today.com/386134

永田利紀氏の寄稿・コラム連載記事
“腕におぼえあり”ならば物流業界へ~正社員不足、求人企業は偏見改めよ
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