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書き手=物流コンサルタント・永田利紀

「コハイのあした」 第1回 -寡占の終わり

2020年1月10日 (金)

話題物流コンサルタントの永田利紀氏による週2回のコラム連載がスタートします。物流の切り口から鋭く現代社会を捉える永田氏は、徹底した現場目線を信条とするコンサルタントとして豊富な現場経験を重ねてきました。最初の連載テーマは「個配」です。

 

個配サービスは他の機能と同様に、生活態様の変化に従って構成内容の改廃を繰り返しながら拡大の一途をたどる。そして、今まであり得なかった外部者の参加によって新しい地図が描かれようとしている。

■ 大きな井戸のガリバーたち

この10年余りで個配業界の地図面積は大きくなり、3色に塗り分けられたガリバーたちの領土が拡大した。外界同様に労務規制や収益構造の再構築にさらされたが、あくまで業界内という大きな井戸の中での波風にしか過ぎなかった。嵐の最中に侵入者がやってきたら、と危惧することがあったのだろうか?というのは私の独り言でしかない。

■ 参入ではなく混入

異業種の参入が無かった理由は簡単だ。業務そのものの”重さ”と風当たりの強い労務管理を知れば、わざわざ新規事業として取り組む気にはなれなかったのだろう。しかしながら今後は、障壁ともいえる重さや煩雑さと歩留まりの不安定さにひるまない企業群が市場参入してきそうだ。実態としては参入ではなく混入に近い。新しい参入者はなぜ「重い業」を恐れないのか? それは実に単純な理由なのだと考える。「個配業務は補完機能であり、付加サービスに必要なコスト」、なら合点がゆく。

■ 変位するキーワード

参入者たちの顔ぶれは多種多様といってよい。たとえば以下のような言葉が参入動機の根拠や芯になりえる。配達・巡回・日用・訪問・点検・調査・検査・回収…単一にとどまらず複合まで考え出すと限がない反面楽しくなってくる。つまり「巡回と日用」「訪問と点検」のように、異業種の複数社が個配を協業の橋渡し機能として取り入れることで、企業と生活者の双方に利のあるサービスが生まれる。

「閉まったままだったドアが開く」「仕方なく、が心待ちに」などの変化は貴重だ。参入者によってキーワードは変わるし、アライアンスの組み合わせ次第で多様な変位が起こる。既存・新規を問わず、次々に新しいキーワードが掲げられ、個配を取り込んだ複合サービスは時間・頻度・コストなどの構成要素を変えながら枝分かれしてゆく。

■ 井戸から海へ

かといって、個配のガリバー達がどこかに追いやられるわけではない。安住していた大きな井戸の壁が割れて、外界の水と混じりあうだけだ。そしてすぐに元の水と新しい水の区別などつかなくなってしまう。今は生活用語に近い「宅配」という単語は、サービスの流れの中の一場面や一要素を示す言葉となる。配達車両の管理者としてガリバー達は大きな体躯を透明化させてゆく。それはかつて鉄道や大手総合物流企業たちがたどった道でもある。

退化ではなく、劣化でもない。社会資本の一部を担うための同化なのだろう。瞬きの間に到来する、「生活配送」とも呼ぶべき利便強化されたコンテンツの数々。仮に「複合サービスの時代」とでも名付けて、次章以降で掘り下げてみたい。

―第2回(1月15日公開予定)に続く