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LT Special Contents/物流施設特集・東京ベイエリア編(上)

読者調査で最も関心を集めた物流施設トップ3

2021年5月27日 (木)

話題LOGISTICS TODAY編集部が4月13日から5月17日にかけて、物流企業や荷主企業を中心とする読者から3970人をランダムに選定して実施した「東京湾岸地区の物流施設ニーズに関する実態調査」(有効回答数1205件、回答率30.4%)の結果、32.9%が東京湾などのベイエリアに物流施設を設ける可能性があると回答、その半数以上が3000坪以上の大規模スペースを求めていることがわかった。

また「どの物流施設に多くの関心が集まっているか」や、東京・横浜・川崎・千葉それぞれの港湾エリアで物流施設を構える場合の「許容可能な賃料」、港湾エリアに拠点を設ける上で何をメリット、デメリットと考えているか——などについても調べた。(編集部特別取材班)

■ 東京湾岸エリア、関心度1位はTRC物流ビルA棟

回答者全員に主要な完成済み・未完成物件のうち27物件を対象に「関心がある物流施設」を尋ねた設問では、23.3%が「東京流通センター物流ビルA棟」(東京都大田区、23年完成予定、延床面積未定)を選び、22.4%で2位の「東京レールゲートEAST」(品川区、22年7月完成予定、17.4万平方メートル)を僅差でかわして1位に輝いた。3位は「ダイナベース」(大田区、18年7月完成、9.7万平方メートル)で21.9%の回答者が選択、これら3施設のみが20%台の高い支持を得た物流施設となった。

上位3施設はいずれも東京モノレール沿線に立地し、東京港、鉄道、都心部、高速道路ICへの距離の短さ、東京23区内の立地であるにもかかわらず、周辺に物流施設が集積する「24時間365日稼働」が可能な環境で共通している。2位の東京レールゲートEASTに隣接し、2020年3月に開設した「東京レールゲートWEST」(品川区、20年2月完成、7.2万平方メートル)も14.8%が関心を示した。

エリア別の関心度をみると、東京港は当然ながら全体順位と同じ。横浜・川崎港エリアでは08年に開設された「プロロジスパーク横浜」(横浜市鶴見区、08年4月完成、6.5万平方メートル)が18.4%の支持を集めてトップに立った。川崎港地区も「GLP川崎」(川崎市川崎区、08年1月完成、16万平方メートル)が14.3%、「ESR東扇島ディストリビューションセンター第1期」(川崎区、23年3月完成予定、36.5万平方メートル)などが10%以上を獲得した。

千葉港エリアでは、「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋III」(千葉県船橋市、21年6月完成予定、26.8万平方メートル)が11.9%の支持を集めて1位、「DPL浦安III」(浦安市、22年10月完成予定、7.6万平方メートル)、「MFLP市川塩浜I」(市川市、22年1月完成予定、18.4万平方メートル)、「グッドマン市川」(市川市、15年3月完成、7.5万平方メートル)などの東京寄り物件も一定の支持を集めた。

■ 開設検討企業に限定すると順位に変動

ところが「今後、東京湾岸エリアに物流施設を開設する可能性がある」と答えた層に限定すると、物件関心度の順位は大きく変動する。今後の開設を検討している企業のみの回答を抽出したものであるため、編集部の事前予想では完成前物件に支持が集中すると思われたが、ふたを開けるとプロロジスパーク横浜とダイナベースが32.8%の支持を得て同率首位に。

全体1位のTRC物流ビルA棟は6位に退き、ESR東扇島DCや「ESR川崎浮島DC」(川崎市川崎区、22年8月完成予定、6.7万平方メートル)、「アライプロバンス浦安」(千葉県浦安市、21年10月完成予定、3.5万平方メートル)、24年初頭までに1期棟、25年に2期棟が完成予定の「アライプロバンス東葛西」(東京都江戸川区、12万平方メートル)といった東京外周の未完成物件も順位を上げた。

ここまで関心度の高い物流施設のランキングを見てきたが、そもそも港湾エリアの物流施設には、どのようなニーズがあるのだろうか。

2021年6月2日公開予定、「物流施設特集-東京ベイエリア編(中)」に続く。