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地震発生時に複数施設の被害状況を一元管理

物流網維持を強力支援「IoT地震観測サービス」

2021年9月1日 (水)

話題大地震などの災害発生時には、緊急支援物資の輸送などで重要な役割を果たす物流施設。発災時の初動対応において、各施設の被害や影響に関する最新の情報は重要な意味を持つが、ICTと高精度の計測技術を活用した地震計や観測システムを提供する白山工業(東京都府中市)の中井俊樹氏(執行役員/防災システム事業部長)は、「公的な地震観測網だけでは、ある地域の特定の場所がどの程度揺れ、被害があったのかは把握できない」という。どういうことなのか。中井氏に詳しい話を聞いた。(LOGISTICS TODAY編集部)

4400か所の公的地震観測網も倉庫の被害確認には不十分

各地域の震度を把握するためのインフラとして、気象庁や自治体などが運用する地震観測点が全国に約4400か所展開されているが、多くの市町村では1、2か所設置されているにすぎない。

▲初動対応における情報収集の重要性を語る中井氏

ある地域で「震度6強」と発表された場合でも、地形や地盤、建物の構造などによって、揺れや被害に違いが生じる。これが、冒頭の「公的な地震観測網だけでは——」という中井氏の発言の意味するところだ。国の研究機関や大学に対し、地震計や観測機器を提供している同社の見解を小言のように聞き流すことはできない。現に2011年の東日本大震災や16年の熊本地震などの大規模地震が発生した際には、素早く正確な情報が得られないため、各所で点検や復旧といった初動対応に遅れが生じた。

そこで、白山工業は20年に「IoT地震観測サービス」の提供を開始。物流・製造事業者が初動対応を決定するのに必要な情報を迅速に提供し、サプライチェーンの維持を支援する新たなサービスとして注目されている。このサービスは、施設ごとに設置した地震計によって地震発生時に複数建物の被害状況を一元管理するもので、これまでに旭化成ホームズの防災情報システムや、構造計画研究所の建物損傷評価システムなどで採用されている。

物流関連企業に限らず、防災やBCP(事業継続計画)に取り組むすべての企業にとって重要なサービスといえるが、物流施設に導入した場合には、どのようなメリットが見込めるのだろうか。中井氏は「公的な観測網では把握できない、ピンポイントの被害状況を知ることができる」と自信を見せる。

▲複数の拠点の被害状況を一元的に管理できる「IoT地震観測サービス」のマップ

計測からデータ共有までをトータルに提供

同社はこれまで研究機関や大手民間企業へ、ICTと高精度の計測技術を活用した観測機器やソフトウェア、サービスを提供してきた。そのなかで、物流事業者など「複数の拠点を運営する事業者」の災害対策レベルを数段引き上げる効果をもたらしたのが、IoT地震観測サービスだ。

このサービスでは、白山工業が導入企業に貸与した地震計で、地震発生時の揺れを計測。計測されたデータはクラウドサーバーに自動でアップロードされ、各施設の震度や被害状況をパソコンやスマートフォンから簡単に確認することができる。加えて、APIによりデータを自社の管理システムに取り込むことも可能だ。

▲「IoT地震観測サービス」により被害状況の確認が容易に

高性能の地震計を低価格で

▲貸与する地震計「PL200」

同サービスにより、導入した各社は低コストで広域・多拠点の地震観測網を構築することが可能となる。専用地震計「PL200」は、揺れを感じた施設の地震計だけでなく、震源地から500キロメートル圏内の地震計全てで計測データの取得を行い、地震計メーカーならではの精度で地震を計測。機器内部にはバックアップバッテリーも備え、停電時も30分程度は計測を続けることができる。

取り付けに専門的な技術は必要なく、一般の施工事業者であれば対応が可能。初期費用は1台あたり10万円から20万円程度、年間使用料は通信費用込みで3万円から4万円とのことで、いざという時の保険費用として考えれば、リーズナブルといえる。

BCPも自動化・省力化へ

同サービスを利用している場合には、大地震発生時に自動で被害状況を一元的に把握でき、優先順位を付けた上で初動対応に臨めるため、遠隔での支援や必要最低限のスタッフの派遣など、アフターコロナ時代の自動化・省力化の流れを汲んだBCPの取り組みが可能となる。

中井氏によれば、今後は計測したデータを活用して建物への揺れの影響を推定する「簡易被災度推定機能(地震あんしんカルテ)」の正式リリースも予定しているとのこと。物流施設を運営・管理する不動産関連事業者にとっては、同サービスの導入が、テナントの獲得や関係各社との連携強化に向けた大きな付加価値となる可能性がある。

新サービス開発に向けた連携に期待

(イメージ)

最後に触れておきたいのが、白山工業がさまざまな企業の商品やサービスとの連携に前向きに取り組んでいる点だ。中井氏によれば「積極的にパートナー企業を探している」とのことで、例えば、発災直後から、同サービスの地震観測データと、各種の天気・事故情報などを組み合わせた総合的な災害情報が提供されれば、物流業界全体にとって大きな支援となる。サービスエリアや道の駅といった交通の要所での情報提供も効果が大きいだろう。

社会インフラとして重要な役割を果たしている物流企業への期待や要求は、災害時により大きなものとなる。南海トラフ地震をはじめとする巨大地震が今後も日本列島を襲う可能性が高い中、規模や業種を問わず、全ての企業は最大限の「備え」を進める必要がある。その備えにおいて、IoT地震観測サービスが果たす役割や、将来に示す可能性はこれから大きなものとなっていくだろう。

資料ダウンロード/問い合わせ
資料:https://www.hakusan.co.jp/solution/IoT_quake_monitor/inquiry/
電話:042-333-0080
メール:iot-pj@hakusan.co.jp
「IoT地震観測サービス」紹介ページ

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