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「上尾I」危険物倉庫と「上尾II」作業用空調付き約2500坪ワンフロア区画を募集中

顧客ニーズ対応力で差別化、野村不「Landport上尾」

2021年12月28日 (火)

話題東京とさいたま市を結ぶ大動脈「新大宮バイパス」は、さいたま市西区の宮前インターチェンジで「上尾道路」へと変わる。東京と埼玉を結ぶ新しい動脈であるこのバイパス道路でさいたま市を抜けて埼玉県上尾市に入りしばらく走ると、左手に真新しい大きな物流施設が見えてくる。さらに道路を隔てた反対側でも、同様に物流施設の建築工事が進む。

ここに本拠地を置くUDトラックス(埼玉県上尾市)の巨大な生産拠点を南東側からうかがうように、2棟の物流倉庫が対面する。野村不動産(東京都新宿区)の「Landport(ランドポート)上尾」プロジェクトだ。上尾道路の西側にそびえる「Landport上尾I」は2021年11月に完成(危険物倉庫は22年4月から入居可能)。一方、東側に建設中の「Landport上尾II」は22年5月下旬の完成予定だ。

▲野村不動産「Landport上尾I」の外観

野村不動産にとっては上尾市で初となる物流施設開発プロジェクトは、まさに佳境を迎えている。Landport上尾Iの一般倉庫棟は既に満床。Landport上尾IIも約90%のスペースが成約済みで、ともに幸先よいスタートを切った。

大きく設計思想が異なる「IとII」

▲「Landport上尾I」のエントランス内装

上尾道路を隔てて2棟の物流施設が並ぶ、Landport上尾プロジェクト。しかし、ツインを成すLandport上尾のIとIIでは、設計思想が大きく異なる。

Landport上尾Iは4層スロープ型でトラックが接車しない2・4階は梁下有効高6.5メートルを確保するなど、メーカーの製品拠点としての保管機能を重視した印象だ。さらに、危険物倉庫を3棟併設する。

一方のLandport上尾IIは温度帯保管を想定した床断熱加工を1階の約3000坪に実装。保管温度0度まで対応。温度管理が必要な食品類などの取り扱いも可能となり、業務枠が広がる。さらに、4層シングルランプ型で最小区画面積約1800坪、自動化オペレーションを意識したオールシャッター方式、4階に作業用空調を採用するなど、いわばEC(電子商取引)サービスを想定した機能を配置している。

その狙いは何か。「異なるコンセプト・形状の2棟構成とすることで、幅広いニーズを取り込むことを意識しました」と話すのは、野村不動産の都市創造事業本部 物流事業部 事業一課の増田翔平・課長代理だ。

▲「『Landport上尾』は異なるコンセプト・形状の2棟構成で、幅広いニーズの取り込みを意識した」と話す、創造事業本部 物流事業部 事業一課の増田翔平・課長代理

野村不動産の強み「カテゴリーマルチ」

物流施設の開発業者が隣接して複数の棟を建てる事例は全国でも数多い。しかし、Landport上尾のようにここまで仕様の異なるケースは珍しく、逆にそれが野村不動産の持つ独自性でもあるのだ。その象徴が「カテゴリーマルチ」という発想だ。

▲カテゴリーマルチ型の「Landport新座」の外観イメージ

野村不動産は、マルチテナント型物件とBTS型(開発業者が特定のテナントのニーズに応じて建設し原則として棟全体を1つのテナントに賃貸するタイプ)物件のそれぞれのよさをあわせ持つ「第3の選択肢」となりうる物流施設のあり方を提案する「カテゴリーマルチ型物流施設」を提唱。「Landport柏沼南」(千葉県柏市)と「Landport青梅」(東京都青梅市)で実績があり、22年2月完成予定の「Landport新座」(埼玉県新座市)にも導入する計画だ。

「物流施設としての汎用性を維持しながらもステップアップした機能を散りばめることで、各機能におけるお客様ニーズに対応できる効果を狙っています」(増田氏)。汎用的ながら特定のニーズに適した物流ソリューションを提供できるシステム。Landport上尾の強みと言えそうだ。

「Landport上尾I」は危険物倉庫3棟を募集中

野村不動産は現在、Landport上尾Iの危険物倉庫3棟と、Landport上尾IIの2500坪について入居企業を募集している。

▲「Landport上尾I」は3棟の危険物倉庫で入居企業を募集(22年4月から入居可)

Landport上尾Iの物流倉庫建屋の南側に設置される3棟の危険物倉庫。70.78坪▽74.41坪▽81.67坪――とそれぞれ広さが異なるものの、鉄骨造で第4類(引火性液体)の危険物を対象とした、指定数量の50倍の貯蔵量を確保できる構造は共通しており、いずれも特殊引火物とアルコール類、第一から第四までの石油類、動植物油類と、幅広い品目を取り扱うことができる。「埼玉県内の圏央道の内側で危険物倉庫を求めるニーズが多く、お客様の声から実現しました」(増田さん)。

危険物倉庫の需要は、全国的にも高まっている。近年では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を機に、危険物に該当するアルコールを使った消毒剤の保管需要が高まっている。危険物の輸配送と一体となった保管サービスを充実させる動きも広がっており、Landport上尾Iに危険物倉庫を整備した背景には、こうした事情もあるようだ。

「Landport上尾II」は希少な「約2500坪」区画を募集中

一方、Landport上尾IIの募集区画は、作業用空調を実装していること、さらにワンフロアで物流オペレーションが可能な区画であることが特徴。「4階は、募集開始当初から約1800坪と約2500坪の分割提案をしています。新築物件での同規模募集は希少性があると考えています」(増田氏)。

▲「Landport上尾II」の外観イメージ(上)。4階の約2500坪で入居企業を募集(下)

作業用空調は、近年の夏季の高温を背景に導入が広がり始めているが、まだまだ希少なのが実情だ。Landport上尾IIでは、夏季は30度、冬季は20度に設定。「雇用を意識したテナント様が増えてきている。空調実装は、実装費とメンテナンス費が不要になるだけでなく、契約満了時の原状回復費も軽減される等、コストメリットがあります」(増田氏)

上尾近辺で開発が進む物流施設案件を見ても、2500坪クラスのスペースを賃借できる機会は意外に少ないだろう。早めのアプローチが必要だ。

多様なニーズへの対応で「上尾の地に野村あり」を実現できるか

(クリックで拡大)

野村不動産は、物流施設の進出が相次ぐ前の段階でLandport上尾プロジェクトを展開したことで、順調な立ち上がりを見せている。まずは「多様なニーズに応えたい」との狙いが的中している印象だ。

Landport上尾のすぐ南側には、首都高速道路埼玉大宮線が与野ジャンクションから延伸され、「上尾南出入口」(仮称)も計画されている。首都圏における物流施設のホットスポットになる潜在力を秘めたこの地で、「上尾の物流に野村あり」のメッセージをとどろかせることができるか。野村不動産の本当の挑戦が始まるのはこれからだ。

Landport上尾Iの概要
所在地:埼玉県上尾市堤崎362
敷地面積:2万9053.62平方メートル(8788.72坪)
延床面積:5万6884.42平方メートル(1万7207.53坪)
構造:鉄骨造、耐震構造、地上4階建て
交通:首都高速道路埼玉大宮線「与野出入口」7.5キロ、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「桶川北本インターチェンジ」7.8キロ、JR高崎線「上尾駅」4.0キロ
Landport上尾IIの概要
所在地:埼玉県上尾市堤崎420
敷地面積:3万1221.23平方メートル(9444.42坪)
延床面積:7万6717.71平方メートル(2万3207.11坪)
構造:混構造(柱RC・梁S)、耐震構造、地上4階建て
交通:首都高速道路埼玉大宮線「与野出入口」7.6キロ、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「桶川北本インターチェンジ」7.9キロ、JR高崎線「上尾駅」4.0キロ

▲「Landport上尾」の広域周辺図(クリックで拡大)

■物流施設特集 ‐東京近郊(内陸)編‐