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国内最大級プロジェクトを手がける日本GLPの「真の強み」

GLP ALFALINK流山はビジネスプラットフォームだ

2021年12月22日 (水)

(イメージ)

話題東京都心から常磐自動車道に進んで最初の出口である「流山インターチェンジ」を降りると、右手に新しい広大な開発用地が目に飛び込んでくる。白を基調とした巨大な物流施設の隣では、多くの重機が並び新たな建物の建築が進み、住宅や田畑が広がるのどかな街並みと見事な対照を成している。

日本GLP(東京都港区)が手がける、大規模多機能型物流プロジェクト「GLP ALFALINK(アルファリンク)流山」(千葉県流山市)。相模原市中央区で開発を進める「GLP ALFALINK相模原」とともに、日本GLPが首都圏の東西で推進する国内最大級の規模を誇るこれらのプロジェクトは、物流業界でも最大級の注目を集めるトピックになっている。

荷物の入荷から保管、仕分け、検品、出荷まで幅広い機能を果たす物流施設。そのスペックを判断する指標としてまず注目されがちなのが、延床面積や仕分け能力だ。こうした「規模」は、物流施設の価値を左右するポイントの一つなのは間違いないだろう。

しかし、あえてここで問いたい。こうした豊かな広さを生かして、日本GLPは入居企業にどんな価値を提供しようとしているのか。こうした観点から、改めてGLP ALFALINK流山のプロジェクトを眺めてみると、他の競合施設を圧倒する新たな「強み」が浮かび上がってきた。

目指すのは「ビジネスのプラットフォーム」

▲「GLP ALFALINK流山プロジェクト」の全体完成イメージ

日本GLPは、創造連鎖する物流プラットフォームとして「ALFALINK」ブランドを構築。流山と相模原、そして茨木(大阪府茨木市)の3か所でプロジェクトを展開する。EC(電子商取引)サービスの普及や新型コロナウイルス禍に伴う外出自粛の動きなどを背景とした消費スタイルの多様化は、物流現場で取り扱う荷物の増加だけでなく小口化や多種類化を引き起こした。物流開発企業は、コロナ禍収束後の経済回復も見据えて、こぞって物流施設の開発を加速。巨大な物流施設が大都市圏を中心に相次いで誕生する。その代表的な存在が、ALFALINKプロジェクトだ。

▲「GLP ALFALINK流山」の営業を担当する杉本駿介さん

GLP ALFALINK流山プロジェクトは、すでに4棟が完成し満床を予定。未着工1棟を含む残り4棟のうち2棟についてはマルチテナント物件として最小区画637坪(2100平方メートル)で入居事業者を募集中だが、引き合いも底堅い。日本GLPが着実にブランド力を高めるなかで、流山プロジェクトの営業を担う営業本部営業開発部の杉本駿介マネージャーは、決して気を抜けない日々が続く。「提供できる『メリット』を明確に示す、つまり規模の大きさを生かした価値を提供して初めて、ALFALINKが存在する意義が生まれると考えているからです」

杉本さんの考える「意義」とは何か。「ビジネスのプラットフォームを提供できる場であること。それに尽きます」。杉本さんを中心とした営業メンバーの活動に迫っていくと、この「ビジネスのプラットフォーム」をキーワードとした具体的な4つの発想が見えてきた。

「荷物が荷物を呼んでくる」発想

まずは「荷物が荷物を産む」サイクルの醸成だ。

ある企業が入居し配送拠点を整備したとする。すると、その企業の展開するビジネスに関連した事業者も、同じ拠点への入居を希望するようになる。最初に入居したのが電機メーカーであれば、部品や付属品を供給する企業も当然ながら近い場所に物流拠点を設けたくなるだろう。輸送コストが軽減できるほか、企業間の連携が強まり互いに事業の効率化・最適化を図れるからだ。それならば、両社が同じ場所で拠点を設けることで、こうした効果を最大化できるというわけだ。

日本GLPは、こうして関連事業者のニーズをくみ取ることで、最初の荷主企業だけでなく関連事業者のビジネスにも大きな「価値」を提供できることになる。裏を返せば、こうしたサービスを実現できるだけの「規模」を抱えているからこそ提供できる価値なのだ。

入居企業同士でスペースを「融通」

消費スタイルの多様化は、物流拠点におけるあらゆる常識を打ち破っている。その一つが、業務の繁忙期と閑散期のタイミングだ。物流業界は年末や年度末が繁忙期とされ、それに対応したパート・アルバイト従業員の雇用や応援人員の拡充を進めてきた。しかし、近年はこうした繁忙期の「定例化」が崩れ始めている。宅配ニーズの多様化などで繁閑の周期や頻度が変わり、先を見通した計画が立てにくくなっているという。

▲季節波動への対応が物流業界全体の大きな課題となっている(出所:日本GLP)

こうした状況下で、入居企業の円滑なビジネスを支援できるか。日本GLPでは全国のマルチテナント物件において、日本GLP主催の「月例カスタマー定例会」を以前より実践している。もちろんここGLP ALFALINK流山も例外ではない。

入居企業の業種は多岐にわたる。当然ながら繁閑のサイクルもバラバラ。自社スペースに余裕があるところもあれば、増える荷物の置き場の確保に四苦八苦している場合もある。「そこで発案したのが、カスタマー企業が互いにスペースをマッチングさせる取り組みです。繁忙な事業所であふれた荷物を閑散期にある会社のスペースに置くことで、スペースを有効に活用できるだけでなく、近隣の施設を新たに賃借することなく配送業務を維持できるというわけです」(杉本さん)

(イメージ)

そのマッチングを行う場が、カスタマー定例会だ。入居事業者のスペース活用率を事前に提供し合うことで、短期的な荷物のオーバーフローを未然に防ぐ。日本GLPによる賃借スペースの柔軟な対応はテナント企業同士の連携を創出し、結果としてサプライチェーンの最適化に貢献している。

日本GLPでは、繁忙期のこうした荷物の集約先企業を探す入居企業向けサービス「GLPコンシェルジュ」も展開。現場に寄り添いながら入居企業を全面的にバックアップする物流開発業者の取り組みは、入居企業にロイヤリティをも提供している。

物流施設内で「レンタルオフィス」

こうしたフレキシブルな対応は、物流作業スペースだけにとどまらない。ここでは、GLP ALFALINK流山で展開するユニークな取り組みを紹介する。

▲「GLP ALFARINK流山」内で稼働するコールセンター。事務所区画を「賃貸オフィス」として提供している

「お電話ありがとうございます。お待たせいたしました」。プロジェクトの一号棟として2018年2月に完成した「GLP ALFALINK流山2」の一角。整然と並んだ机に置かれたパソコン画面を前に、イヤホンを付けたオペレーターが顧客の電話対応にあたっている。トラックが絶えず出入りする物流作業現場と同じフロアに、なぜコールセンタースペースが置かれているのか。

「ここは入居企業が運営するコールセンターではありません。オフィスとして企業に貸し出しているのです」(杉本さん)。コールセンター用のオフィスを探していた企業に、本来は事務所スペースとして開設した区画をレンタルスペースとして2019年から提供している。物流施設内の「賃貸オフィス」というわけだ。

流山市でレンタルオフィスを探していた企業の相談を受けた市の関係者が、日本GLPに打診したのがきっかけで生まれた取り組みだ。とはいえ、なぜGLP ALFALINK流山で賃貸オフィスビジネスが成立したのか。「GLP ALFALINK流山にある食堂など共用施設の充実さが、理由の一つだと考えています」(杉本さん)

レストランをはじめ、コンビニエンスストアやオープンスペースなど従業員の就労環境を確保する各種施設の提供は、日本GLPの物流施設の強みになっている。特にGLP ALFALINK流山では、物流施設を「街」の一部と位置付け、物流関係者だけでなく地域社会とも共生する物流施設を目指している。いわば、GLP ALFALINK流山はALFALINKという「街」の一部に存在するとも言えるわけだ。都会のテナントオフィスさながらの環境を再現できることが、こうした貸しオフィスの発想を具現化しているのだ。

背景には、倉庫区画に割り当てた事務所スペースを持て余す事業者も意外に少なくないという事情もある。杉本さんは「物流施設だけでなくオフィスとしても活用していただくことで、物件の有効活用につなげられる利点もあります。さらに建物の耐震性や強靭さは都市型オフィスビルと同等。事務所スペースに空きが出ることがあれば、今後もこうした取り組みを展開していきたい」と話す。

中小企業やスタートアップをしたスペースの小口化

物流開発業者にとって、入居企業は契約でつながったビジネスの関係にすぎないかもしれない。しかし、「社会に不可欠なインフラである物流は経営戦略そのものだ」との発想が広がるなかで、物流拠点における業務効率化は事業の成長にも貢献するという発想が芽生えてきている。

▲「スタートアップ含む中小企業とともに成長する場」になれるか

日本GLPはここGLP ALFALINK流山で、こうした考え方を具現化する取り組みを始めている。対象は、スタートアップを含む中小企業。「日本GLPは物流サービスの提供を通して、大企業だけでなくこうした中小企業とともに成長していきたいと考えています。そのための活動が、最小区画637坪(2100平方メートル)から貸し出す取り組みです」。杉本さんは、流山プロジェクトの最終棟として22年1月に着工し、23年7月に完成する予定の「GLP ALFALINK流山4」で計画している取り組みについて教えてくれた。

同施設は現在、入居企業を募集中。GLP ALFALINK流山が”シリコンバレー”になる日も、夢ではないかもしれない。

▲日本GLPの帖佐義之社長

日本GLPが、「物流施設の概念を根底から変える」(帖佐義之社長)ことを目指して推進するGLP ALFALINK流山プロジェクト。アルファリンクシリーズの共通コンセプトは、「創造連鎖する物流プラットフォーム」。「Open Hub」(オープンハブ、物流をもっとオープンに)、「Integrated Chain」(インテグレイティッドチェーン、サプライチェーンをつなぐ)、「Shared Solution」(シェアードソリューション、ビジネスの進化をサポート)をキーワードに掲げ、物流施設の機能を確保しながら、周辺の街づくりを一体化させた発想を斬新に取り入れた意欲的なプロジェクトだ。

しかし、そのコンセプトを具現化するための現場の取り組み、それは実に細やかな荷主企業への配慮だった。物流事業を通した入居企業の発展に貢献するため、時には物流サービスの枠を超えてまでも寄り添い続ける姿勢は、物流施設のあるべき姿を的確に提示していると言えるだろう。まさに物流施設の「概念」を根底から変えていくのだ。

■GLP ALFALINK流山プロジェクトの概要

(データは日本GLPのプレスリリースから引用)

■物流施設特集 ‐東京近郊(内陸)編‐