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倉庫の床の沈下や傾きを修正する「テラテック工法」を展開

メインマーク、水平な床は物流を支える前提条件だ

2022年1月26日 (水)

話題広々とした床面が印象的な物流倉庫。多くの荷物が次々と運び込まれ、フォークリフトが縦横無尽に荷物を抱えて走り回る。その間を縫うように作業員が機敏に動き回る−−。まさにサプライチェーンの要として、社会に不可欠なインフラである物流を支える存在だ。

その倉庫の床が沈んだり傾いたりして、事故の原因にさえなっていると聞いて、にわかに信じられるだろうか。ところが、それは現実の話なのだ。地盤の沈下や構造体の経年劣化などで倉庫の床面にこうした変化が発生する事例は、全国で報告されており、最悪の場合は事故に結びつくこともあるという。

▲建物の床下にある空洞が床面の沈下や傾きの要因となっている

巨大地震の発生が予想されるなど、現場におけるBCP(事業継続計画)の課題の一つとして、こうした床の沈下や傾きへの対応策について、もっと物流事業者は敏感になるべきではないのか。床を樹脂の膨張力で修正する「テラテック工法」を展開するメインマーク(東京都江戸川区)の川口太社長に、この工法を活用した物流現場における事故防止の考え方や方策について聞いた。

転倒などの事故リスクをはらむ床面の沈下や傾き

床の沈下や傾きは、床下に空洞が生じていることが多い。この空洞に「テラテック樹脂」と呼ばれる硬質発泡ウレタンを注入し、その膨張力で床を押し上げて水平にする。これがテラテック工法だ。

川口社長は、全国各地の物流倉庫でこうした沈下や傾きの現場を検証する際に、いつも心に刻んでいる。「こうした床の変化が思わぬ事故を引き起こし、物流を止めてしまうこともある」。テラテック工法の果たすべき最大の使命は、こうしたリスクを未然に防ぐことだと考えている。

▲メインマークが物流業界で果たすべき使命について語る川口太社長

−−床面の沈下や傾きは、物流現場にどんなリスクを引き起こすと考えられるか。

川口 まずは「転倒」ではないか。荷物の運搬をはじめとするさまざまな作業に携わるなかで、地盤沈下により倉庫の入り口や床のつなぎ目などに現れる床面の段差やたわみが転倒につながるケースが多いようだ。たわみ部分には水が溜まり、足を滑らせて転倒する危険性も潜んでいる。

−−こうした不注意による事故の発生要因として、倉庫の床の沈下や傾きは見逃せないポイントではないか。

▲施工は最小限のスペースで行われるため、庫内作業を止めることもない

川口 その通りだ。不注意による事故を引き起こすトリガーになるのは、床面のちょっとした段差や傾きだ。床面の沈下が急速に発生するケースはほとんどなく、じわじわと進むことが多い。決まった作業で決まったルートを移動しているにもかかわらず、わずかに発生した段差につまづいて転倒したケースがあるという。床面の変化が、こうした事故を誘発するきっかけになる象徴的な事例だ。さらに、従事者の腰痛や頭痛などの健康被害も報告されており、安全な職場環境の確保にも悪影響を与えているのは間違いない。

−−作業員の転倒以外にも床面変化による事故発生リスクは。

川口 荷物を運搬する機器の動作への影響、さらには荷物そのものへのダメージだ。荷物を乗せて構内を搬送する台車は、段差や傾きの影響を受ける。水平であればスムーズに移動できるものが、わずかな床面の変化で急に加速したり全く動かなくなったりする。こうした過程で、顧客の荷物に強いショックを与えることで、内容物を損傷してしまうリスクも発生する可能性がある。物流サービスそのものへのダメージにつながる、深刻な課題だと考えている。

床面修正は「危険予知」だという発想

床面の沈下や傾きは、現場従事者の就労環境に暗い影を落とすばかりか輸送品質までも低下させかねない、物流現場における重い課題であることが分かった。それを踏まえて、メインマークはテラテック工法を活用することで、物流現場にどんなメッセージを訴えようとしているのか。

−−こうした床面の変化によるダメージから現場従事者や荷物を守るために、メインマークが伝えるべきと考えるポイントは。

川口 こうしたリスクを未然に防ぐための「危険予知」の重要性だ。床の沈下修正の相談を受けた企業の物流倉庫の状況を調べると、一言で沈下や傾きといっても現場によって状態は異なる。さらに、現場従事者の悩みや課題も千差万別だ。だからこそ、メインマークは現地調査で状況を把握したうえで解決方法を提案し、テラテック工法をはじめとするメインマークが提案できる工法を併用しながら、解決策を講じている。

−−具体的に危険予知の大切さをどのように伝えているのか。

川口 メインマークが携わった過去の経験や事例を”データベース”として、危険予知の考え方を伝授している。近年は沿岸部だけでなく内陸部でも物流倉庫の開発が進んでいる。こうした場所では、そもそも傾斜地を水平にして建物を建設するため、切土・盛土などの影響で地盤の強度に問題が起こりやすく、どうしても傾きやすい傾向にある。こうした事例を、今後起きる可能性もあるリスクとしてインプットしてもらうだけで、現実に床の変動が起きた時点で即時に対応することが可能だ。

−−こうしたメッセージを発するのは、物流業界ならではの慣習も影響しているとか。

川口 物流関連企業の相談を受けて調査する際に、床が傾いているとの悩みをなかなか口に出せなかったと聞いた。物流倉庫の進出競争が激しさを増すなかで、マイナスになる情報を発信できないのは理解できる。しかし、その事実を言わないまま荷主企業が入居したらどうなるか。従業員を含めた物流業務そのものへの影響が出てからでは遅い。そこで、危険予知の重要さという発想が生まれてくる。

テラテック工法の認知向上が喫緊のテーマだ

物流を止めないためにメインマークができること。それは床面変化による危険予知を訴えることだ。それは、テラテック工法による床面修正技術を広く訴求する取り組みに直結する。

−−危険予知を訴えるための具体的な取り組みとして、メインマークが考えていることは。

川口 床の傾きや段差を業務を止めずに修正できるテラテック工法の認知度を高める活動だ。床面の沈下や傾きによるリスク、さらにそれを修正する工法があるという事実。それに加えて、倉庫稼働を止めずに最小限のスペースで短時間に施工できるテラテック工法の利点を伝えたいと考えている。既存の倉庫の床をそのまま活用できるのも、プラス面として訴求できるポイントだろう。

■テラテック工法の施工イメージ(出所:メインマーク)

(1)事前の調査で床の沈下量や床下の空洞状況を確認。1円玉より小さい注入孔(直径16mm)をあけ、テラテック樹脂を注入

(2)広がりながら膨張するテラテック樹脂が床下の空洞を埋める

(3)膨張力で床を押し上げ、ミリ単位の精度で計測を行いながら沈下し傾いた床を水平に修正する

−−物流現場で推進されている各種ロボットの導入においても、メインマークの技術は優位性があるのではないか。

川口 AGV(無人搬送車)を倉庫内の業務効率化策として導入するにあたって、床が水平であることは、いわば「前提」条件と言えるだろう。精密なセンサーが稼働し、わずかな床の変位も感知して動作を停止する事例もあるほどだ。こうした用途変更に対応するには、水平な床は不可欠であり、その支援策としてテラテック工法が存在することを認知させていく。

−−訴求力の向上へ新たな取り組みを考えているとか。

▲「テラテック工法の新たな施工技術の開発にも取り組んでいる」と明かす川口社長

川口 施工の痕跡をより小さくする取り組みだ。テラテック工法は、直径16ミリと一円玉よりも小さな孔(あな)から樹脂を注入する。その孔を直径6ミリにする新たな施工法を打ち出す計画だ。見栄えをさらによくするだけではなく、コンクリートの強度を保つ狙いもある。さらに、SDGsへの貢献策として提案できると考え始めている。床面修正の方策として、既存の床を取り壊してコンクリートを打設し直す工法が一般的だった。その場合は、大量のコンクリートが産業廃棄物として生じることになる。テラテック工法は、既存の施設の寿命を延ばす意味でも持続的な社会の実現に貢献できる取り組みという側面もあるからだ。

メインマークの取り組み、それは「物流」を支えること

「現場業務がうまく回らないのは、職場が傾いていることが要因ではないか」。川口社長は、独特の言い回しで床面変化の物流業務に及ぼすリスクについて表現した。業務中の事故は、その最たるものだろう。メインマークのテラテック工法を軸とした取り組みは、床面を水平に修正することに留まらない、その先をも見据えた視点がある。それは社会の血液である「物流」を確保することにほかならない。

テラテック工法に、独自に提案できる他の工法を組み合わせることで、現場の特性に対応した床面修正を実現してきたメインマーク。社会インフラである物流を根底から「支える」取り組みを加速していく。既成概念を変えるメインマークの活動から目が離せない。

テラテック工法の施工事例
メインマークのソリューションサービス(一部)
土間床の沈下修正施工法(テラテック工法ほか)
https://mainmark.co.jp/solution/subsidence
建物下の地盤改良
https://go.mainmark.co.jp/l/68432/2022-01-25/k289s3
建物の傾き修正
https://go.mainmark.co.jp/l/68432/2022-01-25/k289sk

▲テラテック工法の施工前(左)と施工後。施工前には明らかな倉庫のラックの傾きが、施工後は改善されている
テラテック工法に関する資料ダウンロードはこちらから
https://go.teretek.jp/l/68432/2021-09-28/jdjqfs

■事故防止特集‐物流施設編‐