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食品値上げ沈静化傾向も、秋に再び値上げラッシュ

2024年7月31日 (水)

拠点・施設帝国データバンク(TDB)は31日、ことし8月以降の食品の値上げ動向について見通しを発表した。発表によると、チョコレートやアイスの値上げが続き、ことし秋には半年ぶりの値上げラッシュがあるという。原材料高が値上げの主な要因だが、物流費や円安を要因とする値上げも増えている。

▲月別値上げ品目数 推移(クリックで拡大、出所:帝国データバンク)

同社によると、8月の飲食料品値上げは642品目で、前年同月に比べ555品目減少し、減少率は46.4%だった。減少は8か月連続で、値下げ沈静化の傾向が続いている。値上げ1回の平均値上げ率は8月単月で12%となり、ことしに入ってもっとも低くなった。

食品分野別にみると、「加工食品」がもっとも多く319品目。輸送費の上昇などで輸入小麦の価格が上昇したため、大手各社による乾麺やソースなどパスタ製品の一斉値上げが目立った。「菓子」は128品目で、原料のカカオ豆の価格高騰を背景にチョコレート製品の値上げが中心となった。チョコやレーズンの価格上昇で、一部菓子パン製品の値上げもみられた。家庭用ミックス粉など「原材料」は52品目だった。

値上げの背景をみると、一時160円を超えた急激な円安の影響で、食品トレーやビンなど包装資材、物流費などのコスト増が発生しており、オレンジジュースやチョコレート製品では、大雨や猛暑、干ばつをはじめとする世界的な異常気象による原材料高が表面化している。国産原料でも米価格の高騰によって、パックごはん製品で価格が引き上げられるなど、飲食料品に対する値上げ圧力が高い状態が続いている。

一方、消費者側では、実質賃金の伸び悩みによる購買意欲の低下を背景に、値上げ後の商品の買い控えや、PB製品など低価格の代替品志向といった動きが強まっている。このため、企業側も本体価格の引き上げではなく、内容量を減量するなどして価格を据え置くケースが食料品でも目立ち始めており、値上げの勢いには後退感もある。

今後の見通しについては、9月以降に冷凍食品やハム・ソーセージ製品の値上げが予定され、清涼飲料水を中心とした缶・PET飲料、ビール類を除く酒類、アイスクリーム・氷菓製品、パックごはんなど幅広い品目で値上げが行われる。10月の食品値上げ予定品目数がことし4月以来となる2000品目台となりそうな傾向で推移しており、さらに資材価格の高騰が続くビール類やRTD飲料、日本酒など酒類製品で値上げが実施されると、昨年10月並みとなる4000品目前後に到達する可能性もある。

ことし1月から11月までの値上げ予定の品を含む値上げ品目数は1万1617品目で、平均値上げ率は17%。これらの品目のうち、原材料高が要因で値上げするのは92.4%で、春以降に原材料高の影響が広がった。猛暑や干ばつなど天候不順による不作の影響を受けたケースが多く、なかでもチョコレートを使用する幅広い食品で大幅に価格を引き上げる動きが相次いだ。「物流費」が要因の値上げも増えており、品目数ベースで全体の68.2%と前年の同時期(57.5%)に比べて上昇。輸入コスト増など、急速に進んだ円安を要因とする値上げも増えており、全体の30.2%に達した。

24年通年を見ると、10月に値上げラッシュが起きた後は11、12月ともに総じて落ち着いて推移するとみられ、年間総計では1万5千品目前後となると予想される。

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LOGISTICS TODAY編集部
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