環境・CSR日本航空や伊藤忠商事、ENEOSなど7社は2日、航空の脱炭素化を目指してSAF(持続可能な航空燃料、サフ)の利用を促進するプロジェクトを開始すると発表した。
SAFの利用によって生じる間接的なCO2排出量の削減効果「Scope3環境価値」を取り引きする新たなスキームを構築するプロジェクトを開始すると発表した。プロジェクトの、第1弾として、Scope3環境価値取り引きの実証試験を行うことで7社が合意した。
SAFは、動植物油脂や廃食油、都市ごみなどを原料として製造される航空燃料で、SAFを使用することで、化石由来の航空燃料に比べて温室効果ガスを大幅に削減でき、従来よりもフライトによる環境への負荷を軽減できる。
航空会社がSAFを利用すると、航空機から直接排出されるCO2が削減され、それと同時に、航空貨物輸送や社員の出張などによって排出される間接的なCO2(航空利用者のScope3)も削減されることなり、これを「Scope3環境価値」と呼ぶ。Scope3環境価値は企業間で売買でき、脱炭素の取り組みに組み入れることができる。
今回参加したのは、日航、伊藤忠、ENEOSのほか、NIPPON EXPRESSホールディングス、みずほ銀行、みずほリサーチ&テクノロジーズ、成田国際空港(NAA)の7社。
実際の取り引きでは、Scope3環境価値の販売者がNAAにSAFを搬入し、プラットフォーム上にScope3環境価値を提供。購入者は、プラットフォームを通じて、自社の購入条件に合致したScope3 環境価値を購入する。
現在、燃料供給事業者と航空会社は、各社独自にScope3環境価値を販売するプログラムを展開しているが、同プロジェクトで構築するスキームができれば、新たな販売先を得られる。また、Scope3環境価値の販売者と購入者との両者は、売買を集約化でき、売買相手ごとに個別契約を結ぶ必要もなくなる。
7社は試験的な取り引きを行った後、さらに参画企業を募って本格的な実証事業を実施して、課題や効果を検証したうえでスキームの社会実装を目指す。燃料供給事業者や航空会社、フォワーダー、空港会社が協力してScope3環境価値の取り引きを活性化させる取り組みは世界で初めての試みだといい、日航などは「環境価値が活発に取り引きされれば、航空輸送のバリューチェーン全体でSAFに関わるコストをシェアできるようになる」としている。
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