調査・データエネルギー市場の分析などを手掛ける英調査会社Vortexa(ボルテクサ)は23日、イランを除く中東地域からのLPG輸出量は、今年3月に日量149万バレルと過去最高を記録し、前年同月比で20万バレルの増加となったと発表した。OPECプラスが4月から原油減産を解除する動きに先立つもので、アラブ首長国連邦(UAE)と非OPEC加盟国のカタールの輸出増が主な要因だった。
同社によるとUAEは前月比で13万2000バレル増、カタールは同6万2000バレル増加した。UAEからの輸出増は、同国のAl-Hosnガスプラントの稼働率上昇によるものと見られ、カタールは極東市場でのシェア拡大を狙い、UAEへの対抗姿勢を強めているとみられる。
しかし、4月の輸出量は3月を下回ると予測されている。その要因は季節的な需要の減退で、4月前半の需要は低調だった。後半も大きな改善は見込めず、ラマダン(断食月)で業務が滞っていたことも影響している。
また、サウジアラムコが供給を引き締め、供給余力が減っていることも輸出減の要因となっている。
今後は、中東にとって最大のLPG輸出国であるインドの動向が、輸出量を左右する。同社によると、2025年第1四半期に中東から輸出されたLPGの59%がインド向けで、23年平均の52%、24年平均の57%から上昇を続けている。
また、インドのLPG需要も、24年に前年同期比で日量98万6000バレル(6.4%)増と大幅に伸びた。23年の伸び率1.5%増を大きく上回っている。
しかし、25年にはこれまで行われていた世帯向けのLPG補助制度が大きく減額される予定で、消費量の増加は抑制されると見られる。
同社は「中東地域が今後もインド向け輸出を重視する方針に変わりないだろうが、インドの需要成長が鈍化すれば、輸出先を北東アジアや東南アジアへと多様化する動きが加速する可能性がある」と指摘している。
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