調査・データ帝国データバンク(TDB)は20日、「マレリグループ」サプライチェーン調査の結果について公表した。調査は同社が保有する「商流圏~売上高依存度推計データ」をもとに、大手自動車部品メーカーのマレリ(さいたま市北区)グループ各社に対し部品などのモノ・サービスを提供する周辺産業(商流圏)の特徴や取引規模について分析を行ったもの。
車部品大手のマレリホールディングス、マレリなど国内外のグループ会社計76社は、11日(日本時間)に米デラウェア州連邦裁判所に連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。
同社の調査によると、マレリを中心とした企業グループ(マレリグループ)計8社と取引のあるサプライチェーン(供給網)は、全国に1731社あることが判明した。同供給網にもたらされる取引額は推計で総額2600億4000万円、従業員総数は28万7357人だった。これを取引階層別に見ると、マレリグループのいずれか1社以上と直接取引を行う「Tier1」が480社判明し、関連する取引額は総額2297億4300万円、従業員総数は25万3989人。「Tier2」では社数が最も多い1101社、「Tier3以下」は150社だった。
サプライヤーを業種別に見ると「運輸・通信業」は100社だった。最も多かったのが「製造業」で1027社・構成比は59.33%だった。製造業では、成形用の金型、同部品の製造や設計を手がける「金型製造」が最も多い102社だった。次いで「自動車部品製造」(101社)、「工業用プラスチック製品製造」(87社)となり、熱交換器などマレリグループの製品に多く使用される、金属やプラスチック製品などの素材・加工メーカーが多かった。
過去2年間に同社の調査で直近の売り上げ動向(業況)が判明した474社を集計した結果、5月時点にサプライヤー全体で「減収傾向」となった企業が6.3%判明し、2年前(6.5%)から0.2ポイント低下した。取引階層別に見るとTier1では「減収傾向」が7.6%となり、2年前(5.6%)から2.0ポイントの大幅な上昇となった。収益性を見ると5月時点で13.5%の企業が「悪化している(収益悪化)」状態だった。同条件下で2年前の同月と比較すると「収益悪化」の割合は3.2ポイント低下したものの、1割超のサプライヤー企業が収益性に課題を抱えている。
同社の分析によると、マレリグループを含めた日産向けの生産減少が、直接取引を行うTier1のサプライヤーに影響を与えた可能性がある。主要納入先となる欧州ステランティスグループや日産自動車の業績不振と生産台数引き下げにより今後はさらなる受注減に直面する可能性もあり、将来的な中小サプライヤーへの影響拡大が懸念されている。
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